Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 3 05
BUDDHAの休日 瞑想日 マイケル・マンの映画よりあつい
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「ふざけるな!何が“自由意志でこの道を選ばせただ”よ!」
ついにアシュリーが、抑えていた怒りを爆発させた。
「人でなしー!」
「うそつき!鬼ー!」
「誘拐犯ーッ!」
滾っていた場の怒りが、一気に決壊した。
手近なクッション、雑誌、ぬいぐるみ――目に入ったものすべてが、感情の濁流となって尊めがけて投げつけられる。
「ぐっ!何をする…‥」
思わず頭を腕でかばいながら、尊は小動物のように身をすくめる。
非難の嵐が、次々と柔らかな衝撃となって全身に降り注ぐ。
どんな理屈も、いまは一切通じない。4人の娘たちは、まるで幼い頃の駄々っ子のように、溢れる思いのすべてをぶつけてくる。
「ゴミー!」
「バカ!」
容赦ない罵倒と、柔らかい物体の投擲が止まらない。
そのさなか、分厚い漫画雑誌が耳元をかすめた瞬間、尊は片目を見開き、なぜか的外れな怒鳴り返しを放つ。「なんじゃと、誰が勇次郎の背中じゃ!」
「それは言ってないって!」
おせちが、涙にぬれる毅然とした声で叫び返す。
「わかった、わかったから!まあまあ!でも、結果として損は何もなかったじゃろ!ただ、わしは、お前たちの体から“いらん物質性”をできるかぎり取り除いてやろうと思ったのじゃ!
その親心……どうかわかってくれぬか?」
尊は、両手を大きく広げて、四方八方に訴えるように必死で弁明する。
だがその姿は、どこか開き直った図太ささえ漂わせ、嵐の渦中にいるとは思えない余裕すら見え隠れするのだった。
「それは、そうかもだけど……」
そしておせちが、不承不承ながらも理屈の上では納得し、かろうじて呟や。
「……ならよしじゃ!」
尊は、待ってましたとばかりに片目をつぶり、ふてぶてしいウィンクとサムズアップを高々と掲げて見せた。
まるで一連の騒動を、最高の形で締めくくったと言わんばかりの得意げな態度だった。
その、あまりにも空気を読まない振る舞いに、ふたたび全員の逆鱗が撫で上げられた。
呆れと、1周回って吹き出すような怒りが入り混じり、ちゃぶ台の周囲では、クッションや雑誌が乱舞し始める――物投げの嵐が、またもや
盛大に吹き荒れるのだった。
唯一、この混乱の中で態度を決めかねていたのが、はちるだった。
裏切られた悲しみと、それでも、捨てきれない母への情。そのはざまで、彼女の心は、姉妹たちの輪からほんの少し切り離された場所で激しく揺れ続けていた。
だが、飛び交うクッションの向こうで、縮こまる母の姿がふと目に入った瞬間、彼女の体は意思よりも先に動いていた。
結局、「ママっ子どうぶつ」のはちるは、母をかばうようにしてその前へ立ちはだかったのだ。
尊は、唯一の味方となった娘を、さりげなく、しかし故意犯めいて盾にしながら抱き寄せる。
はちるは尊の腕の中から、不安げに姉妹たちの顔を見回し、まだ涙に濡れた声で、懸命に仲裁の言葉を紡ぐ。
「きっと、ママも良かれと思ってやってくれた……ことだと思うだよ!ね?だから……だから、もう許してあげようよ!」
その一言に、尊は待ってましたとばかり大げさにうなずく。
「そうじゃ!そうじゃ、はちるの言う通り……!」
と、思わず声を張り上げるが、3人の冷ややかな視線に気づき、慌てて口を手で覆い声を潜める。
「……そうじゃろ?」
アシュリーは舌打ちを返し、おせちは深いため息とともに天を仰ぐ。
ここで争いを続けても意味はないだろう。
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