Issue#02 I UNDERTALE CHAPTER 5 32
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「私たちも、シャカゾンビと同じく安全策でいくことにするよ。ワームにはワームだけをぶつ
ける。そこでひとつ、確かめたいことがあるんだ。並行世界の間で、時間の流れって全部同じなの?」
この問いを耳にした瞬間、マクロブランクの体表が、今度は感心したような明るい色合いでちかちかと明滅した。
(……わかりやすいな、こいつ)
そしてアシュリーはひとり眉をひそめる。
「……おっ、そこに気付くでちゅか!? おせち、お前、いい生徒の素質がありまちゅよ!――」
はたして彼は、講師めいた口調で、満足げに触手を揺らす。
「――まさに、その通りでちゅ!無限の可能性というのは、時間の進み方にも無数のバリエーションが存在するということ。その中には、
世界そのものの様態はほとんど変わらずとも、ただそれだけが大きく異なる時空もあるでちゅ!」
その答えを受けて、おせちの口元に、勝利の確信を湛えた笑みが浮かぶ。
頭の中では、無数のピースが一気に組み上がり、勝利への設計図が完成していくのが見える。
「なら、ワームが群生してて、しかもこっちの世界よりできるかぎり“時間の進みが遅い”宇宙を選定してほしい。
近いチャンネルなら、とりあえずワームは呼び寄せられるのは、シャカゾンビが実証してくれたことだし――」
いったん言葉を切り、瞳に悪魔的な輝きを宿しながら、続ける。
「――その上で、そっち側の世界にも、もうひとつゲートを設置しよう。で、その出口を『緑の空洞』に繋いだら、どうなるだろう?――」
ここで、3人も息を呑んだ。
「……すべてが思惑通りにいけば、こっちの世界の時間軸では、たった5分とか10分後に奇襲を仕掛けられるってことだよね」
あまりにも冷徹で、あまりにも精緻な戦術。
技術の概要を聞いただけで瞬時にそこまで持論を敷衍させたおせちに、
マクロブランクは畏怖の念を隠しきれず、震える声でつぶやく。
「……おせち。お前、すっごいワルでちゅなぁ……!」
そして思わず、うっとりとした目で彼女を見上げる。
「今後、ぜひわちきの助手としてスカウトしたい人材でちゅ!……お、お前たち! わちきを元の世界に返すという約束、ぜったいでちゅからな!?」
マクロブランクが、必死の形相で念を押す。おせちはその様子に呆れつつも、こくりと頷いた。
「わかった、わかった。約束は守るから、じゃあ先にそっちをお願いね」
そしておせちとは、苦笑いしながらも中腰になってマクロブランクと指切りげんまんを交わした。
「よろちい!」
途端に、マクロブランクは得意げに触手を掲げた。
「ならば、ひとついいことを教えてあげまちゅ!向こうの世界からこっちの世界につなぎ直すゲートは、緑の空洞の座標を当てずっぽうに探るのではなく、
シャカゾンビの造った既存のゲートに直通させた方が、ルートとしてはるかに安定するでちょう! さあ、理解したなら早速建造に取り掛かるでちゅよ!」




