第18話:焦り
沙紀は、会議室を出るとその足で地下の訓練施設へと向かう。
(捜査が始まったばかりの今の内にやらくては・・・・・・・)
そして一番奥にある自分専用の部屋に入ると扉を施錠する。
「やってみるか」
懐から黒い玉を取り出し、部屋の奥へと投げる。すると、その玉が割れ中から黒い気がゆらゆらとまるで意志を持っているかのように立ち上る。
沙紀は、1・2度深く深呼吸をし、集中する。
瞳を閉じ、集中した沙紀からは、紅い気が立ち上り、その周囲の温度が僅かに上昇する。
そして沙紀が瞳を開いた瞬間、黒い気が沙紀に襲いかかった。
その動きを読んでいた沙紀は、後方へと飛びその攻撃をかわす。そして早口で呪を唱える。
「我の血に宿りし、浄化の炎よ。その力を持って彼の気を浄化せよ!」
呪が唱え終わると同時に沙紀の手には紅い炎が現れ、その炎を沙紀は黒い気に投げつける。
炎は、黒い気をつつみ込むとその気を焼き払う。そして、数十秒後にはその気は消滅してしまった。
「・・・・・・・・・・・駄目だわ」
沙紀の口からは、溜息と供に自嘲的な言葉がもれる。
そう、沙紀が炎に命じたのは、浄化であって消滅ではないのだ。
(このままじゃ駄目。これでは、皆を守れない)
沙紀は、焦っていた。
記憶が戻りつつある今、しなければならないこと。それは、一刻も早く浄化の力を使えるようにすること。
何故ならその力があればもしもの時の切り札にもなり、尚且つ皆を守る為の力になるのだから。
(・・・・・・・焦っては駄目。焦ったら余計に力を使えない)
沙紀は、頭を振りもう一度集中し、再度黒い玉を取り出し訓練を再開する。
少し間が空きましたが何とか更新です。
パソコンの機嫌をうかがいながらの作業の上、今週は忙しくなかなか続きが書けない状況です。
かなり、めげてます。
感想をいただけるとモチベーションが高まると思います。
皆様からの愛の手を待ってます・・・・。