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カルテット・マジコ  作者: piku2dgod


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113/149

Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 3 27

https://x.com/piku2dgod


本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24843658

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25490740

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=26572256

彼女たちがたどり着いたのは、渡島半島の奥深く、山あいに埋もれるように息づく小さな町――霧多きりた町だった。

かつてハヤカワが暮らしたというこの土地には、朝もやが低く垂れ込み、うっすらと雪が積もる。寒さは皮膚を刺すほどに鋭い。


はちるはバス停の高台から、谷間に広がる町並みを見下ろす。時の流れから取り残されたかのような、侘しさと静けさが支配していた。

細い道路に沿って、古ぼけた木造家屋や、斑に錆びたトタン屋根の商店が肩を寄せ合う。かつては活気があったであろうメインストリートも、アスファルトの割れ目から雑草が伸び、閉じられたシャッターが軒並み沈黙を守っている。


町の中心には、雪解け水を湛えた細流が、ガラスのような透明感で流れていた。その両岸には、人の手が久しく入っていないと思われる雑木林が、ひそやかな影を落とす。

さらに遠くには、町の名の由来ともなった、常に霧をまとう峻厳な山々が、空と大地を分かつ屏風のごとく連なっている。


耳を澄ませば、川面を撫でる水音と、まれに遠くの踏切が響かせるベルの音色だけが聞こえてくる。空気には湿った土の匂いと、どこか煤けた石炭の残り香。

商店の軒先には、色あせた木彫りの熊が、過ぎ去った日々の番人のように据えられていた。


――それは、忘れられた土地の残り香と、どこかしら美しくも寂しげな風景だった。


「……ここが、おじいちゃんの……」


シノから聞かされていたことと、目前に広がる情景とが、はちるの胸の内で静かに重なり合う。


彼女の背後――ひそかに様子を見守る3人もまた、これから始まる任務の困難さと、この町に横たわる得体の知れぬ闇を直感的に感じ取っていた。

はちるは息をのみ、じっと眼下の町を見据える。獣人だった頃より色っぽさをずっと増した目つきには、不釣り合いな幼さと不安、そして姉妹の期待に応えようとする強い決意が宿っていた。


――こうして、彼女にとって初めての単独任務が、いま静かに幕を開けたのだった。


霧多町は、まるで時が止まったかのような寂寥感に包まれていた。その町で唯一、

昼間から人の出入りがある、古びた喫茶店「ランプ」。はちるは、ごく普通の観光客を装い、その回転扉をくぐった。


カラン、という乾いた小さなベルの音がする。店内には、焙煎されたコーヒーの香りと、バターの染みたトーストの残り香が満ちている。

カウンターの奥で、銀髪の老女――サチコさんが、ポットの湯気越しにこちらを見た。


「いらっしゃい――」

「どうも。すごく……静かで綺麗な町ですね」

「観光の人かい?」

「そです」


穏やかに応じながら、はちるはカウンター席に腰を下ろす。店内に他に客の姿はなく、流れるラジオの音がかすかに響くだけだった。


「じゃあ、コーヒーをお願いします。……あ、町のあちこちに『熊出没注意』の看板があって、ちょっとびっくりしました」


はちるの、いかにも旅行者らしい無邪気な問いかけに、サチコさんは「ああ、熊ねぇ」と、遠い目をし、

コーヒー豆を手慣れた所作でミルにかけ始めた。


もしこのお話が面白いと思ったらぜひ身近な方にも教えてあげてくださいね

SNSなんかでもどんどん宣伝してくださいね!

面白くなくてもしてくださいね・・・

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