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短編置き場(異世界以外)

高野山と伊勢神宮

作者: 蒼稲風顕

 私は会社を辞めた時、少し疲れたので四国のお遍路に行った。

 ────無論、車で。

 歩き? 残念ながらそんな根性はない。

 よくお遍路で逆打ちをすると効果三倍増と誰かから聞いて、何も調べずに逆打ちをしようと思ったくらいである。


 当然、宿坊など泊まらずにビジネスホテルで過ごす日々。

 ちなみにビジネスホテルより宿坊の方が高かったりする。

 修行をするにもお金がかかるのだ。

 そんな私は、修行やら精進料理など無縁で、せっかく四国に車で来たのだからと観光地図(お遍路の本よりいっぱい読んだ)を片手に朝市やら魚市場とか、四万十川でライン下りとかどっちがメインか怪しいところだが、お遍路の旅を楽しんだ。


 で、88箇所を巡ると高野山にお礼に行くことが礼儀だと本に書いてあったので、そりゃ無事に全部のお寺にお参り出来たからお礼をせねばなるまいて、と思い高野山に行った。

 その日は生憎の天気模様で、雨がぱらついていた。

 ちなみに、お遍路をしていた時は私の日ごろの行いがいいせいか全部天気だった。


 とはいえ、しばらくすると雨も止んだので高野山をじっくり観光することにした。

 そこで私は失敗したのだ。

 私は、基本超常現象の事は否定しない。

 ただ自分は、霊感などないから全く関係ないと思っていたのだ。

 よく高野山や恐山に行くと、もれなく霊が付いてくると聞いていたが、その時は観光で忙しかったのだ。


 で、観光をしていると、高野山はお寺なので墓所というものがある。

 高野山には、大名や企業などの墓所があるのだ。

 で、私は戦国時代が好きだったので墓所を時間をかけて見て回ったのだ。

 無論、有名な大名家の墓を見て騒いだり、通路からはみだしたりしてマナーなど破ったりなどしていない。

 ただ静かに見て回っただけなのだ。


 で、もれなく高野山を出た時にはすっかり肩がズーンと重くなっていた。

 それはもう不自然なくらいに。

 これが霊に憑かれているんだと初めて実感した。


 私は、以前山などで滝行(山伏?)をしている人から霊に悪さはされないけど憑かれやすい体質(実際にチョコチョコ憑かれている)と言われたことがあったが、今までそんな事は全くわからなかったのだ(別名鈍感という)。

 ちなみに何故そんな特殊な人と知り合いかというと、母の同級生で私の名前を付けてくれた人だからである。じゃないとなかなかそんな人と会う筈がない。

 で、その人の言うことは結構ピンポイントで当たったりする。母の友人に、この年は危ないから注意しなさいと言われた人が三人、言われた年に病気になってお亡くなりになったのだ。


 そんな人とはいえ、憑かれやすいと言われても身に覚えもないし、害も加えられないと言われているのだから何の心配などしようと思うのが多分一般の考えだと思う。

 だが、高野山ではそれが通用しなかったのだ。

 恐怖や寒気は全くといってなかったが、肩がすごく重かったのだ。

 あれは一人や二人の世界でないと思う。


 さすがにマズイと考え、商店に寄って塩を買う。

 1キログラム。

 一応、お遍路用にアルミホイルで巻いた一つまみの塩では容量不足であったのだ。


 塩を一握りを頭からかぶり、肩に振りかけ、背中、足など容赦なくかける。

 車のボディにも振りかけて全て使い切って、やっと肩が軽くなったと実感した。

 もう塩を買うまで、肩が重くてハンドルをきるのがやっとだったのだ。

 高野山は山なのでカーブが多く、運転が怖かった。

 とりあえず肩が軽くなったので、どうにかこうにか宿で休むことが出来たのだ。


 で、その翌日。

 高野山に行ったのだから、伊勢神宮にも行かなければなるまいと考えた。

 私の家は関東なので、こっちに来ることは滅多にないのだ。

 伊勢神宮にも行ったことはないし、せっかくだから伊勢神宮にも行かなくてはという変な使命感があったのだ。


 そんな訳で伊勢神宮に着いて、門をくぐった途端、パーンというか何というか、くぐった途端に分かったのだ。

 あれ? 肩が軽くなったぞって。

 何というか劇的に軽くなったのだ。


 確証がある訳ではないが、憑いた霊は伊勢神宮に入れなかったのだ。

 よく伊勢神宮はスゴイと聞くが、何がスゴイのか全く分からなかったが、入った瞬間に霊が振り落とされたのを感じて、これかな? と感じいった次第である。


 とりあえず、お賽銭に千円ほど寄贈させて貰って家に無事に帰ったのだが、今考えるとあの振り落とされた霊ってどうなったんだろう?

 成仏出来たらいいんだけど、あそこで待っていて他の人が伊勢神宮を出た時に乗っていかれたり、下手したら私が出た時にまた「お邪魔します」と言われて乗っけられていたりして、となかなか考えさせられることが多いのだ。


 ちなみに私の存在は、あの山伏の人が言うにはタクシー的な役割だそうだ。

 で、私は他にもおキツネさんにも憑かれているらしい。

 そのキツネは当然、お稲荷さんである。

 家の近くに稲荷神社があり、小学校まで稲荷神社で遊んでいたこともあり、もれなく憑いてきたそうである。

 悪さはしないので、特に問題もない……と山伏の人以外にも言われた。

 もれなく三人である。


 ちなみに、その他の二人は勤めていた社長の知り合いである。

 よく私の家の近くに神社があると言っていないのに当てたものである。

 そんな人たちが、言っているのだからおキツネさんは私の横にいるのだろう。

 で、そのおキツネさんだが、伊勢神宮に行ったのが無事に追い払われたり、浮気されたりせずにまだ私にくっついているらしい。

 まあ、害がないから問題ないのだが。


 で、まとめ。

 高野山は、霊山と言われるだけあって、霊がくっついてくる恐れがある。

 特に墓所でフラフラしてはいけない。

 もれなくたくさん憑いてくる。

 で、万が一用に塩を1キロぐらい用意しておくと安心できる。

 ちなみにお寺は、基本、墓所があるので関係のない人は立ち寄らない方がいいと思う。

 素人考えだが、人が眠っている所に見知らぬ人が入って起こすと温厚な人でも機嫌を悪くするから墓地には入らない方がいい(実感)


 で、それでも無理だったり怖かった場合、伊勢神宮に行くと大丈夫かもしれない。

 ただし帰りにまたくっついてくるかもしれない。

 そこは要検証だが、誰がどうやって調べるかは不明である。

 ただ神宮や神社は霊験が高い分、きちんとしないと怖いところがある。

 私の親戚で、お守り(有名な神社)をトイレに落として大変な目にあったと聞いているので、人としてのマナーは守った方がいい。


 で、最後に。

 よくお寺や神社にお願いごとをする人はいるけど、お願いをして叶えて貰ったら、きちんとお礼参りをしていますか?

 私はそれを事前に聞いたので、お遍路をした際、無事にお参りが出来てありがとうございます、とお願い事をしませんでした。

 だからもしお願いをする時は、よく行くところや地元の神社にした方がいいですね。

 もしこれを読んで、例えば高校に受かりますようにとか恋人が出来ますようにとかお願いをして叶って、そのままにしている人はお礼参りに行った方がいいかもしれませんね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです。 わたしも遠くの神社やお寺に参ったときには「お願い」はしないようにしています。 私自身はゼロ感なのですが、オカルト好きではあるので、こういう話はすごく興味ありますね。 とある…
[良い点] 面白かったです [一言] 主人公がタクシー的役割だと書かれていたので、伊勢神宮に入れなかったんじゃなくて、もしかしたら目的地が伊勢神宮だったとしたら人助け?幽霊助けした良い話だと思いました…
[良い点] 実体験ですか?旅行記としても面白いです。 [一言] 自分の住んでるところは富士山の麓なんで、霊体験する人が多いです、自分はこれっぽっちもそんな体験無いんですがね^^お伊勢さんは数回行きまし…
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