Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 2 23
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やがてスヌープキャットは、どこか呆けた表情のまま、掌を差し出す。
その手のひらからは、ひと握りの葉、黄色い薔薇、オリーブ、コスモス、そして桃色のデイジーが、ほほえむように花開く。
彼女は掌を前へと突き出し、無垢な生命が育まれる奇跡の過程を、エイペックスに示す。
だが、窮した彼は、その最後の慈悲さえも、己への侮辱と受け取ってしまった。
「……うがァゥッ!!」
今まさに再生したばかりの腕で、眼前に広がる、おぞましいまでの生命の輝きを、左フックで掻き乱すように払いのける。
――誰が知るだろう?それらの花々に『平和』という花言葉が宿ることを。それはこの土壇場において、はちるの底抜けに優しい魂がなお示した、あまりに高潔で、あまりに無防備な、最後の和解の機会だったのだ。
「うぉァッッ!!」
続けざまに放たれる渾身の右ストレート。だが今度こそ、その拳が働く無礼は許されない。まるで雑貨屋の棚を吟味するかのように、ごく無造作に動くスヌープキャットの手がその拳をそっと掴み、そして無価値なものとして――あまりにあっさりと掻き捨てた。
それだけのことで、テクノオーガニックの強靭な片腕は、上腕から容易く引き裂かれた。
断面から露出したエネルギーパイプが、蛇のようにのたうち、火花を散らしながらも再生を始める。
だがエイペックスは、その狂乱めく光景を、ただ信じがたい思いで見つめることしかできない。
そして、固まったまま下を向く彼の輪郭に、陽炎めいた白いオーラの末端が、そっと触れる。
冷たい電流の走りが本能を直撃し、エイペックスは恐怖に駆られて顔を上げる。
目の前には、「生命の可能性」その極致。
その瞳に揺れる、現世を映さぬ曖昧な光が、いま初めて、排除すべき唯一の異物――すなわち自分だけを捉え、絶対零度の意志へと収斂していく。
機械の眼窩は、その魂を凍りつかせる戦慄を表現するには、あまりに無力だった。
ただレンズが無機質に収縮を繰り返すのみ――それが、精神の崩壊を如実に物語る。
そして、白くしなやかな指が、彼の首を、ゆっくりと、しかし天体の運行にも似た、抗いようのないはたらきで、掌握していく――。
機械の頭部を掴んだ白い手が、その鋼鉄の外殻を卵の殻のように圧し割ろうとした、その時――
檻を打ち破った家族の愛が、神へと昇華した姉妹の殺意を、最後の一線で食い止める。
オールラウンダー、イムノ、ミーティス、ホットショット。
4つの魂が、祈りをそのまま力に変え、光の化身と化した姉妹の身体へと、
その存在ごと飛び込んでいく。
まるで鉄の輪に複数の鍵が絡みつくように、4つの影がひとつの光へと吸い寄せられ、互いに絡み合い、引き上げる。やがて、重なった影と光は、ひとつの存在へと収束し、ゆっくりと地面へと倒れ込んでいった。
舞い上がるのはわずかな砂煙。それと共に、純白のオーラも霧散し、神の時間は終わりを告げた。
あとに残されたのは、傷つき、息も絶え絶えに身を寄せ合う、ひとつの家族の――不格好で、しかし何よりも尊い輪郭だった。
その奇跡の余韻の中、エイペックスの半壊した頭部は、歴史そのものから忘れ去られた鉄屑のように、
「からん」と乾いた音を立て、アスファルトの上を虚しく転がっていった。
やがて、万物を揺るがせた戦いの余波も徐々に遠のき、形だけが性急に取り戻されたされた街に、
どこか儚い静寂が降りてくる。
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