Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 3 27
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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彼女たちがたどり着いたのは、渡島半島の奥深く、山あいに埋もれるように息づく小さな町――霧多町だった。
かつてハヤカワが暮らしたというこの土地には、朝もやが低く垂れ込み、うっすらと雪が積もる。寒さは皮膚を刺すほどに鋭い。
はちるはバス停の高台から、谷間に広がる町並みを見下ろす。時の流れから取り残されたかのような、侘しさと静けさが支配していた。
細い道路に沿って、古ぼけた木造家屋や、斑に錆びたトタン屋根の商店が肩を寄せ合う。かつては活気があったであろうメインストリートも、アスファルトの割れ目から雑草が伸び、閉じられたシャッターが軒並み沈黙を守っている。
町の中心には、雪解け水を湛えた細流が、ガラスのような透明感で流れていた。その両岸には、人の手が久しく入っていないと思われる雑木林が、ひそやかな影を落とす。
さらに遠くには、町の名の由来ともなった、常に霧をまとう峻厳な山々が、空と大地を分かつ屏風のごとく連なっている。
耳を澄ませば、川面を撫でる水音と、まれに遠くの踏切が響かせるベルの音色だけが聞こえてくる。空気には湿った土の匂いと、どこか煤けた石炭の残り香。
商店の軒先には、色あせた木彫りの熊が、過ぎ去った日々の番人のように据えられていた。
――それは、忘れられた土地の残り香と、どこかしら美しくも寂しげな風景だった。
「……ここが、おじいちゃんの……」
シノから聞かされていたことと、目前に広がる情景とが、はちるの胸の内で静かに重なり合う。
彼女の背後――ひそかに様子を見守る3人もまた、これから始まる任務の困難さと、この町に横たわる得体の知れぬ闇を直感的に感じ取っていた。
はちるは息をのみ、じっと眼下の町を見据える。獣人だった頃より色っぽさをずっと増した目つきには、不釣り合いな幼さと不安、そして姉妹の期待に応えようとする強い決意が宿っていた。
――こうして、彼女にとって初めての単独任務が、いま静かに幕を開けたのだった。
霧多町は、まるで時が止まったかのような寂寥感に包まれていた。その町で唯一、
昼間から人の出入りがある、古びた喫茶店「ランプ」。はちるは、ごく普通の観光客を装い、その回転扉をくぐった。
カラン、という乾いた小さなベルの音がする。店内には、焙煎されたコーヒーの香りと、バターの染みたトーストの残り香が満ちている。
カウンターの奥で、銀髪の老女――サチコさんが、ポットの湯気越しにこちらを見た。
「いらっしゃい――」
「どうも。すごく……静かで綺麗な町ですね」
「観光の人かい?」
「そです」
穏やかに応じながら、はちるはカウンター席に腰を下ろす。店内に他に客の姿はなく、流れるラジオの音がかすかに響くだけだった。
「じゃあ、コーヒーをお願いします。……あ、町のあちこちに『熊出没注意』の看板があって、ちょっとびっくりしました」
はちるの、いかにも旅行者らしい無邪気な問いかけに、サチコさんは「ああ、熊ねぇ」と、遠い目をし、
コーヒー豆を手慣れた所作でミルにかけ始めた。
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