Issue#02 I UNDERTALE CHAPTER 5 04
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そして……。
湿り気を帯びた地盤の、感触を確かめるように踏みしめながら進んでいた4人の前に、不意にひとつの分岐が立ちはだかった。
しかしそれは、ただの道の分かれではない。この洞窟が本性をあらわし、牙を剥こうとする最初の兆しなのだ。
右手に口を開けた横道は、左手の通路よりもはるかに広く、その奥へと続く空間のひと隅――そこに、それは潜むように待ち構えていた。
……艶やかな節の連なり。
地表をなぞる、ふた筋の触角の影。
目測でも全長30mは下らないと思われる胴体が、壁面の凹凸に沿って這いつくばり、ぴたりと動きを止めていたのだ。
「……な、なに、アレ……!」
はちるの顔が即座に青ざめる。
さっきまでの使命感に満ちた勇ましい気持ちはどこに行ってしまったのか、
背負ったラジコンコントローラー型の装置までが、重みに耐えかねたように肩からずり落ちかけた。
そこに在ったのは、巨大なヤスデ――この深層圏にのみ棲息する、高圧環境に適応した節足動物だった。
彼女たちの知るところではないが、テラリアンの間では《クリープワーム》と呼び慣わされる種である。
赤く円かな、表情なき頭部。
だがその頂で揺れている1対の触角だけは、地上種のそれに似て、ぞわぞわと不快な律動を保ったまま動き続けていた。
ただそれだけの動きが、見る者の本能的な忌避感を容赦なくかき立てた。
そのときだった。
天井の陰から、1匹の小さな虫がぽとりと落下し、分岐路のかたわらに潜んでいたあの長大なヤスデの触角に、偶然、かすめるように触れた。
その瞬間、触角がびくりと痙攣し、まるで何かを感知したかのように、異形の節足体は全身を波打たせながら動き始めた。
重々しく連なる節が一斉にうねり、濁った砂煙と土塊を巻き上げつつ、巨大なヤスデは分岐の奥、さらに奥深い闇の方角へと、粘るような滑走で姿を消していった。
「ひぃいぃぃっ!?!? い、今の見た!?絶対今の見たからッ!!」
声を裏返らせながら、はちるは片膝を折りかけてのけぞり、肩をすぼめたまま、両腕をばたばたとさかんに動かしている。
その顔は皆のほうを必死に見つめ、その手が指し示すのは、先ほどヤスデが滑り去った分岐路の奥、黒くぽっかりと口を開けた地底の闇だ。
指先はおびえに震え、そこに潜む得体の知れない何かをすこしでも遠ざけようとするかのように、何度も何度も、空を払った。
「おい! 声抑えろ、上っ……!!」
アシュリーが即座に制止を叫んだ。だが、その声はわずかに、ほんのわずかに遅かった。
洞窟の天井、わずかに噛み合っていた土砂の結び目が、かわいた断裂音を伴ってほどけ、
そこから粒のような砂と、小指の先ほどの礫が連なって降り注ぐ。
舞い落ちる埃に反応するように、4人の意識が反射的に天井へと引き寄せられていく。




