お墓参り
「おばあちゃんとこにお墓参り行くから準備しなさい」
「え? 今日?」
部屋でくつろいでいたら母さんに突然そう告げられた。
「そうよ。あら、あんた何も聞いてなかったの?」
「いや……え、何を?」
突然のお誘いに困惑する。
今日は家庭教師ではないんだがまなみに予定を開けておくように言われていたんだけど……。
ああ、そういうことか。
「高西家も同じ方向、というよりすぐ近くだから一緒に行くの」
「わかったよ」
まなみ……。
今度から何をするのかはちゃんと聞いておこうと心に誓った。
◇
「あ、康貴にぃー!」
「まなみ……似合うな」
「えへへー!」
大きい麦わら帽子をかぶっていかにも夏らしい格好でまなみが手を振っていた。
ほんとこう……夏休みの子どもそのまんまだった。虫あみとかも似合いそうだ。
「康貴……」
声をかけてきた愛沙。
こちらもつばの大きな帽子をかぶってワンピースが風になびいている。
後ろからまなみが「ほ・め・ろ」と口パクで伝えてきていた。
「愛沙も帽子……似合ってるな」
「ありがと……」
愛沙はさっと顔を隠すように向こうを向いてしまったが、まなみが満足気にうなずいているので正解だったんだろう。
こちらもまなみとは全く違う意味で夏らしい格好だった。
「あんたー。愛沙ちゃんに見惚れてないでしっかり掃除しなさいよー!」
「わかってるよ」
母さんの茶々に付き合うとろくな目に合わないのでスルーしておく。
ここはもう山の中と言っていいレベルの田舎。
周りにあるのは森と田んぼとお墓だけだ。
ちなみに両家のお墓は本当にすぐそばに建てられている。
母さんたちが幼馴染みたいなもんなんだろうな。あんまり詳しく聞いてないから知らないけど。
両家ともに父親が出てこれない日程だった……というより母方の墓だから最初から父親たちに日程を合わせる気がなかったようで、男手は俺だけだ。
「ごめんね、康貴」
「いや、どうせ一個やるのも二個やるのも一緒だから」
「ふふ。康貴くんがうちのと結婚したら親族だもんねえ」
「ちょっ、母さん⁉」
突然現れて爆弾発言を落としていく高西母。
突っ込むとやぶ蛇になりそうだから何も言わずに両家のお墓を掃除して墓参りをした。
旧姓なんだし結婚したってちょっと遠い気もするんだけどな……?
それでも何故か妙に緊張しながら墓参りをする羽目になっていた。
シーズンに合わせました
帰省編スタート
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発売三日前!
表紙がめちゃくちゃ良いおかげで結構ご予約もいただいてるようです!
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