秘密の冷たい寄り道
「すみません。神官長に伺ったのですが、神官長も分からないと。」
儀式部屋に戻ってきた神官が申し訳なさそうに言った。
「分かりました。本人は気にしてなさそうなので大丈夫ですよ。」
村長が安心させるように言う。
「本部の方にも問い合わせてみます。原因がわかりましたらハテハテ村まで手紙をだします。」
「よろしくお願いします。」
村長が頭を下げる。ソルトらもそれを見習い頭を下げた。
その後神殿を後にした。
「では、皆の者村に帰るとしよう。」
村長が村人に声を掛けた。
「村長待ってください。」
ソルトが手を挙げた。
「どうしたソルト。」
「予想以上に消費した酔い止めの補充を昨日シーアと薬屋に行ってきたのですが、用意するのに今日まで待って欲しいと言われまして、今から取りに行ってもいいでしょうか?」
「うむ、わかった。ワシ等は先に馬車に行っておくから取りにいってきなさい。あと、そういうことは予め言いなさい。」
「すみません。あ、ガト付いて来てくれないか。量が結構あると思うんだ。」
「わかった。」
「では、ワシ等は行くとしよう。」
村長と村人たちは馬車の方に行った。
「じゃあガト。俺らも行くか。」
ソルトがガトを見て言った。
「おう!」
「…おー!」
「「!?」」
第三者の声がして驚いて振り向くと、
「シーア!?村長たちと一緒に行かなかったのか!?」
シーアが立っていた。ソルトは驚いた顔になる。
「…えっ」
シーアはシーアでだめなの?って感じの顔になる。
「ガハハハ。愛されているなソルト。いいじゃないか夫婦なのだから一緒に居たいものだろう。」
「わかったよ。行こうかシーア。ほらはぐれないように手を繋いで。」
「うん!」
ソルトとシーアは手を繋ぎ、ガトと3人で薬屋に向かった。
薬屋ではもう薬は準備されており、代金を支払ってすぐに出た。
3人はそれぞれ一袋ずつ手に抱えている。
「大丈夫かシーア?」
「これくらい、大丈夫。」
心配そうにシーアに尋ねるソルト。
「ソルト。夫婦なのだからあまり相手を甘やかすのはいかんぞ。夫婦協力せねば。」
ガトがたしなめる。
「わかったよ独身ガト。」
「む!自分が早く婚姻したからってそういうのはいかんぞ!それに婚姻できてないのは2人以外全員だ。」
シーアを巡り争っていたのだから当たり前である。
「でも何人かはもう婚約の約束をしたらしいぞ。村に帰ったら結婚ラッシュかもな。」
「それは本当か!?ぐぬぬ。オレも頑張らなければ。」
ガトがうなっている。
「あっアイスクリーム。」
シーアが昨日訪れたアイスクリーム屋を見つけて開いている指で指した。昼前だからか昨日より列は出来ていなかった。
「アイスクリームってなんだ?」
父である村長にずっと付き添っていたガトはアイスクリームを知らなかった。
「冷たくて甘いお菓子なんだ。」
「冷たくて甘い!!」
ガトが強く反応する。彼は甘いものが大好物であった。
「最後に、食べたいな。」
シーアがポツリと言う。
「ん~。列に並んでいる人数が少ないとはいえ、みんなを待たせているからなぁ。」
「まぁ、いいではないか少しくらい。街に来ることなんてめったにないんだ。寄り道くらいしても罰はあたらん。」
「…。」
ただ甘いアイスクリームを食べたいだけだろうと思うソルト。あと次期村長としてその発言はどうなんだ。
「わかったよ。最後に寄ろうか。」
「うん!」
「よし!」
昨日見たく列に並びアイスクリームを購入し、イートインスペースで食べ始める3人。
「うんーー!」
「おお!これは美味しすぎる!!」
シーアが幸せそうな顔になり、ガトは信じられない物を見つけてしまったと驚愕している。
バクバクと食べ進め、あっという間に完食する3人。
「シーア、また鼻についているぞ。…あとガトも。」
そういってまたしてもハンカチでシーアの顔を拭くソルト。
「ありがとう。」
「む!もったいない。」
シーアは礼を言い、ガトは舌を伸ばしてなめとった。汚い。
「さぁ、行こうか。」
ソルトは2人に声を掛けた。
「むーもう一回食べたいな。」
「食べたい…。」
ガトとシーアがうなる。
「ダメだ!みんなを待たせている行くぞ!」
流石にソルトも怒り、二人を促す。
「むぅ、しょうがない。」
「馬車かー…。」
あからさまにガッカリする2人。
ソルトは頭をぽりぽり掻いて困った顔をする。ソルトとて下手したらもう2度と来ないかもしれない街に来たのだから、シーアにもっとアイスクリームを食べさせてやりたい。しかし、これは他の村人たちと来ているのだ。和を乱すわけにはいかない。
ちなみにガトは村長になったら毎年来るのだからどうでもいい。
「よし決めた!オレは村をでかくして、このアイスクリーム屋を誘致するぞ!」
「ナイス、アイデア!」
突然生気を取り戻しとんでもないことを言い出すガト。そしてそれに目を輝かせるシーア。
「待て待て、誘致ってこの街ぐらいの大きさにならないと絶対に来ないぞ。無理だろ!」
「やってみなければわからん!さぁ、でかい目標ができた帰ろう!」
「おー!」
そういって歩きだすガトとシーア。
「おい待てシーア!ガト!」
ソルトも慌てて追いかけた。




