太陽
昨日はどしゃ降りだった。
朝起きたら快晴。さぁ1日の始まりだ。
しがない歌手の俺は何とか所属事務所があるけど、次はないって言われている崖っぷち。
マネージャーから、就活準備を始めておけ、ときた。なんて物言いだ。
さぁ明るく暗い気分をぶっ飛ばそう。
俺はいつもの日課(正確には週に一回なので週課?)大きな公園の10時からの路上ライブを始める。ラジカセに簡易のアンプとマイクを用意して歌い出す。お客さんは木や虫や風たちばかり。
3曲歌い終えて、最後の曲です、と言いながら、新曲をおろす。
マネージャーから最後と言われている勝負曲を試すのだ。
新曲の音楽が流れ出すと、すぐに足を止めてもらえる人が増えてきた。また1人、2人と増えていく。
次第に何故かミニコンサートの様になる。
歌い終えると皆んなから拍手が。
こんな事今までなかったのに!
ありがとうと言い、ある程度、皆んなが散ってきたので、片付けを始めようとすると、小さい女の子が寄ってきてこう言うんだ
『最後の曲良かったんだけど、途中から来たから最初から聴きたいの』
初めてのアンコール。
応えるしか無いよね。