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第二話 初めての異世界人

誤字、脱字があればご指摘をお願いします。

『ここは私たちがいた世界ではない』


「え?」


 その言葉を聴いたとき俺の脚は棒と化した。そうそれこそ新品の電信柱のように。脳内ではいないはずの閑古鳥が泣きわめいている。


「つ、つまり?」


『うむ、おそらくじゃが、主殿が椅子から転げ落ちたときに膨大な力を感じたのじゃ。それが原因でこちらの世界に吸い込まれたのじゃろう』


「それって異世界召喚ってやつ?」


『いや召喚ではない。召喚ならば術者と触媒ぐらいはいるじゃろうて。それがここにはまったく見当たらん。ゆえにこの世界になんらかの力で引きずり込まれたと言うほうがしっくり来るじゃろう』


 確かに召喚というのは真話大戦で幾度となく目にしている。十二階神がやたら大きい眷属を召喚していたのを記憶してたが、なんか血とか腕とかちぎってましたね。はい。いやーぶっちゃけあれはかなり引いたんだよね。いくら直ぐに再生するからって自分の腕切らないでしょう普通。

 まあそんなこんなで異世界に転移させられてしまいましたよ、俺たち。でもまあ本当にリアがいてくれて助かった。俺の中にいるから当然と言えば当然なんだけど、一人は嫌だからねこんな世界。いくら十二階神を倒したからって寂しいものは寂しいのです!

 ん?なんでそんなに落ち着いてるかって?

 うーん、けっこうこれでも動揺しているんだけどね。強いて言うなら日本で人外たちと戦いすぎたからかな。テヘペロ!


『まーた、自問自答に耽っておるな主様。で、どうするのじゃ、これから。さすがにこんな世界私も知らんぞ』


「え、リアでもしらないのか?お前全盛期は世界造りまくってたんだろう?」


『まあそれは否定はせんがな。しかし私が造っておったのはあくまで主様たちの世界のパラレルじゃ。わずかな違いはあれど、ここまで大きな変化をもたらした記憶はなわい』


「うーん、定石で言えば街や村を探して冒険者ギルドに入るのがいいのだろうけれど、そもそもそんなものがあるのかもわからないしなー。さてどうするか……」


 少々重たい空気が場を支配した。いろいろと考えた結果、口には出さなかったが懸念材料があるとすればこの一つだろう。

 間違いなく俺たちをこの世界に引き込んだものが存在する。

 それが故意か偶然かはわからないが、異世界から人を呼び込めるだけの力は持っているということだ。これに関してはリアもわかっていて口に出さなかったのだろう。

 とはいえこれは後回しだ。今はこの世界について早急に知る必要がある。どんな種族がいて、どんな国があり、どんな文明が存在しているのか。そもそも俺はここから生きて帰ることができるのか調べる必要がある。


「ふー、とりあえず考えることは山積みだが焦らず行こう。せっかくの異世界ライフだ。楽しまなきゃ損だろう」


『それはいいがな主様。主様はよいのか?』


「うん?なにが?」


『いや明日はテストなのだろう?であればもう完全に詰んでいるのではないか?』


「………………」


 頭の中でリアの、あ、しまった、という呟きが聞こえた気がしたのだが、もはやそんなことはどうでもいい、


「ぐわーーーーーーーーーーーーーー!そうだったーーーーーーーーーーー!」


 頭を抱えてごろごろと地面を転がりまわる。多少土がつくがもう気にしてられない。

 いやだって怖いんだもん!おもに我が妹が。

 だって真話大戦中の真っ只中にテストがあり赤点を取ったとき、妹は静かに、なんで?なんでなんで?と一時間ほど土下座をさせられたのだ。あの恐怖といったら背筋が凍りついた。


『あーもう。普段は超然としている主様らしくないのう!どこかのライトノベルよろしくあちらでは時間が止まっておるかもしれんじゃろう?それに賭けるんじゃ!そもそも主様が言ったことじゃろう、異世界ライフを楽しもうとな。だからほれ泣くでない、男としてみっともないぞ』


「うぐう、そ、それもそうか。よし、とにかく今日は泊まるところを探そう。さすがに大きな道に出れば街や村は見えてくるだろう」


『そうじゃな。して気づいておるか、主様?』


「ああ、わかってる」


 「気配探知」。

 これは俺の代名詞とも言える能力だ。なにせ真話大戦が始まる前から使えていた能力であるし、非常に便利な能力なので俺自身も気に入っている。

 なぜまだ一般人だったころにこのような異能が使えていたかというと、リアが世界に命じて作らせたリアの完全なる器、「妃の器」が先天的に俺には宿っており、そこからもれ出た能力だからだ。その他にこの妃の器からもれ出た能力は二つほどあるのだが、この二つはあまりにも危険でほぼ使うことはない。そのうち一つは本当に危険で、基本的に何でも出来る神妃の能力でも実現は不可能なほどだ。

 というわけで無意識に発動していた気配探知が何かを捕らえた。気配探知は気配の大きさ、や誰がいるのかはわからないが、その数値と場所を正確に把握することが出来る。また索敵範囲も任意に調整可能で、やろうと思えば百キロ先まで把握することが出来る。

 俺たちはその反応があったところに少々早足で向かう。別段急ぐこともないのだが距離が離れているのと、反応が軽く十を超えていたからだ。しかも陣形が明らかにおかしい。一つの反応をぐるりと取り囲むように複数の反応が感じられたのだ。

 これはまるでなにかを守っているような……。

 するとなにやら話し声が聞こえてきた。草の陰に隠れて耳を済ませてみることにした。


「■■■■■、■■■■」


「■■、……■■■」


 はぁ?何を言っているのかさっぱりわからん。

これが異世界語というやつなのか。これはちょっとこまったな…。


『主様、私の能力を忘れたか?私の能力は万能で絶対じゃぞ?』


 ああ、そうでしたね。

 では遠慮なく。意識を集中して言語理解を使用する。神妃の能力は平たく言えばなんでも出来てしまうので、能力選択が少々厄介なのだ。イメージ的には国語辞典からたった一つの単語を見つけるようなものだ。

 しかしそれももう慣れてしまったので一秒もせずに発動する。

 んじゃ、聞かせてもらうぜ、初の異世界人さんの会話!


「おい、これからどうするんだ?もう攫ってきて三日だろう?そろそろばれるんじゃないか?」


「ああ、だから今日中に奴隷商に引き渡す。あれは上玉だからな、高値で売れるぜ」


「えー、兄貴。一回ぐらいはやってもいいんじゃないっすか?たぶんばれないっすよ」


「アホか。生娘じゃないなんてすぐにわかるぞ。いい加減お前は少し自重しろ」


 うん、俺の感動を返してほしい。異世界で初めてお目にかかれたやつが、拉致犯だったとは。悲しいにも程がある。しかも奴隷商が蔓延っている世界だとは。いや異世界では定番なのだろうけれど、いざ目の前にしてみるとやけにリアルに感じるな。まだオークとかオーガのほうが現実味があったのに………。

 さて、ここまで聞いてしまった以上どうするか。ライトノベルにおける異世界転生や転移では通常最初はレベリングに勤しむものだ。でないと直ぐに死んでしまうから。いくらチートスキルやチート武器を持っていたとしても、最初は誰でも雑魚なのだ。

 しかし今の俺はどうか。

 気配探知が使えたことから、俺の能力は問題なく使用できるだろう。であればあんな盗賊かぶれに遅れをとることもないだろうが、ここは異世界だ。何が起きるかわからない。常に慎重になることが求められる。だがここで囚われている人を助けないのは後味が悪すぎる。


『主様の好きにすればいい』


「え?」


『別に人質を助けずとも、それはそやつに運がなかったということ。仮に助けたらそれはラッキーだったということ。ただそれだけなのじゃ。本来主様と私がこの世界にいることがイレギュラーなんじゃ。主様が気にすることではない』


「いや、だけど……」


『しかしじゃ、もし主様が人質を助けると言うのなら私は全力で力をかそう。ま、主様なら瞬殺じゃろうけどな、ハハハ』


 まったくこれだから憎めない。さすがは長い年月生きていると言うことか。言っていることが達観している。真話大戦を経て俺は強くなったつもりだった。もちろん力的には強くなったのだろう。しかし精神のほうはまだまだだな。まだ標準の高校生を抜けきっていないのかもしれない。

 これは異世界にいるときの課題になりそうだな。


「ありがとう、リア」


『うむ、どういたしましてなのじゃ!』


「んじゃ、サクッと暴れますかね」


 後でリアから聞いたのだがこの時の僕は笑っていたらしい。ただそれは何かを吹っ切ったような笑みだったという。

 

なぜリアが白駒のことを「主様」と呼ぶのかは後々書こうと思っています。

それまでしばしお待ちを!

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