3.国立ESP学園
『国立ESP学園』
幼稚園から大学までのエスカレーター式の学園で、日本で唯一のESP学科がある。昨今の超能力犯罪の増加を受けて、国は国家資格の一つとして超能力使用免許を新設した。
種類は3種類あり、使用用途や頻度で必要かどうか決まる。ちなみに持ってなくても能力を用いて人や物に危害を加えなければ原則罰則等はない。
3種は能力の申告と簡単な実技に顔写真と保護者の同意があれば誰でも取得でき、未成年者の身分証代わりなるので広く普及している。
2種はどの程度の力があるかまで計測される。これを持っていると仕事の場で超能力の使用が許可される。ただし、犯罪に使った瞬間没収される上に罰金か禁固刑に処せられる。
1種になると、ESP学園の教師や警察或いは自衛官等、人に使ったり教えたりする人間は取得しなければならない。能力の制御や理解だけでなく人格においても審査が入り、容易く人に使うことは許されない。
ESP学園では将来的に国防・教育・研究に携わるであろう者、又は能力が強すぎて制御できない者が半ば世間から隔離されるように集められていた。
第1校が東京に、姉妹校として大阪に第2校、秋田に第3校が作られている。今後増える計画はあるが場所の選定に時間がかかっており、まだまだ先になるだろうと言われている。
かなり新しい学校なのだが試験が難しいことで有名で、中学部や高等部への編入試験では3年経つが未だに合格者は出ていない。4年目にして初の編入生が入るという事がすでに噂で広がっていた。それが原初の7人の弟子だという事も。
2109年、4月。
結瑠は早めに学園に着いた。始業式は8時30分からだが、現在時刻は6時30分を過ぎたくらいだ。数える程の人数が走り込みをしている以外は静かな朝だった。
この学園は全寮制となっていて割増の寮費を払えば家族ごと入居できる上に、食事も一階の食堂か部屋まで届けてもらうか選択できる。
結瑠は今日諸々の説明を受けることになっていた。何故なら彼がこの学園に通うことになると知ったのは一昨日の夜だったからだ。
しばし門の前で佇む結瑠。まだ綺麗なままの巨大な建造物に圧倒されていた。いくつもの大きな建造物はどれが何の建物なのか全然わからない。そんな彼に気づいた人物が門の内側から話しかけてきた。
「ねぇ君?そんな所にいたら警備のおじさんに怒られちゃうよ?」
結瑠はゆっくりとその声の方を向いた。