Issue#02 I UNDERTALE CHAPTER 5 01
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CHAPTER 5
……霞をくぐったヘッドランプの光が、微細な粒となって空間に浮かび、その先にある岩壁をぼんやりと撫でていた。
壁面に生す、苔を思わせる結晶質の鉱脈や、かすかに光る地下水の筋。――そのすべてが灰から黒への濃淡に沈み込み、周囲の空気を冷たく染めていた。
異様なまでに凹凸の多いトンネルを、4人の少女たちは無言のまま歩み重ねていく。
ピスヘルメットの前灯、肩から斜めに掛けた丸形の水筒、バックパック、砂色のサファリジャケットに膝上丈のハーフパンツ。
そろいの装備は、彼女たちの輪郭に均整さを与えつつも、身長や姿勢、動作に応じてそれぞれの個性をそこに微妙に醸し出している。
統一と変奏の入り混じるその佇まいは、どこか未熟な探検隊のようでもあり、装いの軽妙さとは裏腹に、少女たちの歩調には不思議な沈黙と決意が宿っている。
このところ、カルテット・マジコの4人は、まさに言葉通りの「地底行軍」を続けていた。
「……この国、本当に“酷道”しかないな。ここ何号線だよ?まともな標識どころか、ひん曲がった鉄板すら見当たらない」
先頭を進むアシュリーが、呆れ声を落とす。乾いたブーツの足音が、歪な空間で反響し、四方に乱れて返ってくる。
「アリの巣だよ、アリの巣。夏休みの自由研究。……まさか自分がその中を歩かされるとは思わなかった。誰かがケースの外から私たちを観察してたらどうしよう?」
2番手を行くおせちが、バックパックのストラップの食い込みを、それとなく正しながら応じる。そこに吊られた金具が、歩調に合わせてかちゃりと音を立てた。
「データじゃさ、テラリアって人口4億の超大国って話だったよね?にしては、人と全然すれ違わないけど……?」
3番手のさなが、ヘルメットを乗せた頭をかしげる。表情には、警戒と好奇が微妙に入り混じっていた。
「……地理的には、地球のある深度より下、全部が“領土”ってことらしいネ。
そうなると、あんまり広いから、自分たちの土地なんて誰も正確に把握してないんじゃない?
だったら、常に最大感度で収集してるココの地形情報や信号は
向こうにとってもお金出して買いたいくらいの情報ってワケだよね」
最後尾のはちるが、にこやかな調子で応じた。彼女の背負う大型の装置は、まるでラジコンのコントローラーのような形をしており、
一角の太いアンテナが周辺の電波や音波を常に拾い上げて解析している。手にしたノートPCのモニターには、
歩行とともに周囲の地形がリアルタイムでマッピングされていく。




