Issue#02 I UNDERTALE CHAPTER 5 24
山田家名物釜ぶっかけのすばらしい再現レシピ
材料
A
冷凍うどん(お好みの玉数)
B
めんつゆ(市販のでOK)
生卵
刻みのり
刻み細ネギ
天かす
おろししょうが
大根おろし
ごま
すだち
1:
Aの冷凍うどんを、袋の表示どおりに茹でる。
茹で上がったらしっかり水を切り、器に盛る。
2:
Bの材料すべてを、うどんの上に豪快に乗せて食べよう。すだちは絞ってエキスだけ使うこと。
3:
そして本家・山田家に足を運び、味の違いに愕然とする。
あちらの味は、まるで入れた調味料が一斉に爆発するかのような迫力。
とはいえ、このレシピでもその“雰囲気”は十分に味わえる。
……今回はあくまで敵国での出来事だが、「超人が、その能力でもって活動する時、
社会に与える影響はあまりにも大きい。それゆえ、特にまつりごとに対しては、
決して『1票を持つ市民』以上の存在としてそれに関わるべきではない」というオールラウ
ンダーの訓戒は、あるいは皮肉にも、この一連の顛末によって証明されたのかもしれない。
なんにせよ、マグコア・セントラルの制圧は、イムノとスヌープキャットの2人にとって取るに足らない作業だった。
王宮を守る兵士は、先日戦ったメタルスラッグ・ライダーと同等の装備から、
それなりの精鋭であることが窺えたが、それでもこの彼女たちの前では、障害にすらなり得ない。
(……テラリアキングの性格なら、本丸がここまで攻められて出張ってこないってことはないでしょ。つまり、この街に彼はいないんだ!)
イムノは心中で結論を下し、進路に立ちはだかる守備隊を、駆け抜けざま薙ぎ払っていく。
跳弾が火花を散らす廊下を一直線に突破し、エレベーターのぶあつい鋼鉄の扉を、圧倒的な勢いを乗せた飛び蹴
りで、無造作に蹴り破った。
そして膝をかるく沈め、溜めた力を一気に解放する。
彼女の身体は、エレベーターシャフトの縁を蹴り、衝撃波を帯びた1発の弾丸となって垂直に射出された。
眼前に迫るは、兵士を満載にして降下してくる鉄の箱。
イムノはガンブレードを槍のように突き出したまま、その床を、下方から、何のためらいもなく貫いた。
――轟音。
鋼鉄を穿つ甲高い悲鳴。断線したケーブルが火花を散らし、エレベーターの床には、巨大な花が咲くように円
形の穴が開く。
そこから、驚愕に顔を歪ませた兵士たちが、なすすべもなく重力に引かれ、暗い縦穴へと次々と吸い込まれ
ていった。
白と黒の菱形――磨き上げられた黒曜石と大理石が、どこまでも続く謁見の間。その床を、イムノは疾駆する。巨大な白石
の柱列の間には、王家の紋章――ただし2匹のデスワームが骸骨を取り巻く、きわめてギャングスタな意匠の――を金糸で織り込んだ深紅の絨毯が、
最奥の玉座へと続く1本の道を成していた。
彼女の動きだけが、この荘厳な静寂を乱す唯一の異物だった。側廊の中空には、人工の太陽とおぼしき球体が白い光を放ち、
その真下に設えられた水路を、清水が静かに流れていく。外部の喧騒が嘘のような静けさと、王権だ
けが放つ重圧が、この空間を支配していた。
視線の先には、玉座へと続く階段を守るように、メタルスラッグ・ライダーたちが威圧的に列をなしていた。空間
を満たす緊張が、最高潮に達する。
舞台装置のこうして整う中で、それは思いがけぬ邂逅となった。
広間の奥、銃を構えて居並ぶ兵士たちの列が、明らかな動揺とともに、しずかに左右へと割れていくのだ。
中央から立ち現れたのは、ひとりの少女だった。豪奢な刺繍を施したドレスがか細い身体を包んでいるが、
その佇まいには、すすけて暑苦しいこの地下の生まれとはにわかには信じがたい、凛とした冷ややかさが宿っている。




