プロローグ
誤字、脱字がありましたらお教えください。
かつて世界は、とある神の女王が創造した。ありとあらゆる根源、原点、法則を確立し、それは絶対の存在として確立したのだ。
生み出された世界は独りでに回りだし、生命を育み、文明を与えた。それらは別々の進化を辿り、同じ種族であっても能力の差が大きく現れるほどの差異を設ける。
しかし醜くも生を持ち自我が芽生えた者たちは、己の価値を示そうと無駄な争いを繰り広げた。それは恩恵を与えていたであろう世界をも蝕み、崩壊の渦へと叩き落した。
かく言う女王は、そんなものには目もくれず怠惰な時間を過ごしていた。女王にとって自分が創造した世界など、書庫にある小説を眺めている程度のものでしかなかったのだ。手を貸すことも、気にかけることもなく、ただ無常に眺めているだけ。存在が絶対であるために、何もしない。
よって世界は一度決壊した。
世界自身が破滅の道を選び、時代を収束させた。
しかし事態はこれだけでは収まらない。
世界は生み出しておきながら何もしなかった女王に牙を向いたのだ。
さすがにこれには女王も怒りを露にした。何故自分に作られた存在である者が、自分に歯向かうのか。 無礼にも程があると。
両者の戦いは熾烈を極めたが、所詮儚い夢。絶対である女王にはかなう訳はなく世界はあっけなく敗れ去った。
とはいえ女王にも思うところがあったのだろう。それからしばらくして女王は再び世界を創造した。それと同時に世界を統括する十二階神という神々を作りだした。十二階神に世界の維持と秩序を任せ、それぞれに力と知恵を与えてやった。
だがまたしても女王は怠惰を極めた。十二階神に世界を任せたっきり、世界に干渉しなくなったのだ。
これがまたしても災いを呼び、「神話大戦」を呼び起こすこととなる。
神話大戦。
元々女王をよく思っていなかった十二階神たちが他の十二階神を服従させ女王に反逆の狼煙をあげた世界最大の戦いだ。結果的に女王の勝利でこの戦いは幕を閉じるのだが、その際女王は魂を二つに引き裂かれた。致命的な損傷をおい、再生に時間がかかると判断した女王は再生をかね、分かれた魂を二妃と呼ばれる二つの器に流し込んで自分自身が世界を管理しようとした。
もう二度と失敗しないために。
さらに女王は保険として、自分の完全なる器を製作するように世界に命じた。その存在が自分の力を受け継ぐと信じて。
そして遡ること一年前。
とある少年の下に一人の少女が訪れたことによって、再び歯車が回りだす。
二妃と名乗るその少女は莫大な力を所有し、理を逸脱した存在であったがゆえに孤独だった。またかつての神話対戦の生き残りである十二階神が二妃の力を打ち滅ぼすために少女を襲った。
これらの要因が重なり、少年は眠っていた力を呼び覚ますことになる。
少年は無我夢中に駆けずり回った。幸いにもそれを可能にする力があった。
それはかつて女王が使っていた力そのもの。少年は女王が用意した保険そのもの、妃の器の所有者であった。
少年は十二階神を見事なまでに蹂躙し、神話大戦の黒幕であったイレギュラーな十三位さえも倒して見せた。
そして生まれてきてから二妃の力に囚われてきた少女をその呪縛から解放し、自身に完全な女王の力を宿すことで事なきを得る。
これが「神話大戦」の後に起こった「真話大戦」。その一端。
少年の中に宿った女王は今まで誰にも語ったこともなかった自身の名前を口にした。
私の名前は神妃リアスリオン、だと。
そしてそれから一年後。
これから語られるのは壮絶な戦いの末、絶対の力を手に入れた少年と、その少年の中に宿る意識体、元神妃リアスリオンの新たな物語。
舞台は変わって、異世界。
リアスリオンでさえ知らない未知の世界。
そこで少年は自身の力を見極める旅に出る。
できるだけ毎日投稿を心がけますが、予定が重なって投稿できない場合もあると思いますのでご容赦ください。