第6話:能力者
大祐達が犯人の元へ向かっていると、すさまじい突風が吹き荒れる。そして周囲の廃ビルの窓が割れていく。
大祐はとっさに沙紀の腕を掴み抱え込む、そして突風に飛ばされないよう体を低くし風が収まるのを待つ。
周囲の警官隊も同じように姿勢を低くし、身を守っていた。
時間にすると数十秒だが、とても長く感じた。
そして周囲の状況を大祐が確認していると、自分の腕をバシバシと叩く沙紀に気付く。
大祐が腕の力を緩めると、大祐の体と腕の間から沙紀が顔を勢いよく出す。
そして、ゼェゼェと呼吸したのち、大祐の足を思い切り踏みつける。
「イテェ!!」
「痛いですって?こっちは、窒息死するとこだったわよ!!」
ギロリと沙紀に睨まれ、大祐は謝り自分の腕から沙紀を解放する。
「・・・・・・・でも助かったわ。ありがとう」
沙紀は、そう言うとクルリと向きを変えスタスタと歩いていく。
心なしか頬を赤らめている。
「あっ、待ってください!!」
そんな沙紀を見て、可愛らしいなと思いながら急いでその後を追った。
突風が吹いてきたブロックの近くにくると、沙紀は銃を取り出す。
「出力レベルは中で、タロ、あなたも出す」
大祐は慌ててホルスターから銃を取り出すと出力レベルを取り出す。
「私の合図で一斉に出て下さい。念のため私がシールド張ります。タロ、あなたが先頭でね?」
「りょ、了解です」
「では、5・4・3・2・1」
沙紀が0とカウントすると同時に大祐は、角を曲がり突風を作り出したと思われる人物に銃を構える。
「手をあげろ!!」
その声に振り向いたのはまだ若い少年と少女。そして背の高い青年だった。
(子供?子供が何で?)
3人は、驚きながらもそろそろと両手を上げてこちらに恭順の意志を示した。
それを見た沙紀は、銃を構えながら前へと進み、3人に話しかけた。
「申し訳ありませんが状況が把握出来ない状態ですので我々と一緒に来ていただきます」
背の高い青年が、少年と少女を庇いながら沙紀に問いかける。
「それはかまわないが、君は一体何者かな?お嬢さん」
その瞳を見たとき、何故だかわからないが大祐の体を恐怖が支配する。
(何だ、あの男。・・・・・・・人間じゃない?まさかな・・・・・・)
「私は特異能力犯罪捜査課に所属する刑事で九重 沙紀と言います」
えっと、始まりの風にでたシーンとリンクします。
あと2話ぐらい。
大祐達から見たあの出会いってことで。