Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 3 10
新年の挨拶なんかよりもっとやんなきゃなんないことがあんだろ?
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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「……へえ、『はちみつラーメン』。これがここの看板?」
アシュリーは、ラミネート加工されたメニュー表の角をピンピンと爪先で弾きながら、
わざと挑発めいた口調で店主に声をかける。
湯切りをしていた店主は、顔を上げることなく、
まるで録音された音声の再生ボタンでも押したかのような、平坦な口調で返す。
「へぇ、左様で」
その感情の乗らない返答に、アシュリーは面白がるように口の端を上げる。
おせちは沈黙のまま、店主の無駄のない、だがどこか機械じみた手さばきに目を向けていた。
「じゃあそれ2つ。あと、餃子とチャーハンのセットも」
「セットはハーフサイズでよろしいですか?」
「いや」とアシュリーは即答し、にやりと笑って続ける。「両方、大盛りで」
「えっ?私はいらない、そんなに……」
おせちが慌てて制止しようとするが、アシュリーはカウンター越しに店主へ挑戦的な視線を向けたまま、その声を取り合わない。
……やがて、カタン、と硬質な音を立てて、2つの丼がカウンターに置かれた。
「餃チャーセットはもう少しお待ちくださいねー」
店主の呼びかけもどこか遠く聞こえ、立ち上る湯気には、例の獣臭と、化学的な甘さが絡みついている。
アシュリーは探るような目つきで、その完璧すぎる盛り付けを検分した。宝石のように艶のある大判のチャーシュー、寸分違わず整えられた煮卵、そして絵の具で塗ったかのように緑の濃いネギ。すべてが食品サンプルのように整然とし過ぎていた。
「……おっちゃん、ごめん、聞き忘れた。これ、ちゃんと培養肉使ってる?ウチらちょっと”能力開発”に凝っててね、
動物のさァ~、『残留思念』ってのはあんまり取りたくないんだよね」
それは彼女たちのような魔法使いにとって、味以上にまず確かめておかねばならない死活的な問いだった。
……2040年代の地球では、ほとんどすべての動物性食品が培養由来に置き換わっている。
それでも魔術の徒にとっては、その忌避は単なる倫理や流行の話にとどまらない。言うなればそれは、犯せば実害を伴う戒律なのだ。
ごくわずかであっても、動物の肉体に残る「思念」を取り込むことは、魔力の純度を損ないかねない禁忌となる。
とくに彼女たちヒーローのような――人のために振るうその力には、ほんのわずかな曇りさえ許されない。
表面上はあくまで気軽いアシュリーの問いかけには、そんな、揺るがせにできない掟の存在がそこはかとなく見え隠れしていた。
「はい、当店はギルトフリーの食材だけを扱っています」
すると、店主はあくまで感情を表に出さず、流れるように答えた。その視線はアシュリーを一度も捉えず、湯気の向こうで淡々とレンゲを磨き続けている。
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面白くなくてもしてくださいね・・・




