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第二十九話 第一神核決戦

遅くなりました!

今回は神核との再戦です!

では第二十九話です!

 扉を開けるとそこには昨日俺と戦闘を繰り広げた神核が既に二本の槍を構えた状態で仁王立ちしていた。

 部屋の内部は大体半径五十メートルくらいで、部屋の壁には怪しく光り輝く魔石が火を灯していた。床はなにやら怪しげな模様が描かれており、幾重にも重なるそれは根っこのようでもあり、魔法陣のようであり、何かの生き物のようであり、とにかく得体の知れない不気味さを放っていた。


「ようやく来たか。待ちわびたぞ、災厄者よ。今こそ再戦のときだ」


 そう、不敵な笑みをうかべた神核は俺に語りかけた。


「再戦ねぇ……。何が変わるか知らないが昨日と同じでは、また俺に殴られるだけだぞ?」


 そう、俺はこいつがここにくれば俺を倒せると言うから赴いたのだ。まあ村の人たちを人質にとられたからという理由が一番大きいのだが、それでも奴の反発の光(ガガバミラ)はもうクビロから聞いて原理を把握している。ゆえに昨日と同じ攻撃を仕掛けてくるなら今の俺に奴は勝てないのだ。


「ハハハ、ぬかせ人間。もうここに来た時点で貴様の負けは決まっておるのだ。……ではそろそろ行くぞ?そちらには今回助っ人もおるようだし、簡単にやられるなよ?」


 カッチーン。

 何だその上から目線!てめぇ昨日俺にやられておきながら随分と余裕じゃないか。


「ほう、いいぜ。それじゃ見せてみろよ。その神核の強さっていうやつを」


 そう言って俺はエルテナと絶離剣レプリカを構える。そしてシラとシルを壁際まで下がらせると、俺は奴の体だけを観察した。

 見ればまったくと言っていいほどスキがなく、こちらが油断したら直ぐにあの槍で刺されてしまいそうな感覚に襲われる。しかしそれでも俺は負けるなんて微塵も思っちゃいない。

 この勝負は勝つために戦うんだ。

 アリエスが後ろで、魔術の準備をし、それが整った瞬間、俺は今までの戦闘の中で最高速度の速さで神核に切りかかった。


「はぁぁぁぁ!!!」


 愛剣を二本同時に奴の脳天から振り下ろし、全力の一撃を叩き込む。神核はその攻撃を右手のやりで受け止め、すぐさま左手の槍で俺を突き刺してきた。

 しかし、俺は絶離剣レプリカが弾かれることを知っていたので、そのまま次のモーションに移る。突き出された槍を体を回転しながら右手のエルテナで流し、そのまま奴の腹に絶離剣レプリカで回転斬りを叩き込む。それは確実に奴の肉を裂き、分断した。

 否、分断したかに見えた。

 実際はその強靭な肉体によって絶離剣レプリカの刃は受け止められていた。


「な!?なに!?」


 昨日の時点ならば、こいつの体はここまで硬くなかったはずだ。なにせ一度一刀両断しているのだ。俺はその感覚どおり剣をふるったのだが、今手に伝わっている感触は素手で鉄の板を叩いたような、圧倒的硬質感だった。

 そしてその一瞬のスキに神核は二本の槍を俺の頭上から振り下ろした。俺はそれを転移で奴の背後に移動することで何とかかわすと、止まることなく追撃を繰り出した。

 右上段、左中段、面、左篭手、右突き、左下段、右胴、ありとあらゆる方向から二本の剣を解き放つ。それは全て奴の槍にいなされ、無情な金属の音だけが響きわたる。


「いくらやっても無駄だ!」


 その瞬間神核の槍が俺のエルテナを弾き飛ばし、絶離剣も不完全な形で振り下ろしてしまう。

 まずい!

 そう思った刹那、濃厚な魔力がまとわりついた槍は俺の心臓めがけて一直線に突き出された。

 俺はギリギリのところで青天膜を発動し、一旦後ろに跳び、体勢を立て直す。


「へえ……。なるほどね。…………その魔力が強さの正体ってわけか。確かに昨日はそんなに大量の魔力を感じなかったからな。さっき俺の攻撃を体で受けられたのは魔力で体を覆ってたからか?」


「そういうことだ。とはいえ俺の強さはこの魔力量だけではない。今に見せてやる」


 そういうと奴はなにやら手を地面にかざし、その膨大な魔力を流し込んだ。

 瞬間、空間が悲鳴をあげその隙間から何かが這い出てきた。

 いや、生き物ではない。あれは……。


「神核にだけ許された万象の再現。俺は貴様の死を再現する!」


 空間の網目から出てきたそれは圧倒的な死の気配を滲ませており、一度でも触れれば一瞬にして命を奪われることが見ただけでわかった。

 それはどこまでも黒くウネウネと形状を変え、まるでタコの足のような動きをしていた。その存在は部屋を埋め尽くし逃げ場は完全に絶ち、俺たちをいつでも殺せる、と言わんばかりに気配を放出していた。

 すると俺の後ろにいるアリエスが魔術を発動した。


氷の終焉(アイスインフェルノ)!!!」


 それはその声とともに膨大な量の雪と氷を天上から降らせ神核を飲み込んだ。

 俺はそれに追随するように魔術を発動した。


炎の始祖(審判の光)!」


 氷と炎の演舞。

 その光景はまるで神話のワンシーンのように壮絶な光景を描き出し、神核の肉体をズタズタに引き裂いた。

 これはさすがに効いただろうと思っていると、その破壊の中から、魔力の反応が感じられた。

 次の瞬間奴は一瞬で俺の背後に出現し、まず俺の左手に握られていた絶離剣レプリカを弾き飛ばし、もう一方の槍で無防備な俺を突き刺してきた。


「終わりだ、人間!」


 今から他の剣を取り出すのは時間がかかりすぎる!だがこのままでは……。

 そう思い、俺は今まで使ってきたことのない能力を解放する。

 魔力を空中に放出し空間に風穴をあけ、そこからとあるものを呼び出す。


「来たれ、時空の主よ」


 その瞬間、奴の動きが急にスローモーションになり、俺だけがいつも通りの速さで動くことが出来るようになる。

 これは戦火の砂時計(カミナチャクラ)の単純な上位互換だ。戦火の砂時計(カミナチャクラ)戦火の花(カマラチャクラ)と合わせることで初めて威力を発揮するが、今使ったこいつは時間制限つきで、世界そのものの時間のスピードを調節できる。

 それは時を支配する力の塊。そこにいるのかいないのかもわからず、俺の呼び声にだけ答える、言霊の最上位技。

 俺はその力が発動している間に、部屋の壁を覆い尽くしている、黒いウネウネとした魔力の塊を、二本の愛剣を拾い上げ、その剣で壁を走りながら切り落としていく。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 そしてもう少しで全て所滅させられるというところで世界の時間が正常に進みだす。

 俺はその力が切れた瞬間、もう一度神核に突撃した。


「き、貴様!?い、いつのまに!?……何をした!?」


「そんなご丁寧に答えてやるかよ!!」


 俺は先程よりさらにギアをあげ、剣を振るう。アリエスも俺の後ろから、氷球や氷槍をはなち俺を援護してくれている。

 その勢いを殺さず俺は、昨日も使った剣技を発動する。


黒の章(インフィニティー)!」


 このタイミングとこの技ならば確実に決まるという確信があった。

 そのまま俺は地を、空を駆け回り、奴の体を引き裂いていく。とはいえこの神核はどういうわけかこの空間にいる以上圧倒的な魔力を身につけ、不死性も持ち合わせている。

 俺にはそれを打開する策があるにはあるのだが、それを使うにはもう少しやつの体力を削らなければならない。


「はああああぁぁぁぁぁ!!!」


「き、貴様!同じ手が何度も通用すると思うなよ!」


 確かに神核は昨日とは違い俺の剣を何とか弾こうとしている。しかし俺はそれを超える速度で動き回る。その攻撃は次第に空間に傷を付け出し、時空がゆがみ始める。

 だが、その様子さえ見えないほど俺は跳びまわっており、もはや常人では何もとらえることは出来ないだろう。

 そして俺はいい具合にダメージが入ったと思った瞬間、後ろにいるアリエスに叫んだ。


「今だ!アリエス!あれを打て!」


「うん!閑地万却の雷(ティタグラム)!」


 そのアリエスの詠唱とともに魔神教典リブロールが輝きだす。そしてその光は膨大な魔力をともなって白い稲妻の竜を召喚する。

 閑地万却の雷(ティタグラム)

 これは魔神教典リブロールにもともと入っていた、魔術の一つである。それも素人である俺が作ったものではなく、全盛期のリアが創作したものだ。

 曰く、それは万物を根絶やしにするべく編み出され、その白き竜は破壊の雷を以って降臨する。力は、大地を消し海を乾かし空を裂く。

 そしてアリエスが解き放った雷の竜は神核の真上から落ちてきて、その全身を飲みこんだ。


「ぐあああああああああああ!?!?」


 正直今のアリエスにこの魔術が使えるとは思わなかった。いくらリブロールの魔力供給があるからとはいえ、リアの魔術を使用したのだ。その疲労はとてつもないだろう。

 みると、アリエスはその場で足を折り倒れ伏していた。そのアリエスを壁際に待機していたシラとシルが運び出し救出する。

 よくやったな、アリエス。あとは俺に任せておいてくれ。

 俺は心の中でそう呟くと、二本の剣を再度構えなおし、神核の追撃に備えた。

 すると体をズタズタに引き裂かれ、見るも無残な姿になった神核が姿を現した。その身は頭が半分はじけ跳び、右腕はもがれ、わき腹からは血が噴出していた。

 そう、閑地万却の雷(ティタグラム)の力は再生不可。いくら神核といえど命の貯蔵は数あれど、体の再生は命本体から供給されるものではない。

 いや、閑地万却の雷(ティタグラム)を食らう前であれば、そうだったのかもしれないが、生憎と閑地万却の雷(ティタグラム)はそんな生易しい願望は叩き折る。


「貴様――!貴様!貴様!貴様あああああああ!!!許さん、許さんぞー!」


 神核はその雄たけびとともに、今まで壁に待機させていた、黒く光る触手を大量に生成しその全てを俺にぶつけてきた。

 もちろん俺は問答無用に叩き落す。冷静さを失っている場合であれば、どこに攻撃してくるかなどたやすく把握できる。


「くそ!くそ!なぜあたらん!俺は、俺は!!貴様を殺さなければならないのだああぁぁぁぁ!」


「それは星神ってやつに言われたからか?だったらいい加減目をさませ。今回はその星神って奴が間違っている。俺はなにも人類を滅ぼす気はない」


「黙れ!そんな言葉に騙されるはずがない!貴様は今ここで俺に殺されるんだ!」


 ああ、これはもうどうやっても聞かないな、と俺は思ってしまった。神核は世界の五大因子だし極力穏便なほうにもって行きたかったのだが、こうなってしまっては人の話をまともに聞くことは出来ないだろう。


「貴様ああ!何を勝った気でいるのか知らんが、俺は不死だ!何度殺そうが、体を壊されようが関係ない!俺は死なないんだ!」


 そう言うと神核は無我夢中と言わんばかりに、俺に突っ込んできた。

 俺は一つため息をつくと、左手の絶離剣を蔵にしまい、エルテナを地面と平行に構えこう言った。


「ああ、たしかにお前は死なないんだろうよ、普通に考えればな。だけど絶対じゃない。この世で絶対を語っていいのは、一人だけだ!」


 そうだろう、リア?


『当然じゃ!絶対とは本来私のためにあるような言葉!その小さき神かぶれなど存在を提唱するにも値せんのじゃ!』


「黙れ!黙れ!黙れーーーー!」


 そして俺は剣を構えながら一つの技の名前を呟いたのだった。




赤の章(エリアブレイク)


次回も神核戦です!しかし次は物語が大きく動きます!お楽しみに!

誤字、脱字がありましたらお教えください!

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