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第25話:転校生

 「三瀬さん。ちょっといいかしら?」

 朝礼の準備をしていた三瀬 沙織みつせさおりは、クラスの担任である安藤に声をかけられた。

 「はい?じゃあ、あとよろしく。………何でしょうか?」

 準備をしていた他の子に後を頼むと声をかけてきた担任の元へと向かう。

 「実は今日から転入生が来るの。その子のお世話を頼みたいのだけれど」

 「かまいませんけど」

 生徒会長である沙織は、生徒や先生からも一目おかれている存在だ。特にこの学校で生徒会に属するということは、成績優秀者の証拠でもあるから。

 その生徒会の中で沙織はその姿から学内に信奉者が多数いる。

 長身で栗色の髪をショートにした涼やかな目元の少女であり、この鏡花女学院の王子様と影では呼ばれている。

 「でも転校生とはめずらしいですね?」

 「ええ、今まで海外で暮らしていたらしいのだけど、ご両親の都合で帰国したそうなの。日本語は完璧に話す子だからコミュニケーションには問題ないのだけど……」

 「だけど?」

 担任が途中で言葉を切ったのが気になった。

 「ごめんなさい。変なところで切ってしまって。少し恥ずかしがり屋だというお話なの。でも、大丈夫でしょう」

 「そういうことですか。うちのクラスなら大丈夫です」

 「お願いね」

 (転校生か、めずらしいことがあるものだ)

 この鏡花女学院は、幼稚舎から大学までの一貫教育で通っているのも深窓の令嬢ばかり。沙織自身も同じような立場だが、少々刺激が少なく物足りない。

 本当なら外部受験でもして共学校にでも行こうかと思ったが母も祖母もここの卒業生ということでそのまま高校まで進んだ。

 さすがに大学は、外部を受験しもう少しランクが上の所に行きたいと思ってはいるが。

 そんなことを考えつつ窓から見える中庭を眺めながら歩いていると前方を歩いていた担任が立ち止まる。

 「先生?職員室は、もっと先ですが」

 「理事長室にいるということなの」

 担任の言葉に沙織は驚いた。

 (どうやらただの転校生ではないらしい)

 コンコン!

 「どうぞ」

 「失礼します」

 理事長室に入る担任のあとを追いかけ、一礼してから部屋に入る。

 と、沙織はそこにいた少女に目を奪われた。

 そこにいたのは、小柄で茶色の髪を背の半ばまで伸ばした青い瞳の美少女だった。

 そして互いの目が合った瞬間、少女は頬を少し赤らめはにかんで笑った。

 (まるでお人形みたいだ)


潜入捜査編です。

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