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あの手この手で故郷防衛しちゃいます!  作者: のこりごころ
序章 目覚める者と約束
2/14

とある辺境の村

読んでくれてありがとうございます!

序章はちょっとした王道話かな~。

一章から本格的な防衛戦が始まります!

 とある異世界のとある星のとある一番大きな大陸のとある王国の隅っこにあるとある小さな村でのお話。

 その村は大自然に囲まれた特に何もない質素な村でした。ところがある日その村に清らかな玉のような赤子が生まれました。その余りにも可愛いらしい赤子に、村の皆々は毎日のように赤子を見に来ては顔をにっこりとさせてました。その赤子は女子(おなご)でして、こりゃ同じ時期に産まれた男は幸せもんだと村人たちは思ってました。

 女子はすくすくと成長し皆の期待通りとても美しい娘に育ちました。小さな男の子から枯れたおじいちゃんまで彼女を見ては鼻の下を伸ばしておりました。それを見た村の他の女性たちは、誰一人、指一本たりとも彼女に触れさせんと必死に彼女を守りました。彼女たちにとっても大変かわいらしく、彼女が汚い男どもに汚されるのは我慢ならないことでした。

 その村では16歳が成人で結婚適齢期とされておりました。ある例外を除き、16になるまではたとえ恋仲であっても同衾は禁じられておりました。もし破れば村八分です。

 さて、娘が11歳になった時、村の若い男共で、ある誓いが立てられました。それは娘が16歳になるまでは男からの接触を禁止すること。16歳の誕生日の一月前ぐらいに男たちの中で一番娘にふさわしい漢を決めること。といった紳士協定でした。

 普通この村では、結婚は親同士が決めることが当たり前なのですが、こればっかりはそうなりませんでした。なぜなら村の人たちは分かってました。もし子供の意見を聞かず親たちだけで決めてしまえばこの村で血で血を洗う戦争が起きるに違いないと。故に若い男連中が決めたこの協定は村人全員にとっても有意義なものでありました。

 ちなみに娘もこの協定をすんなりと受け入れました。娘というかこの村の人々は基本村からでることはありません。ですので、娘もこの村しか知らず、この協定が都会の人からみたらおかしいことだということも露とも思わず、逆に村一番と結婚できるなんて嬉しいなとさえ思っておりました。

 

 この協定ができてからの男共は大変でした。なにせ村一番を決める争う内容は多岐に渡って決めることになってました。武力、知力、度胸などありとあらゆるモノを比べ合い村一番を決めるのです。

 ある者はひたすら書物を読み、ある者は剣術を学び、ある者は村を出て都会に商業を学びに、ある者は枯れたオババに頼み込み性技を磨く(性技を磨くためならと村長に申し出れば16未満でもOK)などそれぞれがそれぞれに負けないものを磨き始めました。

 ちなみに村一番を決める争いに参加できるのは娘の年齢上下3歳以内の者です。この村では3歳よりも離れた者に手を出すことは大恥者(ロリショタコン)と呼ばれ、村八分よりも重い村追放になるのです。故に、娘より4歳以上離れている男共は「もう少し遅くまでおっ母の腹の中に居れば」とか「もっと母から沢山栄養をもらっておけば早く生まれたのに」など愚痴り、それを耳にした母親からたんこぶを作らされたとか。

 

 協定が立てられてから約5年が経ち、遂に村一番を決める争いが始まりました。誰ひとり諦めて他の女性に傾いたり、都会に行ったきり帰ってこないなどなく、あの日協定を作った日にいた男全員が集いました。

 そして彼らは集いあった日から毎日のように競い合いを行いました。力を比べ、知恵を比べ、度胸を比べ、ありとあらゆるものを比べました。ある者は力は勝が知恵比べには負け、ある者は知恵はあるが度胸が無くなどあって、なかなか村一番が決まりませんでした。

 ようやく決まったのが、娘の誕生日1日前、男たちが予定していた期間よりもだいぶ遅くなっての決定でした。それほどまでに男たちは妥協ができませんでした。

 さて、村一番に決まった男、いや漢は村で商売を営む商人の息子でした。彼は村を出て修行をした一人でした。父親の商売の手伝いとして、都会に行き、そこで商売を学びつつ、本を読み、武術を学び、兵法を学び、歴史を学ぶといったそれこそ、ありとあらゆるものを貪欲に学びました。

 そんな彼は、競い合いの中では特に目立つものはありませんでしたか、どれでも5番手には入る優秀なものでした。故に彼が総合的に村一番だということになり、娘の結婚相手に申し分ないとなりました。

 村一番が決まった時には多くの男が泣きましたが、それでも彼を祝福しました。全ての力を出し切った彼らにはもう何もしこりは無く、村一番が決まったことで清々しい気分になっていました。今までは敵だったがこれからは誰よりも頼れる仲間だと笑い合うことができました。

 村一番が決まった後は、祝いを兼ねて男たちのどんちゃん騒ぎが始まりました。途中から競い合いに参加できなかった男たちも参加し始め、更には男たちと同世代の女子たちも交じり始めました。


 女子たちにとってはこれからが争いでした。なにせ結婚できる男共はみな娘を狙っていたために、村の女子どもには見向きもしませんでした。しかし娘の結婚相手が決まった後は違います。彼らはようやく娘から女子たちに目を向けることになるのです。普通ならば家同士の話し合いで数年前に結婚相手は決まっているのですが、男たちの協定があったために、女子たちも結婚相手が決まっておりませんでした。ですので、結婚相手を確保するために大張り切りでした。

 女子たちは数か月前から家族と話し合い誰を落とすか相談し合いました。なにせ相手は娘の為に一芸を磨いた一級品ぞろい。家族会議も熱が入りました。それだけではなく、他の家の女子に負けないよう花嫁修業にも熱が入り、家事だけではなく、歌を磨いたり、絵を磨いたり、更には武術を磨く女子まで出てきました。


 意図せずに娘のいる世代は、男女ともに鍛えられた世代となりました。村人たちは彼らを磨かれ光った世代「鏡の子ら」と呼ぶようになりました。

 鏡の子らは、一晩中騒ぎ、娘の誕生日を迎えました。

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