20.諦念と部外者
「結瑠が自己紹介してないじゃん!」
その悠香の言葉に全員の視線が結瑠に集まる。なんとなくさっきやったとは言えない空気だが、青山と木嶋のニヤニヤした顔を見てイラっとするのは仕方ないと思う結瑠。
「あ~~~。淡田 結瑠、条件次第では短い付き合いになると思うがよろしく。」
「悠香ちゃん、条件って?」
「結瑠。」
条件を説明した結瑠にF組の面々は驚愕と諦めの入り混じった顔を向ける。いや、顔だけではなく言葉も向けた。
「無理だろ。Sクラスに勝てとか。しかもお前は参加できないんだろ?」
「結瑠さん。1年という短い間ですがよろしくお願いしますね?」
「あ~~。ごめんね?うちらが弱くてさぁ。」
「いや、どっちかっていうと俺の師匠たちがおかしいだけだから、気にするな。だが迷惑かもしれないができるだけ俺がお前たちを鍛える。」
その瞬間教室内の空気が固まったのを感じる結瑠。だが何故こんな空気になるのか結瑠には分からない。Fクラスの面々が強くなるために努力した結果諦めたという事が想像できていないのだ。
「結瑠・・・。気持ちだけでいいよ。何をやっても駄目だったんだから。」
「聖、お前強くなりたいんじゃないのか?諦めんのか?」
「・・・お前にはわかんねえよ。強いお前には。」
そういう聖の顔は『悔しいけどどうしようもない』という感情がありありと浮かんでいて、結瑠もそれ以上なんと言えばよいか分からなかった。そんな空気知ったこっちゃねぇとばかりに悠香は話を進める。
「自己紹介終わった?じゃ、結瑠は前列真ん中ね。で、プリント配りまーす。しっかり目を通しておいてねー。超能力科の授業内容の一部変更と負傷等についての可能性の説明、今後の行事の説明ね。とりあえず口頭で言うのは今後の行事だけね。」
堂々と職務放棄を宣言しながら今後の説明を始める。
「とりあえず来週能力測定があるからそのつもりでいてね。で、来月は超能力大戦のお試しみたいな?体験会?・・・をやるから。今はそれく「淡田はいるか!?」・・・今はそれくらいね。で?君は?」
「おっと、悠香先生すみません。俺は1年Sクラスの鏡山 優です。淡田に一騎討を申し込む!!男なら嫌とは言わないよな?」
「え~~?断る。めんどくさそうだから。」
眼鏡をかけた神経質そうな男は結瑠の返答を聞いて完全に固まった。




