Issue#02 I UNDERTALE CHAPTER 5 45
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……一連の喧騒から遠く、シャカゾンビは、打ち捨てられた古い地底回廊を歩んでいた。供は、今となってはプロ
ディジーとハヴォック、そしてカーディBの3人のみ。主人の権威が失墜し、カルテット・マジコのみならずあらゆる勢力から追われる立場となった今、
彼らの素朴な忠誠心だけが、この亡者の最後のプライドを支えていた。
その時、不意に、闇の奥から甲高い声が響いた。
「もし、そこの骸骨」
シャカゾンビは足を止め、声のした方角を油断なく睨む。
するとそこには、曲がり角の奥から、ぬらりとしたピンク色の触手を持つ、異形の生命体が姿を現していた。
「……あのマルチバーサル・ゲートを造ったのは、お前でちゅか?」
その問いに、シャカゾンビは尊大な態度を崩さぬまま、しずかに頷く。
「いかにも。あれは、吾輩の作だが」
「わちきの名はマクロブランク」
脳の怪物はそう名乗ると、シャカゾンビの全身を、値踏みするようにじっくりと観察した。
「……あのゲート、設計思想は悪くないでちゅ。原始的で、非効率で、ツッコミどころ満載のポンコツでちた
が、この星の低い技術水準で、よくぞまあ、あの『トポロジカル・コンコード』の基礎理論に独力でたどり
着いたものでちゅ。その1点においては、感服したでちゅよ」
その、侮辱と賞賛が入り混じった評価に、シャカゾンビは不快感を隠しもせず、ヤギ頭の杖を握る手に力を込めた。
「……貴様、何が言いたい」
「実を言うと、わちきがお前のマルチバーサルゲートを乗っ取ってこちらの世界にワームを呼び込む手助けをちました……」
「なにぃ?」
「……そこで取引でちゅ」
マクロブランクは、2本の触手を器用に組み、ビジネスマンのような口調で言った。
「……わちきは、異世界からこの宇宙に引き込まれてしまった知的生命体でちゅ。
故郷の宇宙に帰りたいのでちゅ。しかし、カルテット・マジコという小娘どもと交わしていたその約束は今となっては破られてしまいまちた。
夢を実現するためには、より高精度で安定したゲートが不可欠でちゅ。わちきの頭脳と、
お前のその、原始的ながらも確かな技術力。これを組み合わせれば、もっと完璧なものが造れるはずでちゅ」
シャカゾンビは、しばし沈黙のうちに思考を巡らせた。この奇妙な生物の言葉に、嘘はないように思える。そして、そ
の知識は、オールラウンダーの娘どもやテラリアンに対抗するための、新たな切り札となりうるかもしれない。




