第85話:答え
両親を亡くしたあの日から、私の中に宿る炎はその性質を変えた。多分、一族以外の人間にはその違いはよく分からないと思う。
今の自分の炎はというと、見た目で言えば、青から赤へ。本質的な変化は、無から有へ。
記憶を無くしてからの自分の炎は、何も宿らないただの炎。
それ以前と枷を外した自分の炎には、命が宿り意思がある。
―――――ヒサシブリダネ、カノン。オカエリ
―――――サァ、ボクタチハナニヲスレバイイ?
聞こえてくるのは、炎に宿る火精の声。
何をすればいい?
そう問いかけてくる彼等に何を命じればいいのだろう?
記憶の中の幼い自分が望むのは、自分の家族と幸せな日常を奪い去った人間達への復讐。
でも、それが一番良い道なのだろうかと今の自分は問いかけてくる。
分からない、どうすればいいの?
沙紀は固く握りしめていた両方の手のひらを開き、それらを見つめる。
この力を使うべき事は、復讐かそれとも未来の為?
沙紀が自分の進むべき道を考えあぐねている時だった。彼の声が聞こえたのは。
「駄目です! 沙紀さん! 復讐なんてあなたの家族は望んでません」
振り返ると息も絶え絶えといった様子の大祐が部屋に駆け込んできた。
「あなたの家族が望むのは、あなたが笑って過ごすことです。笑って幸せになることです。言っていたじゃないですか、家族は優しかったって。そんな人達が大切なあなたが闇に堕ちるのを望む訳ないじゃないですか!!」
その大祐の心からの叫びは、沙紀の心を蝕み始めていた何かを晴らす為の十分な光になった。
「…………ありがとう、タロ。危うく道を踏み外すところだったわ」
沙紀は、右手を大きく上から下に振って千夏の作りだした檻を破壊する。その沙紀の顔には先ほどまで浮かべていた暗い笑みとは違う迷いを振り切った清々しい笑みが浮かんでいた。
ここからかなりのテンポで話は進んでいきます。
ホントにかなりピッチが上がります。
そのせいかしばらく1話、1話が短め。
言えることは、ラストが近いということです。




