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1+1=1 ~幼き恋心~

「ねぇ別れた彼に未練あったりする?」友達の問いかけに「ない!」キッパリ言い切った私。。。

「付き合ってる時に精一杯恋愛するから、ダメになっても未練は残らない。…でも…あの人と付き合ってたら…どぅなってたかな?って思い出す人は一人だけいるけどね…」


「俺だよ!俺」

突然の電話で私をご指名した後の第一声。

「??? どちらの俺さんでしょうか?」

「啓吾だよ。啓吾。忘れちゃった?」


一瞬、声もでなかった。忘れる訳がない。

彼は私が初めてお付合いした人。

二年前、些細な事から別れてしまった。その後は風の便りで新しい彼女が出来たとか別れただとか耳に入ってきたけれども彼の声を聞いたのは二年振りだった。


「…忘れてないけど…どぅしたの?元気だった?よく家の電話番号覚えていたね」

 次々と質問ばかりが口から飛び出す。交際中彼から電話があったのなんて数える程だったのに、なぜ?今頃になって?


「いや…覚えてたよ。番号。引っ越したって聞いたからさ、番号変わってなくってよかったよ。」


 特に用事があった訳でも何かあった訳でもなく、取り留めのない会話をして電話はきれた。

私も懐かしさだけでいろいろ話はしたが、お互いそれだけだった。


 彼からの電話はその一年後にもかかってきた。

「俺だよ!俺」 相変わらずだ。

 それから、忘れた頃、彼から電話があるようになった。

高校も卒業し車の免許も持った。なんとなく会おうとなったのもお互い少し大人になった姿を見てみたかったからかもしれない。

 

 

 彼との初対面は余り良くはなかった。中学校にあがり、他の小学校から来た子と友達になった。その彼女の彼だった。まだ幼かった私には友達に彼がいる事が衝撃的だった。その彼女から彼の不満を聞いた私は付き添ってあげるからちゃんと気持ちを伝えなよと一緒に会う事になったのだ。彼女の話をちゃんと聞かない彼に腹がたち、思わず注意してしまった…

 お互いに「なんだコイツ」が第一印象。。。

それからも大した交流はなかったように思うのだが、いつのまにやらお互い気になる存在になっていった。

 友達の彼を自分のものにしたいなんて想いもなかったのだが、私の転校が決まった時に、思い出がほしくて映画に誘った。彼は当時野球部でレギュラーになれるかどうかの瀬戸際。練習を休めないから…と断られた。やっぱり彼女が大切なんだよねとデートに誘った自分を恥じた。

 転校してから彼に謝りの手紙を送り、自分の気持ちにピリオッドをうつ事を告げた。


数日後、彼からの手紙が机に置かれていた。返事なんて来ないものと思っていた私の心臓はバクバク音をたてた。手紙を読む私のあの時の心臓の音は今でも覚えている。何も悪い事をしている訳でもないのに、なぜか部屋の隅っこで隠れる様に読んだ。

 「彼女と別れた。本当は映画行きたかった。君が好きだ。付き合ってほしい。」



 遠距離恋愛なんて呼べる程の付き合いでもない。手紙のやり取り、たまに電話。バスで三時間の距離の交通費を一所懸命貯め、半年に一回友達に会いに行った時に公園で10分程度逢って話をする。

 中学校三年生の恋に恋しての恋愛とお付合い。。。かわいいものだった。。。


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