Issue#02 I UNDERTALE CHAPTER 5 14
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〈うむ……万能サバイブ装置に記録された波形パターンから、お前たちの座標はすでにプライバシーの侵害レベルで
特定済みでちゅ!
ただし、この星の地名までは把握不能……そこは目をつぶってほしいでちゅ。とにかく
通信機を持っているそこのオマエ! オマエの正面を基準に――右へ45度、下へ30度。そ
の方角に直進すれば、比較的大きな空洞があるはずでちゅよ!〉
「……こっちかな」
はちるが体の軸をずらし、四つんばいの姿勢のまま指示された角度を見定める。
〈そこを一時的な避難所とするでちゅ。
そちらへ抜けたあと、わちきのいるエリアまで指示どおり掘り進めてくれれば、
たぶん、ゴミ処理層のトンネルに合流できるはずでちゅ〉
「……嘘じゃないだろうな?」
アシュリーが、押し殺した声で念を押した。
〈ふん、そっちこそでちゅよ。ワチキからすれば、お前たちが約束どおりわちきを助けてくれるかどうかの方が
よっぽど心配でちゅ!〉
「安心しろ、オフの日なら情報だけもらってトンズラこいてたところだが――」
アシュリーは、一度そこで言葉を切る。
「――今日はヒーロー稼業の残業でここにいるんでな」
「……そんなことないからね!? 困ってる人がいたら、いつだってちゃんと助けるからね!?」
おせちが、慌ててアシュリーの言葉を打ち消した。
〈……その言葉、信じるでちゅよ!?
お前たちの善意に賭けて、こっちは出血大サービスで先に情報を渡したんでちゅからね!?
とにかく急ぐでちゅ! ゴミ山の熔解炉への搬送は今も進行中! 物質の酸化が進んで、この臭いだけで意識
が飛びそうでちゅ!――残された時間だって、もう10分を切ってるでちゅ!〉
さしあたって、状況を打開する見通しはない。この息の詰まる閉鎖空間で、マクロブランクと名乗る脳の怪物と“共
闘”する以外に、彼女たちに道は残されていなかった。
通信音声の奥底にたゆたう、巨大なベルトコンベアの軋む音と、その土台の上に、山型の波形を
ひっきりなしに作る甲高い声に導かれ、彼女たちはふたたび土砂の壁へと向き直る。
それが善意であれ、悪意であれ、目の前の岩盤にこれ以上手をこまねいてい
る理由を、彼女たちはもはや世界のどこにも見いだせなかった。




