Issue#02 I UNDERTALE CHAPTER 5 03
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「……嘘でしょ?」
おせちの、嘆きにも似た声が、湿った空気に散った。
「イーター・オブ・ワールドって……あれじゃない?あのおっきい金属のミミズみたいなやつ!」
浅からぬ因縁を抱える”彼”の顔が思わず脳裏によぎったからだろう、 はちるは目を見開き、
ラップトップを抱える指におもわず力を込める。
「待て、それはヤツメウナギ系だったろ?」
しかし、アシュリーはそう即答する。
「ウナギ?むしろオニイソメ寄りでしょ、あれ」
そしておせちも譲らない。
「はいはい、落ち着け。ミミズ派とイソメ派で低レベルな争いするなって。ここはひとつ、屈して同担になっとけって」
アシュリーが肩を揺らしながら茶化すと、さなが「何の同担?」と純真な顔で突っ込んだ。
「……でも、何にせよ倒したよね……?」
そして彼女は首をかしげ、長い前髪を耳に掛ける。
「別の個体かな?」
おせちがひとり結論付け、暗がりの奥を探るような視線を送る。
〈……まー、次の会見を楽しみに待ってな。十中八九、耳にするのは吉報だからよ。
あとほんの何回か寝て起きるだけで――この星は間違いなく俺たちのモンになってる。
ほんじゃ臣民の諸君、楽しい夜を。愛してるぜ〉
投げキッスとおぼしき軽い音を最後に、放送はぷつりと途切れた。
途端に、湿った空気や壁面のざらつきといった、ありのままの洞窟の感覚がまた4人を包み込む。
「はぁ、なるほどな。海をダシにして世界を脅すなんてとんでもないことを考えやがったな。これじゃさすがのカンテもお手上げだ」
アシュリーは肩をすくめ、手を広げてみせた。この発言は、チェルシーで活躍したフランスのMF、エンゴロ・カンテの
並外れた守備範囲を称賛した有名なジョーク――「地球の7割は海だが、残りの3割はカンテがカバーしている」――を踏ま
えたものだ。
「なんだか急にさ、とんでもない事になってきちゃったよね……」
そして、その隣ではさなが顔をこわばらせる。
「さっさとテラリアキングの居所を突き止めないと」
おせちが低く言い、
「とりあえず、どこかひとつでもまずは街に出ないとね!」
はちるが重ねる。
短いやりとりのあと、ふと場が静まる。奥の闇が、何かを隠して息を潜めているような錯覚が、誰の胸にもよぎった。
「……ま、とにかく今は目の前のことに集中しよ。何が潜んでても……うん、これからは前よりも一層、
怯まずに進んでいくしかないし」
おせちの声が響き、4人は互いにうなずき合う。
こうして決意をあらたにした彼女たちは、
曲がりくねった地下道を、以前よりも足早に進み始めた――その先に、どんな出会いが待つのかも知らぬまま。




