Issue#02 I UNDERTALE CHAPTER 5 40
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25490740#5
(それはグッドラックな状況でした。
私は、フリープランで配給されたスタミナ・ポイントのレンジのインサイドで、
最初に描画された OSECHI の胸を XNUMXカップにアップグレードするというハードなミッションを、
なんとかコンプリートすることができました。)
……カルテット・マジコとワームの軍勢が霞がかった地平線へと姿を消してから、10数分が経った。
いちはやく静けさを取り戻した《緑の空洞》の一端には、巨大な円環装置の低い駆動音だけが響きわたる。
装置のふもと、1つのコンソールに張り付くように、不定形な影がひとつ。マクロブランクだ。そのゼリー状の体から
伸びる触手が、まるでピアニストの手のように制御盤の上を滑り、誇らしげにゲートを管理している。
「やれやれでちゅ。このワチキに留守番を任せるとは……まあ、ゲートを完璧に扱えるのはワチキだけでちゅから、当然の采配でちゅがな」
その独り言を切り裂くように、甲高いアラートが空洞を打ち据えた。安定していたはずのゲート鏡面が、悲鳴を上
げて激しく波立ち、赤い警告灯がマクロブランクの体を血の色に染め上げる。
「な、なんでちゅか!? こちらからは何も操作していない!……まさか、外部からの強制接続――いったい何が……!」
思考を置き去りにして、ゲートがまばゆい光の奔流を吐き出した。やがて光が収束していくその奥から、静謐な宇宙が
姿を現す。
ゲートの向こうに広がったのは、壮麗な深淵。無数の星々が意志を持つかのように明滅し、色とりどりの星雲が巨大な
渦を巻く。光の届かぬ暗黒が、それらすべてを繋ぐ骨格のように、無限の空間を支配していた。
だが、マクロブランクの魂は、それをただの宇宙として認識しなかった。脳髄だけの不定形な身体に、失われたはずの
記憶が奔流となって駆け巡る。
「ああ、これは、”わちき”でちゅ。……わちきの『本体』が、失われた思考器官を探しているんでちゅ――」
彼の悟りが、眼前の光景に真の意味を与える。あれは、生ける銀河系。星々の光は神経線維を伝うパルスであり、渦巻
く星雲は脈動する臓腑なのだ。そして、直径150mのゲートというちっぽけな窓から垣間見えるのは、その存在の、おそらくは細胞
ひとつにも満たない、ほんの末端の断片にすぎない。
ゲートの向こうで、ひとつの恒星が歓喜に満ちて橙色に脈打つ。超新星爆発の残骸は、音もなく無数の結晶と化し、ダイヤモンドダスト
のようにきらめいた。それは、多次元宇宙が内包する無限の可能性を越えて、唯一の正解たる失われた半身――この次元に存在する「自分」を探り当てた、「もうひとつの彼」の昂揚の現れだった。
あまりに巨大で、あまりに根源的な自己との再会。
マクロブランクは、みずからの本来の姿を前に、ただ言葉もなく、その無限の光景に打ちひしがれていた。




