アフター
「まなみにだけはお礼を言いたい……かも」
帰り道、愛沙がそんなことを言う。
俺としてもまなみには伝えておいたほうがいいと思うし……あとはあいつらだな……。
「どうせバレるなら先に言っといた方がいいメンバーもいると思う」
「あー……」
そもそもクラスの、いや学年をまたいでのアイドルと付き合っていて、隠し通せる気はしない。
仲のいいメンバーにバレるのは時間の問題な気もする。
「でもその……恥ずかしい、ね?」
顔を赤らめてそんなことを言う愛沙が可愛くて反則だと思った。
「まあそのへんはおいおい考えればいいか」
「うん……」
手はつないだまま、来た道をなんとなく遠回りしながら家を目指す。
「ま、休み明けは愛沙が誰と花火に行ったかとか、この夏どうしてたかとか、結局誰かと付き合ったのかって、学校中の話題のタネだと思うぞ?」
「そんなことないでしょ」
本気でそう思っている顔をしている愛沙を思わずまじまじと見てしまった。
「え? 本気で?」
「むしろあれだけお誘いやら告白までされてそう思ってなかったのか?」
「だって、私は康貴に好かれればそれで良かったから……」
「はぁ……」
好きすぎる。
いやでもそれなら本当にもう少しあの表情をなんとかしてくれさえすれば……いや今更言っても仕方ない。
今こうして付き合えたのがよかったと思おう。
「康貴はどうしたいの?」
「ん? 付き合ってることをか?」
「うん……」
そうだなぁ……。
「あんまり目立ちたくはないかも?」
言えるなら言いふらしたいくらい愛沙は可愛いんだけど、学校生活に支障が出るのは避けたい。
だが俺の答えは愛沙のお気に召さなかったらしい。
「むー……」
「なんだよ……」
「やっぱりちゃんと言おうかな……」
「なんでまた……」
なぜかご機嫌斜めの愛沙が頬をふくらませる。
今の愛沙、どうも幼くなってる気がするな。もう何でも可愛いからいいんだけど。
「だって……ちゃんと言わなきゃ、康貴のこと、取られちゃう」
ぎゅっと腕にしがみつきながらそんなことを言う愛沙が可愛すぎてこちらがどうにかなりそうだった。
「いやいや、誰にも取られないだろ⁉」
「そんなことない。康貴は結構モテるんだから」
「初耳なんだけど……」
じゃあなんで今まで何も音沙汰がなかったんだ……?
「むー! ちょっと嬉しそう!」
「いやそりゃモテるならまあ……」
「私だけでいいでしょ!」
不服そうな顔に反比例するように、物理的な距離はぎゅうぎゅう詰めてくる愛沙だった。
「まあまあ取られないって……」
「むー……康貴は私の……」
こうなるとしばらくちょっと幼児化するな……。
頭でも撫でとこう。
「ほわ……これ、ずっとして欲しかった……」
「そうだったのか?」
「まなみばっかりずるいっていっつも思ってたんだからね!」
「こんなもん頼まれればいくらでも──」
そこまでいってまた愛沙の表情が不機嫌そうに歪んだのが見えた。
「どうした」
「頼まれてもしちゃダメ……」
「いや、頼まれないだろ」
「……私以外にしちゃ、ダメ」
「ああ……それはもちろん」
「あとは……まなみなら……いいけど」
断腸の思いという感じだった。
「でも今は私だけ撫でて。わたしのほうがたくさんじゃなきゃ、やだ」
「はいはい」
撫でるたび幸せそうに目を細める愛沙が可愛くていつまでも撫でつづけていた。
書籍版ではアフター2、まなみへの報告エピソードを挟んで次話以降のお話に入っていく予定です!
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