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カルテット・マジコ  作者: piku2dgod


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Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 3 09

https://x.com/piku2dgod


本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24843658

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25490740

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=26572256

おせちの決意は、学校を出ても変わらなかった。

シノの涙を胸に残したまま、半ば呆れ顔で付き添うアシュリーを連れ、純粋な客を装って問題のラーメン屋の暖簾をくぐった。

まずは敵を知ることから、と、店の看板メニューである「はちみつラーメン」を注文し、密かにその実態を探り始めるのだった……。


ラーメン屋「麺屋 穴もたず」。


糊の効いた暖簾を押し分けた瞬間、まるで意思を持つ壁のような湯気が、ぬるりと2人を迎えた。むせ返るような豚骨

の獣臭さ。その奥に化学調味料の、いかにも喉の粘膜にまとわりつく、刺々しくも甘い香りが混じっている。


換気扇の低音は、単調なリズムで空間を支配する。その旋律の上で、寸胴がグツグツと粘り気のある飛沫を上げる音と、

壁掛けテレビから流れるバラエティ番組の、やけに虚勢じみて陽気な音声が、互いに溶け合うことのない不協和音を奏でていた。どの音も、ただそこにあるというだけで、奇妙に落ち着かない空間を作り出している。


平日の夜にしては、客入りも悪くない。カウンターには半分ほど人が並び、テーブル席にもいくつかのグループが腰かけている。

この盛況ぶりなら、裏で不正な手段など使わずとも経営は立ちゆくはず――だとすれば、なぜ?お

せちの胸に、釈然としない思いが沸き起こる。


壁には、真新しいポスターや、印刷されたばかりの短冊メニューが、店の歴史のなさを糊塗するかのように隙間なく貼られている。赤いビニール張りの椅子が、定規で引いたかのように整然と並ぶ様は、飲食店というより、どこか無機質な業務用のショールームを思わせた。


長年使い込まれた店特有の、床板や机に染み付いた粘りつくような油の感触――”生きたぬめり”は、ここにはない。すべてが、最近開業したその真新しさに満ちており、その清潔さこそが、かえって不気味な違和感を醸し出していた。


そんな中、アシュリーが通り道に立ち止まってまで目を丸くしたのは、メニューのどれもが、採算を度外視したかのような異

様な安さをしていたためだ。


「……しょうゆ350円!?ほんとかよ?ごめんじいちゃん、毎日ここだわ」


本気とも冗談ともつかないその言い草に、おせちは内心、ため息をつかざるを得なかった。

餃子やチャーハンも、スーパーの冷凍食品とほとんど変わらない価格帯。

たしかにこれでは、近隣の同業者を淘汰するための、あからさまな意図が感じられても無理はない。


ビニール張りの丸椅子は、客を歓迎する気配などみじんもなく、初々しいほどの硬さで2人を迎えた。

カウンターに肘を乗せるなり、アシュリーの野性味あふれる美麗な眼差しは、自然と厨房の奥へと流れていく。

蛍光灯の冷たい光に照らされたステンレスの調理台は、極端なほどに無機質な輝きを放ち、

油の1滴も、水の筋ひとつも見当たらない。情熱の余韻も、日々の研鑽の痕跡も、そこにはまるで刻まれていなかった。


もしこのお話が面白いと思ったらぜひ身近な方にも教えてあげてくださいね

SNSなんかでもどんどん宣伝してくださいね!

面白くなくてもしてくださいね・・・

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