Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 3 25
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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(はちる デザイン検討用試作 服装以外はほとんどこれで完成形)
家路を急ぐ4人の足取りには、これまでにない高揚感が宿っていた。北海道という未知の目的地。そして、「クマ人間」という、荒唐無稽でありながらも、いまや現実味を帯びてきた脅威。その存在は、彼女たちの胸奥で、戦士としての本能に新たな火を灯していた。
しかし、自宅へと続く山道の入り口まで差しかかったその時、先頭を歩くはちるが突如として立ち止まった。獣人としての鋭敏な聴覚が、夜の気配に紛れる異質な波動をとらえる。丸耳がピンと立ち、空気の先の先へと感覚が向かう。
「……待って。何か、おかしいよ」
夜の山道――
いつもなら耳に届くはずの葉擦れの音が、極限まで押し殺されていた。
代わりに、木立の間からは赤と青の光が漏れる。その明滅は、つとめて人工的で、不穏な針のように空気を刺している。
「……まずいかも!」
即座に4人は、雑木林の陰に身をひそめる。目配せだけで意思を交わし、山の斜面に体を伏せた。
眼下に広がるのは、想像もしなかった光景――
吉濱家の境内、そのすぐ傍の駐車場には何10台ものパトカーが並び、寺の楼門や本堂がサーチライトで真昼のように照らし出されていた。装甲車まで出動し、黒い防弾ベストに身を包んだ警官隊が、テロリストのアジトでも包囲するかのように、敷地を封鎖している。
その緊迫した空気を切り裂くように、闇の中から低く響く声があった。
「――警察じゃ。わしらを探しておる」
振り返ると、いつの間にか尊がそこに立っていた。
その顔からは、いつもの飄々とした余裕がすっかり消えている。あるのは長年培われた胆力と、切迫した危機感だけだ。
「市警の署長から、ぎりぎりでタレコミが入った。どうもクマ人間とら――思っていた以上に、社会の中枢に根を張っておるらしい。
署長曰く、この包囲網は地方の判断ではない。大統領府の保安局からの直々の指示じゃと。つまり、相手はただのチンピラではない。国家規模の敵じゃ」
尊の声が、夜気に張り詰めて響く。彼女は持参していたガンブレードと呪符入りの袋を、その正しい担い手へと相次いで投げ渡す。
「もしかすると、誰も気づかぬうちに、かなりの数が社会に紛れ込んでおるのかもしれん。わしはハヤカワ一家を庇いながら、
いったん身を隠す。北海道の件は、お前たちに任せた」
「マジかよ……。いきなり全国指名手配犯か」
アシュリーは眼下の騒然とした光景を見据えつつ、どこか開き直ったような笑みを浮かべる。
「こりゃ『おい、吉濱』どころじゃ済まないなな。映画のポスターみたいに、全員でキメ顔してる指名手配書を作ってもらおう」
「でも……。指名手配中じゃ、まともな調査はできなくない?」
おせちは現実的な不安を吐き出す。無意識のうちに、拳を強く握っていた。
「いや、一概にそうでもない」
尊はこともなげに肩をすくめ、はちるの方をあごで指し示した。
「ほれ、今のはちるは“トランジスタグラマー”じゃから、顔が割れておらん。ここ最近のドタバタも、こういう時には役に立つものよ」
「……トランジスタ……グラマー?」
唐突な単語に、おせちが眉をひそめて問い返す。
「なんじゃ、知らんのか?――ボン、キュッ、ボンの体型を言うんじゃ」
尊は自慢げに胸を張った。
「ボン、キュッ、ボン?……はあ?……」
アシュリーはぽかんと口を開け、
「わからぬか!?つまりナイスバディということよ」
さらに押し切る尊に、さなは「初めて聞いた……」と小さくつぶやく。
はちるに至っては、ついぞ自分のこととは気づかず、きょとんとして皆の顔を見回している。
らちが明かぬと見た尊は、使い込まれて端がほつれた空縁州の紙地図を、少女たちの前に広げた。
紙面にはいくつもの小さな漁港が点在し、その中のひとつ――家から歩いてもそう遠くない、防波堤と古びた倉庫が並ぶはずの港町に、赤い丸が引かれている。
「とにかく行け。わしのことは探すな。北海道までは伝手が漁船を出してくれるから、ここに行くんじゃ」
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