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Issue#02 I UNDERTALE CHAPTER 5 48

2話はこれで終わり 明日から3話


https://x.com/piku2dgod


本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24843658

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25490740



……そんな目まぐるしい日々も、やがて終わりを告げる。地底滞在の最終日、カルテット・マジコ出立の

瞬間が訪れた。


「……お世話になったよ。じゃあ、また」

マグコア・セントラル。外からの光が射す1階の大ホールで、おせちが1人きりの見送り人に別れを告げる。

その素っ気ない挨拶に、ヨルシカは万感の思いを込めて首を振った。


「……いえ!こちらこそ、本当に、何から何までお世話になりました。皆さんにはどれだけ感謝を申し上げても足りませ

ん。見送りもこのように簡素なものになってしまって……この国には、まだまだ問題が山積みでして」


彼女はそこで言葉を切り、寂しそうに微笑んだ。


「この数日間、もし私もこのまますぐにただの市民になれたらと、何度か考えたりすることもありました。皆さんと同じ学校に通う自分の姿を夢想したり……。

……とても、叶いそうにはないことですが」

その声には、女王の立場を離れた、1人の少女としての切ない響きがあった。


「……どうする、留年するか?」

アシュリーが後頭部に手を組み、悪戯っぽく仲間たちを見やる。だが、その軽口を遮るように、おせちがヨルシカの目

をまっすぐに見つめ返した。


「同じ学校に行かなくたって……どこにいたって、私たちはもう友達でしょ?」


その言葉に、はちるとさなが、待っていたとばかりに駆け寄って、手を取る。

「そうだよ!いつでも遊びに来れるって!」

「なんなら来月でも!」


屈託のない笑顔に、ヨルシカの張り詰めていた表情が、ついに和らいだ。

「……はい!それなら今度は、地底のお菓子をたくさん用意して、お待ちしています」


そして地下世界を晴ればれとした気持ちで後にした彼女たちは、再び、けたたましいチャイムと友人たちの笑い声に満ちた日常へ

と帰っていったのである。


……その後、テラリアにはひとまずの新体制が発足し、カルテット・マジコの地底を舞台にした大冒険は、こうして無事に幕を閉じ

た。


しかし、その平穏な日々の風景の中にさえ、彼女たちの心には、ふと晴れぬわだかまりが影を落とすことがあった。


ある日の放課後、さなは1人、屋上のフェンスにもたれて空を見上げていた。流れの速い雲の形が、触手を持つ奇妙な

生き物の姿に見え、彼女の表情がわずかに曇る。


「……マクちゃん」


その呟きは、誰にも聞こえることなく風に消えた。


世界を救うという大義のため、救いを求めてきた異界の知性――マクロブランクとの約束を裏切らざるを得なかった、苦い

記憶の棘である。


輝かしい戦果とは裏腹に、心に刻まれた小さな痛みは、彼女たちの戦いがまだ本当の意味では終わっていないことを、

そして、この宇宙にはまだ知られざる脅威と、果たすべき約束が残されていることを、静かに告げ続けるのだった。




~あとがき~




物語を長編に仕立てる、あるいは“水増し”する方法をご存じでしょうか。


創作経験のない方が想像するより、そのやり方はずっと単純です。要するに、物語の要所要所に新たなイベントを付け加えていけばよいのです。例として、本話の中盤をご覧いただきたいと思います。


本編では、主人公である4人組がCIAから得た情報をもとに、特に大きな障害もなく地底国家テラリアへと侵入いたします。しかも、そうした経緯で侵入に成功したという事実でさえ、劇中ではセリフの一端で軽く触れられたに過ぎません。では、このあたりで1章分の文章を捻出したくなったとき、創作者はどう動けばよいのでしょうか。答えは実に簡単です。本来順当に進行するはずのあらゆる出来事に対し、ひと波乱を起こしてやればよいのです。


たとえば、シナリオをこう改変してみます――「地下への道はすべて、テラリアンの手によって封鎖されてしまった」。


たったこれだけで、物語に「困難」という名のボリュームが付加されます。あとは、この状況を前にして、長々とした会議や相談の場面を挿入すればよいのです。読者をやや退屈させる代わりに、「物語が着実に進行している」”感じ”を演出できる、都合の良いパートが出来上がります。


さらに念入りに文字数を増やしたければ、キャラクターの誰かが自販機でジュースを買いに行く場面を挟むこともできます。

そのジュースが突然鳥に奪われ、なんの脈絡もなく追いかけっこが始まる――そこまでやってしまうと、さすがに水増しの意図がバレてしまうでしょうが。


話を戻して、さらに具体例を挙げてみましょう。やがて4人組は、ある結論に至ります。「辺境の海底国家を訪ね、彼らのルートを使わせてもらおう」。


いかがでしょうか。新たな冒険譚が、こうもあっさりと生まれてしまうのです。海底国家の王とのいざこざ、交渉の決裂、そして戦闘――ついには勇気と友情によって信頼を勝ち取り、協力を得る。そのような物語が、元々のプロットへと、いとも簡単に溶け込んでいきます。


率直に言って、「長編化」の手法というものは、なんら複雑でも高尚なものでもなく、一度その発想を身につけてしまえば、いくらでも物語に応用できる類いのものです。

ただし、そのためにはできるだけ多くの「元ネタ」に触れておく必要があります。深層記憶の中で混然一体となった作品体験が、ふとした瞬間に、突拍子もないが新鮮な着想をもたらしてくれるのです。


たとえば「海底王国」という現実には存在し得ない発想は、私ならアメコミの『アクアマン』や『ネイモア・ザ・サブマリナー』を読んだ経験から引き出すことができます。


そもそも、今回の印象的なシーンの多くは、何らかの元ネタから着想を得たものです。たとえばテラリアキングのモデルは『オーバーウォッチ』のトールビョーン(デッドロックスキン)とロードホッグであり、ラバシティの構造は『ファイナルファンタジーⅦ』のミッドガル、ワームについては『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』のドリラーや、『テラリア』のイーター・オブ・ワールドが原型です。


そして、その第2形態の戦法については『トランスフォーマー/リベンジ・オブ・ザ・フォールン』版のデバステーターから着想を得ており、緑の空洞はそのまま『ゴジラvsコング』に登場する地下空洞世界をインスパイア源としています。さらに、そこをワームの群れが疾走する場面は、『デューン/砂の惑星』をこの上なく意識しています。


文字媒体だからこそ許される話ではありますが、私はこれらの元ネタを、時に“トレス”のレベルで意識的に引用し、描写していることを、ここに正直に告白します。


また、ラバシティでのデモシーンに革命派テロリスト各派閥の詳細な紹介を入れたり、死亡遊戯や少年ジャンプ式(……ほら、ここにも作品体験が出る。とにかく自分の記憶を柔軟に探ってみてください)に

「マグコア・セントラルを攻めるシーンで1階層ごとに幹部を用意し、カルテット・マジコの面々がタイマンで対決する」という展開も盛り込めたかもしれません。


そうこうしているうちに、当初は平坦な道のりを進むはずだった彼女たちも、いつの間にかより入り組んだ物語へと投入され、作者は1章分、あるいは1話分の文章量を、みごとに“捏造”できるわけです。


もっとも、このような展開を「物語の厚み」と見るか、「贅肉」と断じるかは、作劇上の意図、そして読者の気分によって変わってくるわけでしょう。

ちなみに私は、敬虔に、後者寄りの人間です。


洞窟で地底の虫たちを相手に繰り広げた、あのすったもんだの場面でさえも――じつは、4人のキャラクターを深掘りし、冒険譚としてのスリルを最低限演出するという、いわば『インディ・ジョーンズ』的なお約束に則って、計画的に挿入したものでした。すなわち、エンディングへ直結する要素ではなくとも、作劇上の効果を明確に見込んだうえでの演出なのです。


この信念に従ってシナリオの原型を取捨選択していくと、テラリアクイーンという本来不可欠に思える存在ですら、登場には値しないということになりました。

その人物に割り振るべき役割が今回、特になかったからです。


この感覚は、細田守監督のふたつの作品――『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』と『サマーウォーズ』――を比較することで、より明確になるでしょう。前者は後者のセルフリメイクとも言える構成です。『ぼくらのウォーゲーム!』がたった40分で描ききったスリリングなドタバタ劇を、『サマーウォーズ』はより豪華に、よりテーマを深掘りして2時間の長編へと拡張しました。


しかし、私はその拡張部分こそ不要なものだと感じてしまうのです。物語の核が、かえって見えにくくなっているのではないか、と。


「こうしたからこれが起こり、このような結末に至る」――そうした、因果の直線的な連なりだけで構成される、いわば数式のように簡潔な物語が、私は好きなのです。


凝縮された密度と熱量にこそ、物語の純度は宿る――すくなくとも、1話完結を主体とした物語において、これは公理であると、

私はそのように考えています。


もしこのお話が面白いと思ったらぜひ身近な方にも教えてあげてくださいね

SNSなんかでもどんどん宣伝してくださいね

面白くなくてもしてくださいね・・・

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