まぞですごみですこんにちは
思い付きと乗りと勢いだけの趣味の塊のようなものです。お目汚しにしかならないかと思います。
とりあえずいじめかっこわるいよねみたいなね。
小さなあくびひとつ、吐いて、喉の痛みに顔を歪める。必要以上に正しく眩しい日差しを直視した目はいたくて、肩も、腹も、全部いたくて痛くて、逃げてしまいたくなるほど、辛い。しかし逃げるほどの勇気も臆病者の私には与えられていないまま、いや、勇気はそこかしこに掃いて捨てるほどあったのだが、覚悟が私になかったのだ。勇気は時にすべてを台無しにしてしまう、それを武器にする覚悟が足りていなかった。小さな体ではなにもできまい、弱い女にはなにもあるまいと、目を背けていたに違いないのだ。
「卒業、おめでとう」
母の言葉が小刻みに震えている。声も、その真意も、震えている。祝う気にならないのは仕方がなかった。卒業してしまえば私は高校生で、通う高校は、そんなにレベルの高いところではなくて、今、私を蔑む人たちが全くいないわけではないからだ。これからひどくなるんじゃないか、もっと、ひどくなるんじゃないか。そんな不安をこめられたって、どうなることでもない。時間が過ぎていくのを止めるちからなんて私にはないから、根拠もなく、大丈夫だよ、と気休めにもならない言葉だけを彼女にかけて、背を向けた。
二着目のセーラー服はお気に入りだった。あんまりにも体つきが変わらないものだから、一着目よりも小さく作ってもらった。ボタンを縫い付けた糸は変わっているし、白いラインもすっかりくすんでしまったけれど、今日でお別れと思うと愛しさが湧いてくる。一着目よりもずっときれいなままでいたことがとても、嬉しい。
遠くの学校にしましょう、私立だってお金の心配なんてしなくていいのよ、ねえ、辛いでしょう苦しいでしょう。そういうまわりの大人たちの言葉に頷く事がきっと正しくて、私が刃向かう気持ちがきっと、間違っている。そうでしょう。マゾヒストよろしく痛みを受ける選択を喜んでして見せる私を、なんてあわれで、頭のわるい子供だと思ったのだろう。気狂い扱いされても何らおかしくはない。でも逃げる選択の方が、どうしてか、怖くてできなかったのだ。中途半端な勇気と根性だなあ。