Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 2 21
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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対するスヌープキャットは、そのすべてを、ただ無心に見ていた。眼前に迫る、すべてを無に帰す黄金の奔流。
その瞳は、しかし、ただ虚ろに澄み渡り、微塵の動揺さえ映さない。
やがて、彼女はおもむろに、その小さな掌を横に差し出す。その中心に――宇宙の創生の瞬きにも等しい、絶対的な1点の光が、音もなく灯り始める。
「だめ、はちるっ……!それは、太陽に当てちゃダメぇ!」
それは予知ではない。因果の鎖を断ち切り、時空を超えてミーティスの魂に直接叩きつけられた、宇宙そのものからの警鐘。
太陽が黒く蝕まれ、すべてを飲み込む絶望の未来。その確定した光景が、彼女の精神を内側から灼き尽くした。
魂の絶叫が届いた刹那、スヌープキャットの肩が、肉眼では捉えきれぬほどにかすかに震えた。
世界の破壊さえ厭わなかったはずの絶対の一撃は、間際で軌道を変え、
ただ敵の攻撃を逸らすためだけの、きわめて精緻な1打へと変容する。
振り抜かれた掌から放たれたのは、凝縮されたビッグバンそのもの。「コマを投げるような」と形容するには、あまりに柔らかで軽薄な投擲。だが、その緩やかな軌道には、空間を圧殺するほどの絶対的な質量が伴っていた。
手元を離れた1点は、またたく間に天を摩する光の巨塔へと爆発的な成長を遂げ、眼前に迫る灼熱の破滅と正面から激突した。
黄金と純白――ふたつの絶対がせめぎ合い、時空そのものが悲鳴を上げてきしむ。
だが、破壊は訪れない。プランク秒の後、スヌープキャットの純白の光が、黄金の破滅を柔らかく包み込み、そのベクト
ルを、抗いようもなく捻じ曲げていく。
誰の制御も離れた混淆の光条は、天を貫く絶望の矢となって宇宙の深淵へと突き進む。人知れず、太陽の彩層を冒涜する
ように掠め、その神聖な表面に、“あり得ざる黒い傷痕”を深々と刻みつけながら、無限の彼方へと流れ去った――。
次の瞬間、
「!!」
スヌープキャットの姿はエイペックスの目前にあった。
そこに“移動”という現象は、そもそも存在しない。空間が、より高次の理によってごく自然に“書き換わった”――それだけだ。
それは、宇宙という長大な詩から零れ落ち、誰の記憶からも消え去っていた禁断の1節が、
奥ゆかしく、しかし圧倒的な威光をもって蘇るさまにも等しかった。
その異象を前に、エイペックスの思考は完全に停止する。知性の果てにある畏怖ではない。捕食者を目前にした獣のごとき、本能的な恐怖。
ただその衝動だけが、彼に最大出力のフォースフィールドを展開させた。思考を挟まぬ反応は、まさに神速だった。
だが、すべては無意味だった。26世紀の科学技術が結晶した障壁。その光の壁に、彼女の白い指先は、
まるで水面に触れるように、いささかの抵抗もなく、静かに沈み込んでいく。
スヌープキャットは、殴らない。
障壁の内側で、ただ、揺るぎない意志を込めて、白い指をゆっくりと、だが確かに拳へと握りしめる。
その単純な掌握が、引き金となる。
ふたつの因果がそこで結び合い、世界の織り目に緊張が走る。
握りしめられた拳、その1点を中心に、空間そのものが爆縮し、
まばゆい閃光がエイペックスという存在を根源から外側へと弾き飛ばした。
彼の身体は光速にも近い弾芯となって、視界の果てへ際限なく吹き飛んでいく――。
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