98話 ダンジョンとは
アルたちは、81層に来ていた、一度、様子を確認するためだ。
81層は、何もなかった。岩とか壁とかもない。本当に何もない空間だ。
うすい白い霧がかかったような空間、1m先も良く見えない。
アルの隣にいるカインの姿が辛うじて分かる。
カイン「何だここは、霧で何もも見えないぞ。」
アル「そうなんですよ・今はまだ何もない空間なんですよ。この空間を別の場所につなげる事が出来るんです。あっそうだ。おじい様、王都にダンジョン欲しいですかね?」
ジーク「そうだな、欲しいと思うぞ。だが王都からこのギルバートもかなり近いからな。」
アル「そうですよねー、王都まで馬車で3日で着くようになりましたからね。」
クリス「新領地の侯爵領はどうだ。」
アル「其処しかないですね。あそこらならギルバートの本拠地としても栄えていますからね。」
アルはジークとレビンクリスと場所の確認を行なった。今のギルバート領の海沿いはかなり栄えてきているが、奥へ入ると流石に人が少なくなってくる。街道で人は行き来しているが、それだけであった。
ならばそこにダンジョンを造ろうと話が弾んでいた。
レビン「クリスお前がやってみろ。」
アル「いいですね。クリス兄なら丁度いいかもですね。」
クリス「・・・・・」
アルはクリスに伝えていく。先ずダンジョンを造る場所を思いうかべる。きちんと知っている場所でないといけなと説明をする。クリスは以前行った事のある場所を思い浮かべる。はっきりと思い出す。アルは何かを見ている。クリス兄、其処でいいですか。
クリス「嗚呼ここでいい。」
アル「それではクリス兄、ダンジョン生成と祈ってください。」
クリスが祈るとこの場が変わっていく。今まで霧で前も後ろも見えなかったものが、ハッキリと隣の人が分かる。
そして壁があり、床が出来ていた。
アル「これはクリス兄のイメージで出来たダンジョンの部屋ですよ。」
クリスの創り出したダンジョンはこの部屋が深層部という事であった。この深層部から上の階を造り出入口も造っていく。クリスのイメージによって魔物も創り出すことが出来る。ただしこのダンジョンだけだ。
クリス「じゃアル、複数の出入り口も出来るよな。」
アル「出来るでしょうが、消費が激しくなって魔物を作り出す魔力が足りなくなるでしょう。その辺はクリス兄の魔力とダンジョン内の星の生命力を使って試しながらやってください。神の力はあまり使わないように。
他にも階層ごとに魔物種類、薬草の種類、鉱石の種類をどこに出すか、どのくらい出すかも決められますよ。
後はそうですねーー、スキルオーブを造る事が出来ます。クリス兄の今持っているスキルならハイヒューマン意外なら出来ますね。
ハイヒューマンを造るのは俺達全員が10人以上いないと無理です。」
クリス「あああ、分かって来たぞ、あっ、そうか、わかった、分かった。」
クリスは一人で納得していた。
クリス「これ凄いな。人の生活が変わるぞ。」
アル「そうなんですよね。作物も作る事が出来るし、魔物肉も取れます。荒れた地方にでも作ればそこに都市が出来ますよ。ダンジョンが大きく成長すれば、1万や、2万の人を養う事も出来ますよ。まっその代りスキルは造れなくなるでしょうけどね。」
ジーク「これは報告だな。」
レビン「・・・・・・・・」
アル「そうなりますか。」
クリス「ダンジョンが造れるって各国の取り合いになるんじゃないか。下手したら戦争だ。」
アル「下手しなくとも戦争になりますよ。上手く纏めないとですけど。」
其れからもクリスは色々と考え創っていく。魔力と生命力との兼ね合い。そして神の力を少しだけ使う。
出入口を造り。1層を作成する、1層には薬草を置く。2層を造り、野菜などの作物を配置している。
3層に行くと弱い魔物も美味い(肉)を配置する。
4層も同じようにしていく。たまに鉱石も出るようにしていく。
クリス「これ結構大変だな。何をどこにとか、何を配置するとか考えながらやらないと、ぐちゃぐちゃになるぞ。」
アル「そうですけど、消去も出来ますから、一度作って要らなければ消してしまえばいいんですよ。」
カイン「俺も早くつくってみたい。強い魔物を配置して戦うぞ。」
アル「カイン兄無理ですよ、自分で作ったダンジョンでは戦えませんよ。」
カイン「えっ、マジで。」
アル「マジです。自分のダンジョンでは、魔物も攻撃してきませんから戦いになりませんよ。」
カイン「・・・・・要らないな。」
クリスは自分で生成したダンジョンへみんなで向かう。この場所から行く事が出来るのである。ダンジョンからダンジョンへと移る事も出来るようになることをアルたちは気づいた。この場(81層から100迄)で作った物だけ。
アル「これって遠くのダンジョンから移動できますね。」
ジーク「出来るな。だが移動のやり方を考えんとな。」
アル「そうですね、各ダンジョンに移動用に部屋を造って行き来できるようにしないと拙いですね。この深層部を見せる訳にはいきませんから。」
レビン「まぁそれは陛下と決めよう。6か国の事もあるしな。」
アルたちは移動用の事を話しながら一度ダンジョンを出る。そしていやいや王都へと向かうのであった。
王都へ着くとギルバート邸で最終打ち合わせを行なう。どのようにして移動を可能にするかどのくらいを目安に作成すのかの基準を話し合っておく。陛下が暴走しないように初めから決めておくようにしたのだ。
そして決まったことは、6か国内で移動できるようにする。最低6つはダンジョンを造る。各国に一つ(基本王都間で移動とする)
ダンジョンは各国の希望も入れて作成をする。
アルを抜いた6人が作成者となる。
そして今回のダンジョン作成は最高10個までとする。この時代で使い切る事をしない事になった。100年後、200年後に必要になるかもしれないとアルが伝えた。
陛下には10個のダンジョンが作成できると伝え、アルは数個のダンジョンをつくれると伝える事になった。
アルは少し不安であったが、成り行きだと思いなおして陛下の元へと向かった。