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第31話:図書館

 2人は下駄箱で靴を履き替えて校舎の裏手にある図書館へと向かった。

 この学院に来た当初、校舎とは別に作られた立派な図書館に華音は驚いた。

 「いつ来てもすごいと思う。ここ」

 華音は思わず感嘆のため息をつく。それほどまでにこの図書館はすごいのだ。

 「元々はどこかの華族が所有していたらしいからな」

 沙織の言葉に華音はなるほどと思う。確かにそういう話に相応しい建物だ。

 図書館の中に入ると一番に目を引くのが天井の中心にはめ込まれたステンドグラスだ。そして高校の図書館とは思えない程の蔵書の数々に驚かされるのだった。

 2人は、個人用スペースを隣り合わせに取り、それぞれ勉強を始める。

 しばらく、勉強をしていたが集中がとぎれた華音は、隣に目を向ける。すると沙織は熱心に勉強している。

 (すごい集中力だわ。これくらいの集中力をタロにも持って欲しいわ)

 あいかわらずシールド保持訓練で失敗ばかりする自分のバディを思いだして、華音は苦笑する。

 そして沙織の邪魔をしないよう音をたてないように席を離れると図書館の中を探索し始める。

 なかなか興味深い文献が数多くあり、それを手にとってパラパラと見ては閉じを繰り返しながら奥へ進む。

 図書館の2階へと続く階段の前で立ち止まると何かおかしいことに気がつく。

 別段おかしいところは見受けられない。階段があり、その数メートル先にはトイレへと続くドアが存在しているだけなのだが。

 何だろ?妙に空間があるというか。

 階段の手すりの壁に触れながら移動し、トイレの扉の前へと歩く。その数メートルの壁に感じたある感触。

 これは結界?何でこんなものがこんな場所に?

 壁を凝視し考え込んでいると後ろから声がかかる。

 「何してるんだ?入らないのか?」

 それはトイレのドアの前で立ち尽くしている華音を見つけた沙織だった。

 「え?ううん、何でもないないわ。ちょっと考えごとしていたの。先に戻ってるわ」

 華音は、何気なくその場から離れながら結界の正体について考えていた、その為自分の後ろ姿を感情を一切排除した冷たい表情で見つめる沙織に気がつかなかった。


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