第41話:要注意人物
「おはようございます」
3時間程の仮眠を取った大祐は身なりを整え本部へと戻った。
「おはよう、大祐君」
「はよう」
大祐の声を聞き、部屋の奥のソファに座っていた2人から声がかかる。
「田丸さん、戻ってきたんですね」
「ああ。お前も気になるもんを見つけたみたいだな」
田丸が指さしたのは、沙紀の鞄から発見した2枚の見取り図。
「何か分かりましたか?」
「分かったわ。手短に会議するから大祐君も座ってちょうだい」
皐月に言われ大祐は田丸の隣に腰を下ろす。
「まずこの見取り図だけど、違いは1つね。ここよ、古いものには地下への階段があるけれど新しいものにはないの」
「地下への階段ですか。でも、この間行った時はそんなもの無かったような」
「ああ、俺も見たがそこは完璧な壁」
「行ってみないとはっきりしたことは言えないけど、多分幻視結界でも張ってあるんじゃないかしら。もしそうだとしたら結界を張った人間はかなりの腕よ」
皐月の言葉に大祐は唸る。確かにたいして力のない自分ならともかく田丸にも分からなかったというならかなり注意しなければならない。
「幻視結界ね」
そう呟いた田丸は、いつにない真剣な顔で何か考えこんでいる。その様子を見た皐月は、何かあると思い話すように促す。
「何か気になることでも?」
「実は昨日のことなんだが…………」
田丸が語った出来事を聞いて大祐と皐月は驚愕する。
生徒会長が結界を張っていた?
ということは彼女も能力者ということだが、一応潜入前に生徒達の資料をチェックしたが能力者名簿に記載されている人物はいなかったはずだ。
「それでだ、俺の知り合いの情報屋に三瀬 沙織の調査を依頼しといた。今日中には結果が届くはずだ」
「そう。ならとりあえずはその結果を待ちましょう。大祐君はそれとなく彼女を見張っておいてちょうだい」
「分かりました」
「さっちゃんがいつどこで薬を飲んだのかは分からない。だからもし何かつかんだとしても絶対に1人で先走らないこといい?」
田丸と大祐の顔を交互に見つめ皐月は強く念押しをした。
「「了解」」
もうちょっと3人での行動が続きます。