第24話:会議・2
≪裏社交界≫、その名が示すように社会の暗部に存在する社交の場。参加資格は、表舞台で要職に就いている、もしくは就く予定の人間達。
そしてそこではありとあらゆる物が取引されるという。
麻薬・兵器・そして人間も対象物だ。主催者が許可を出せばどんな物も取引対象になるのだ。
もちろん、表でこのことを知っているのは参加資格を持つ者。警察や国では手が出せない世界。
何故なら警察や国の中枢部にも裏社交界に参加している人間がいるからだ。
しかし、不思議なことにこの社交場の主催者についての情報は一切なかった。
だが、参加者達にとってそれは瑣末な事。自分たちの利益を守る為の場を提供している人間を暴こうなどする愚かな人間はいないのだ。
そんな世界に捜査のメスをいれることなど有り得ないと普通の人間なら言うだろう。だが、例外もいるのだという事を彼等は知ることになる。
「何か途方もない話よね」
皐月の言葉に田丸と大祐はまったくだ頷く。
「でも、さすがにやばいんじゃないか?上層部に知れたらまずいだろう?」
「そうね。でも、彼等だって自分達の社交場にそんな危険な薬が出回っているなんて知ったら文句は言えないわ」
「でも、被害者達は若者が多いですよね?そんな社交場に出れるんですか?」
「元々そういう家柄か、青田買いされた人材なら出入りは許されるでしょう」
「参加資格保有者か………どうするか。俺らの周りじゃそんな人間いないだろう」
田丸のもっともな言葉に皐月と大祐は頭を抱える。
「資格保有者になればいいのよ」
「「「は?」」」
突然の沙紀の言葉に3人は唖然とする。
「さっちゃん、なればいいってそんな簡単に。何か策でもあるの?」
沙紀は不敵な笑顔を見せると言った。
「潜入捜査をしようと思うの」
「潜入ってどこにだよ?」
「被害者が出ている学校。そうね、この辺だと鏡花女学院かしら?」
「鏡花!!そりゃ、あそこはお嬢様学校だけど」
「私が偽名で編入してちょっと目立ってみるわ。そうすれば、青田買いが好きな彼等はきっと資格をくれるだろうし。尚且つ情報も集められて一石二鳥よ」
目を爛々と輝かせて話す沙紀を見て大祐は、素朴な疑問をぶつけることにした。
「沙紀さん。そんな簡単に編入できるものですか?」
「裏工作なんて簡単、簡単。一応、私の身分は伏せてもらうけど。じゃなきゃ、捜査も出来ないし」
いとも簡単に言う沙紀を見てああそうなんだと納得してしまう。
(沙紀さんはやるといったらやる人だしな)
「でも、1人じゃ危険なのでは?」
「あら?誰が1人で潜入するなんて言った?もちろん、3人もよ?」
「は?いくらなんでもそんなの無理だろう?」
「ふふふ。大丈夫、大丈夫。準備は私に任せて」
そう言って沙紀は楽しそうに会議室から出て行く。
その姿を3人は呆然と見送るしかなかった。
やっと今回の話のメインの入り口までたどりつきました。