Issue#02 I UNDERTALE CHAPTER 5 05
なんかヴィランのアイディアでも募集するか・・・お前らのアイディア 感想コメからでもなんでも気軽に投げつけてくれよ 気長に待ってるぜ・・・
「そっか……ここ、地盤が弱いんだ……!」
おせちはようやく気づきを得て、
ヘルメットのヘッドライトを、砂が滴りおちた隙間へと思わず向ける。
そして、その無意識にして当然の動きこそが、最悪の発見を4人にもたらす。
レンズから発された円筒形の白光が、じっとりと濡れた天井の曲面を這うように移動し、
やがて、深いくらがりに隠されていた光景を――いっそ気付くべきではなかったこの空間の真実を、
否応なく照らし出す。
……蠢いていたのだ。
天井の表層にびっしりと貼りついた、無数の虫たちが。
だが、それだけでは終わらなかった。
彼女たちの意識が、最初の不愉快な衝撃をどうにか乗り越え、冷静な理性が視覚に追いついたとき――
そこには、さらに深刻な現実が待っていた。
微細な岩の裂け目。自然に形成された梁の裏側。壁と岩の接合部。
剥離しかけた鉱層の縁。「隙間」と名のつくすべての空間に、目を逸らしたくなるほどの密度で、
それらはひしめき合っていたのである。
地上の種で言えば、それはコオロギやカマドウマに近い。
だが、どれも不自然に膨張した腹部や、深い刻み目を節に持ち、まるで進化の方向を誤ったかのような異様な形態をしていた。
体長は2〜5cmほどとまちまちで、褐色やすすけた黒の甲殻の下には、翅のような薄膜がだらしなく
先端をはみ出させたまま折り畳まれている。全体としては、湿った岩陰にひそむ虫類の王道とでも言うべき、
鈍色の光をうっすら帯びていた。
節のある脚には、棘めいた細毛がびっしりと生えそろい、
密着する虫同士がその毛を擦り合わせて、かすかな摩擦音を生んでいるようにも思われた。
複眼は乾いた石英、あるいは冷たい鉱石を磨いたような淡光をたたえ、
どの方向を見ているのかすら曖昧なまま、壁面の隅々にまでずらりと並んでいる。
そして、何よりも不気味だったのは――
それらすべての虫たちが、1体として、身じろぎひとつ見せぬまま、
ただ黙して、天井に張りついていたという事実だった。
まるで、天井のすべてが生物の殻でできているかのような一体感。
……世界は、ひと呼吸ぶんのあいだ、恐怖の名のもとに静止していた。
だが、その静寂も、永遠ではなかった。
「……ッ」
誰かが息を呑んだ、その刹那――
ぶわり。
1匹が、天井から落下した。すぐに2匹、3匹。
そして、まるで構造そのものが崩壊したかのように、節足の群れが堰を切って溢れ出す。
それは“滴り落ちる”というには速すぎ、
“降り注ぐ”というには、あまりにも粘性がありすぎた。
数え切れぬ虫たちが、流動体となって洞の空間を満たしていく。
乾いていた空気は、突如としてざわめきに侵され、圧し掛かる湿度と騒音に染め上げられた。
「……うひにゃああああすッッ!!」
「何語だよっ!?」
アシュリーの即時のツッコミを背に、はちるはのけぞりながらも必死に体を縮める。だが逃げ場はない。
そう広いトンネルではないのだ。壁も床も、すぐに千万の群れの行路と化した。
虫たちは終わりなき列を成し、4人の身体を岩肌の一部とでも見なしたように、その起伏と輪郭をなぞりながら這い、通過していった。




