第50話:修復
しばらくして病棟の方から小さな足音が聞こえてきた。
大祐達が振り向くとそこには、女性に連れられた沙紀がいた。
視線を彷徨わせ不安げな顔を浮かべながらも女性に軽く押された沙紀は、ゆっくりと三人の元へと近づいてくる。
そして俯き、声を震わせながら小さな声で呟いた。
「…………心配かけてごめんなさい。それと……」
沙紀の言葉は途中で遮られる、皐月が優しく抱きしめたことによって。
驚きながらも沙紀はおずおずと両手を伸ばし、皐月の背へと回す。そんな沙紀の頭を田丸は軽く二、三度撫でた。
そして大祐が側に寄ると皐月から離れた沙紀は、神妙な顔つきで勢いよく頭を下げる。
「ごめんなさい」
その直後、同じように大祐は頭を下げる。
「すみませんでした!!」
一瞬の間の後、互いに恐る恐るといった感じで顔を上げて視線を交わしあう。
すると二人は、互いに吹き出して笑い出す。
何故かいつもとは違う互いの態度や表情がおもしろかったのだ。
そんな沙紀と大祐を見て田丸と皐月はホッと胸をなでおろす。
これで二人は大丈夫だろう、それに今回の件で二人は本当のバディになれた気がする。
「ちょっと二人とも何がそんなにおかしいのかしら?」
「そうだぞ、お前らへん」
二人が加わり更に楽しそうに騒ぎ始める四人だった。
そんな四人の姿を見て華炎と炎輝を安堵の笑みを浮かべて姿を消す。
そしてそんな精霊達を杉浦は一人、膝をつき礼をして見送った。
いつの間にか沙紀の髪にはいつもの組紐が戻り、銀色の紐が月明かりを受けて優しい光をおびていた。
仲直りまでもっていけました。
何となく2人の仲直りはこんな感じだろうと思います。
それに良い関係程、仲直りの時って照れくささがあると思うのです。