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待て!はペットの基本

ブクマ評価感謝です。

魔王の名前

アルカイナ→ユースフィア

アルナ→フィア

に修正しました。

「お、俺に拭けと……!?」


「ん? だめなのか?」


 俺の問いに対して、そう返してくるフィア。


 いやいや、逆に聞くけど本当にいいのかこれ!?


 お風呂には一緒に入ろうなどと考えていたが、お風呂であればタオルかなんか巻けば大丈夫だろうと思ったからだ。


 しかし身体をタオルで拭くとなれば、完全に見えてしまうのではないだろうか。


 そんなことになって耐えられる自信が全くない……!


「あ、あ、あ、あ、あ、フィアがいいなら、ふ、拭くけど……?」


 散々迷った挙句、幼女に丸投げした。


 これはどうにも俺に決められることではなさそうだ。


「ならたのむっ」


 そう答えるフィアには俺の葛藤など知ったことでは無いのだろう。


 しかし、フィアがそういうのであれば仕方がない。


 そう、仕方がないのだ。


 仕方がない、うん、仕方がない。


「…………」


 自分の手に握られている濡れタオルに目を落とす。


 今からこれで、フィアの、幼女の汗を拭きとるのだ・


 ご、ごくりんこ。


 思わず喉を変に鳴らす。


 だが、言ってしまったからにはここで立ち止まるわけにはいかない。


 俺はタオルを握りしめる。


「じ、じゃあフィア、服を脱いでくれるか?」


「りょうかいだ!」


 フィアが着ているのは前でボタン止めする形のワンピースだった。


 静かな部屋の中でボタンの外れる音が嫌に響く。


 フィアには俺の鼓動が聞こえていないだろうか!?


 さっきから結構本気でやばいのだが!!


「じ、じゃあ、たのむぞ?」


「あ、あぁ任せろ」


 フィアはどうやらまず背中を拭いてほしいらしく、その白い背中を(あら)わにしている。


「……」


 俺はゆっくりとその白い肌に手を伸ばしていく。


 覚悟を決めるんだ、俺!


「ひゃあっ!?」


 しかし俺が背中に濡れタオルを押し当てた瞬間、フィアが黄色い声をあげる。


「あっごめん、いきなりだったなっ、次から気を付けるからああああ」


 もうちょっとフィアに気を遣ってやればよかったと反省する。


「じ、じゃあ、拭くぞ?」


「う、うむ」


 フィアも俺につられて緊張しだしたのか、どこかその返事はぎこちない。


 今度はゆっくり、フィアの背中にタオルをあてる。


 薄いタオル一枚越しに伝わる、肌のやわらかさ。


 自分のとは明らかに違うそれに、思わず固まってしまう。


「……ツ、ツキト…?」


「あ、あぁ、なんでもない」


 フィアの呼びかけでようやく我に返った俺は、その背中の汗をタオルでゆっくりとふき取っていく。


 因みに、フィアは魔王であり、もちろん背中には羽が生えている。


 白い肌とは対照的なその黒い翼は、どうやら小さくすることが出来るようで、身体を拭いている間は拭きやすいようにと、小さくしてくれている。


 そんな気遣いがまた可愛いくてたまらないのだが……。


 そんなことを考えながら、俺はフィアの背中にある翼の生えぎわを拭きにかかる。


「ひゃあああああっっ!?」


「な、なんだ!?」


 しかしその瞬間、先ほどとは比べ物にならないほどの反応をフィアが見せた。


 その声に驚き慌ててフィアから離れる俺。


 フィアはそんな俺を背中越しに振り返りながら、キッと強くにらみつけてきている。


 お、俺が一体なにをしたんだろう。


「お、おまえ! いまなにをしたんだ!?」


 頬を上気させながら、フィアがそんなこと聞いてくるが、そんなこと俺のほうが聞きたい。


 今、俺は何をしたんだ?


「も、もういい! 身体を拭くのは自分でやる!」


「え、ええ!?」


「ペットにさせようなんてかんがえた私がばかだったんだ!」


「そ、そんなぁ!?」


 折角もうすぐ背中も終わって、次はついにお楽しみのところだったというのに!?


「お前もじぶんでやってろ!」


 そう言いながら濡れた新しいタオルを投げつけてくるフィア。


 そしてそのまま部屋のドアを激しく開け放ったかと思うと、どこかへと行ってしまった。


 まさかの展開に思わず膝をつく。


 こんなお預けを喰らうとは思ってもいなかった。


 くそおおおおおーー!!!


 俺の心の叫びを聞いたものは誰もいなかった。




 それにしても、怒った顔の幼女も可愛かったな……。


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異世界ものに疲れたかたは、どうぞ。

現代恋愛ものです。

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