Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 3 17
俺も大人になったらラーメンの画像に歌詞載せてツイートしてる奴の気持ちがわかるようになんのかな?
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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ハヤカワはカウンターの濡れ布巾で、染みのついた指先を丁寧に拭う。
「ある晩、家の裏で大きな物音がしましてな。こっそり覗いてみたら、見たこともない大男が、
わしの軽トラのドアを、無理やり開いて、素手で、いとも簡単に捻じ曲げていた。あれは、人間の力じゃねえ。あの時の光景は、今でも目に焼き付いて離れん」
ハヤカワは、いちど言葉を切ると、再び寸胴の湯気に視線を戻した。おせちは、その横顔に、ただの店主ではない、老いた狩人の研ぎ澄まされた眼差しが宿るのを感じ取った。鬱屈した怒りの熾火が、奥底からじわりと赤みを増していくのだ。
「……もし、奴らが本気で人間社会に牙を剥くつもりなら、わしも黙って見ている気はありません。
この老いぼれの腕でも、まだやれることは残っとるはずだ。……ああ、そうじゃ」
彼は覚悟を決めるように、おせちへと真っ直ぐ視線を投げた。
立ちのぼる湯気の幕越しに揺れる瞳は、いまこの瞬間だけ、過去の影を振り払って、目の前の少女を見据えている。
「もし機会があるなら、わしにも手伝わせてくれませんか。あの時の決着を、この手で付けたいんです」
その声には、猟師として歩んできた人生の矜持が凝縮されていた。
おせちは、その覚悟を正面から受け止めたがゆえに、否応なく非情な宣告を下さねばならなかった。
穏やかながら、ひとつの決意を湛えた声で。
「そのお約束はできません。……それは、あまりに危険なことですから」
やわらかな拒絶。そのひと言で、老いた狩人の眼差しに最後の炎がほのかに揺れ、やがて儚く消えていくのを、おせちは見届けた。ハヤカワの肩が、ふっと重みを失い、力なく垂れ下がる。
「……まあ、そうか」
彼の声からは、先ほどまでのぎらつきはもう感じられず、かわって、現実へと呼び戻された者だけが持つ独特の諦観がにじみ出る。
自嘲気味の微笑みを浮かべながら、カウンターの染みへと視線を落とした。
「たしかに、そうしたことはヒーローにお任せするべきですわな。……いやぁ、いかんです。
どうもこの街へ来てから、気持ちの置き場が見つからん。都会というのは本当に落ち着かんもんだ。
わしみたいな年寄りが骨を埋める土地じゃない。……結局、婆さんと過ごしたあの北の大地が、1番しっくり来るんじゃろうなあ――」
彼のぼやきは、ラーメン屋の油っ気混じりの空気をすっと洗い流し、遠く離れた北国の風を、この場へ運んでくるかのようだった。
「――今でもときどき夢に見るんです。雪解けの水が大地にしみ込む匂い、梢を揺らす風の音だけが耳を打つ森の気配……。憎んでいたはずの、あの日のヒグマの姿でさえ、今はどこか懐かしい。……もう1度だけ、帰れんものかな」
その呟きは、立ちのぼる湯気に紛れ、やがて消え去った。
おせちは、湯気越しに遠い目をしたその背中に、ヒーローの力では決して癒すことのできない、深い傷の所在を見た気がした。
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