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第52話:ミサ

 沙織がミサの準備の為にいつもより早く登校すると、学院の中がざわついた雰囲気に包まれていた。

 いつものざわつきと違うと思ったのは、生徒だけでなく教師達が動揺しているのが見て取れたから。

 この学院の教師達の質は悪くない。名家の子女を多く預かっているからか教師達も責任感が強く、何かあったとしてもそれを表情に出すことがないように努めているからだ。

 「一体、何があったんだ?」

 沙織は、ミサが行われる礼拝堂に向かいながら辺りの教師や生徒達に気を配る。

 礼拝堂に入ると中央で神父と生徒会顧問の安藤が何やら真剣な表情でひそひそと会話している。

 「おはようございます、神父様、安藤先生」

 沙織が声をかけると二人は話すのを止めて、一瞬でいつもの笑顔に戻る。

 「おはよう、三瀬さん」

 神父は、挨拶だけ交わすと足早に去って行く。その姿を見送りながら、沙織はチラリと安藤へと視線を向けると周囲に誰もいないことを確認してから質問する。

 「先生、この騒ぎは一体何ですか?」

 「別に騒ぎなど起きていませんよ」

 安藤は、いつもと同じ優しげな笑顔向けるが沙織は騙されなかった。

 「先生、私は生徒会長です。学院で何か起きたのなら知っておかないと生徒達をまとめることは出来ません。それに先生方がおかしいです。これでは、他の生徒が気づくのは時間の問題です」

 強い口調で一気にそこまで話した沙織は、安藤の様子を窺う。

 「ミサの時に説明します。そう言っても貴方は納得しないでしょうね?」

 困ったように笑った安藤はすぐに真剣な表情に戻り沙織に耳打ちした。

 「天見さんの容体が悪く、現在意識不明です。今日は彼女の意識が戻るように皆で祈るつもりです。貴方達は仲が良いからどう告げようか思案していたのだけれど、普段冷静な貴方だからこそ今、告げておきます」

 「はい、分かりました」

 沙織は、安藤の言葉にかなりの衝撃を受けたがそれを気取られないようにそれからは普段通りに行動した。

 そして彼女の意識が戻るように誰よりも祈った。


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