Issue#02 I UNDERTALE CHAPTER 5 33
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さなのブロマイドを1枚追加
……首都ラバシティの郊外――岩肌の土地と、暗く燃え盛るマグマの光が交錯する広大な平野。
その一角では、革命派に転じたラバシティの技術者たちが総動員され、巨大なゲート建造に没頭していた。
さすがは地底帝国の中枢を担う、比類なき工業力である。
敵対勢力の偵察や監視、さらには放射線による透過撮影といったあらゆる諜報活動を見越して、
鉛やアルミニウムを含む多層の複合素材を巧みに組み込んだ堅牢なコンクリートドームが、
驚異的な速さで地上に築かれた。
その内部では、重機と自律ドローンが片時も休まずに金属フレームの骨格をくみ上げ、
さらに人間大のクモ型ロボットが高出力レーザーを爪先から発し、
フレームの接合部を鮮やかに熔接してゆく。
工区の各所には、すでに巨大な基礎パネルが据え付けられ、
マグマの淡い反照が、ドームの外殻をまるで夕映えの彩雲のごとく染め上げていた。
制御室のパノラマディスプレイには、多重スペクトル映像が壁いっぱいに投影され、
主任技師やエンジニアたちが作業進捗と異常値の有無を固唾を呑んで監視している。
そして、わずか2日でゲートはひとまずの起動段階にまで到達した。
試運転のたび、鏡面状に変化したゲートの奥へ、チャンネル選定ごとに何度となく探知ドローンが送り込まれる。
何10度目かの試行――
ドローンのカメラがゲートの鏡面に映る奇妙な歪みに再び呑み込まれ、次の瞬間、異界の地底空間にピントを合わせた。
その先に蛆のごとく沸いていたのは、青とも緑とも断じがたい金属めいた光沢を帯びた、巨大なワームたちだった。
無数の体節が連なり、地底空洞の巨大なドーム全体をびっしりと覆い尽くすその様相は、まさしく流動する装甲板の大海原である。
体長100m級の個体が何10、何100と群れをなし、ときおり“キロ越え”の怪物さえ混じっている。
それぞれの胴体は幾重にも折り重なり、甲殻の節の継ぎ目には、かすかに燐光を帯びたラインが規則正しく走っている。
遠景では、巨大なドーム状の岩盤そのものが仄暗く発光し、
その荒い曲面には、ワームたちの波打つ金属色が青緑の残影となって投げかけられていた。
圧倒的な生物の密度と、地底に満ちる重苦しい光のコントラストが、向こう側の世界のただならぬ異様さを際立たせている。
使いようによっては、これだけでも地球のミリタリーバランスを根底から覆しかねぬ光景に、モニター越しの現場がどよめいた。
「……生体反応、すべて“ワーム”!」
「目標多数、現状、その他の異常はなし!」
そして、黄色いヘルメットを被ってパイプ椅子でふんぞり返っていたマクロブランクが、背もたれに片腕を預けなおし、
「見つかりまちたよ!」
と、喜びに満ちた声で4人を呼び寄せる。




