Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 2 03
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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拳を思わず握りしめると、関節がごきりと鳴り、指の付け根を覆う白く硬い体毛が逆立った。川原の石ほどもある大
きな指の関節が、怒りに白く色を変える。
「そんな……」
言葉を失う。友の悲しみに寄り添いたい。温かい言葉で、その心を慰めたい。そう願うのに、今の自分はあまりに無力
だった。もどかしい思いに突き動かされ、ミーティスは腕を広げる。自分のものとは思えぬほど重く、大きな腕を。た
だ、華奢な友人の肩を優しく抱く、そのためだけに。
しかし、空気をかきわけて伸びたその腕は、あまりにも無骨だった。広く、革のように硬い掌。丸太のように太い指。
そして、そのすべてを覆い尽くす、銀のうっすら混じった白の剛毛。
そう、ゴリラの厚い手だ。
およそ少女のものとはかけ離れた、強大な獣のそれが、シノの華奢な肩に、ずしりと置かれた。
「ごめん、今する話じゃなかったよね……」
「いいんだよ。辛いことがあったら、いつでも話して…」
さなの悲痛な言葉が公園の空気に溶けていく。その余韻を打ち破るように――地響きが、来た。
駆けてきたのは、燃えるような赤毛を逆立てた、ひと回り小柄なゴリラ。その身に、まだ結界を突き破った瞬間の
波紋をまとわせながら、四つ足で大地を疾走してくる。
2人の目の前で土を蹴り上げて急停止すると、その獣――ホットショットは、荒い息のまま叫んだ。
「さな、交代だ!こっちもだいぶ浴びた!」
「うん、わかった!」
ミーティスは力強く応じると、シノの肩を1度だけ安心させるように叩き、名残惜しそうに手を離した。
ホットショットは、交代のため立ち上がるミーティスの姿に、何かを言いかける。
「でもこうなると、さすがのお前でもぜんぜん幼く……あ、」
言葉は途切れた。うさ耳フードの道服をまとったゴリラの姿が、陽炎のように揺らぎ、
みるみるうちに収縮していく。そして、そこには元の、神がかりの域にある美少女――ミーティスが立っていた。
「……これ新情報な!『さな』って名前はな、『幼い』の略なんだよ」
交代で乱暴にベンチに腰を下ろしたゴリラ姿のホットショットは、その巨体に似合わぬ軽薄な笑みを浮かべ、
さも耳寄りな情報があると言わんばかり、シノの方へ、いやらしく体を這わせながらささやいた。
「ほんとぉ?」
シノは、目の前の超常的な光景に興味を奪われつつ、そのように返す。
「……ちがうもん!じゃあ行ってくるからね、ゴシュリー!」
愛嬌のある悪態を残し、ミーティスはふわりと宙に浮いた。そして次の瞬間、地面を蹴る。アスファルトが蜘蛛の巣状に砕け、
彼女の身体は1筋の光となって結界の中――粉塵と閃光が暗く渦巻く破壊の中心地へと、真っ直ぐに飛び込んでいった。
「あとは任せたぞー!」
「まかせて!あんなゴリラ、このターンでリーサル取ってやるウホ!」
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