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カルテット・マジコ  作者: piku2dgod


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103/132

Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 3 17

俺も大人になったらラーメンの画像に歌詞載せてツイートしてる奴の気持ちがわかるようになんのかな?

https://x.com/piku2dgod


本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24843658

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25490740

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=26572256

ハヤカワはカウンターの濡れ布巾で、染みのついた指先を丁寧に拭う。


「ある晩、家の裏で大きな物音がしましてな。こっそり覗いてみたら、見たこともない大男が、

わしの軽トラのドアを、無理やり開いて、素手で、いとも簡単に捻じ曲げていた。あれは、人間の力じゃねえ。あの時の光景は、今でも目に焼き付いて離れん」


ハヤカワは、いちど言葉を切ると、再び寸胴の湯気に視線を戻した。おせちは、その横顔に、ただの店主ではない、老いた狩人の研ぎ澄まされた眼差しが宿るのを感じ取った。鬱屈した怒りの熾火が、奥底からじわりと赤みを増していくのだ。


「……もし、奴らが本気で人間社会に牙を剥くつもりなら、わしも黙って見ている気はありません。

この老いぼれの腕でも、まだやれることは残っとるはずだ。……ああ、そうじゃ」


彼は覚悟を決めるように、おせちへと真っ直ぐ視線を投げた。

立ちのぼる湯気の幕越しに揺れる瞳は、いまこの瞬間だけ、過去の影を振り払って、目の前の少女を見据えている。


「もし機会があるなら、わしにも手伝わせてくれませんか。あの時の決着を、この手で付けたいんです」


その声には、猟師として歩んできた人生の矜持が凝縮されていた。

おせちは、その覚悟を正面から受け止めたがゆえに、否応なく非情な宣告を下さねばならなかった。

穏やかながら、ひとつの決意を湛えた声で。


「そのお約束はできません。……それは、あまりに危険なことですから」


やわらかな拒絶。そのひと言で、老いた狩人の眼差しに最後の炎がほのかに揺れ、やがて儚く消えていくのを、おせちは見届けた。ハヤカワの肩が、ふっと重みを失い、力なく垂れ下がる。


「……まあ、そうか」


彼の声からは、先ほどまでのぎらつきはもう感じられず、かわって、現実へと呼び戻された者だけが持つ独特の諦観がにじみ出る。

自嘲気味の微笑みを浮かべながら、カウンターの染みへと視線を落とした。


「たしかに、そうしたことはヒーローにお任せするべきですわな。……いやぁ、いかんです。

どうもこの街へ来てから、気持ちの置き場が見つからん。都会というのは本当に落ち着かんもんだ。

わしみたいな年寄りが骨を埋める土地じゃない。……結局、婆さんと過ごしたあの北の大地が、1番しっくり来るんじゃろうなあ――」


彼のぼやきは、ラーメン屋の油っ気混じりの空気をすっと洗い流し、遠く離れた北国の風を、この場へ運んでくるかのようだった。


「――今でもときどき夢に見るんです。雪解けの水が大地にしみ込む匂い、梢を揺らす風の音だけが耳を打つ森の気配……。憎んでいたはずの、あの日のヒグマの姿でさえ、今はどこか懐かしい。……もう1度だけ、帰れんものかな」


その呟きは、立ちのぼる湯気に紛れ、やがて消え去った。

おせちは、湯気越しに遠い目をしたその背中に、ヒーローの力では決して癒すことのできない、深い傷の所在を見た気がした。


もしこのお話が面白いと思ったらぜひ身近な方にも教えてあげてくださいね

SNSなんかでもどんどん宣伝してくださいね!

面白くなくてもしてくださいね・・・

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