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俺死んだのか、2回目の人生始まる。  作者: 只野人
2章 激動の時代
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97話 神が生まれた日

古代人


神のいない世界、王は疲れ切っていた。


人々を導き、民を導き、人々の生活を、人々の生き方を、人のあり方を、人の尊厳を、全て一人の王の肩にのしかかっていた。

全ての目が、王に灌がれている。期待に満ちた目で見つめられる。耐えられない。辛い、苦しい、不安だ、誰かいないのか、誰か助けてくれ、人を救ってくれ、そして余を救ってくれ。


余は何て事をしているのだ、民を見捨てるのか、民を殺すのか、民の為に生き死ぬ、もう自由になりたい苦しい、辛い、不安だ、余に導きはもう無理だ。誰か助けてくれ。誰でもいい。人々を導いてくれ。


人を思い、人々の生活を豊かにしようとした王は死んだ。


人々は悲しみ、王がこれからも導いてくれることを祈った。

人々は、死んだ王に願った。私たちの生きる道を示して、私の事を導いて、私の事を救って、私の事を助けて、私の事を・・・・・・・・・・・・

すべての人々が、死んだ王に願いをかけた。


そして王を継いだ王がいた。

その王は先代の王とは違っていた。人々の事等あまり考えず。適当にやっている。王としての仕事もお座なりだ。

人のせいにして、家臣を怒鳴る、蹴る、人が悪い。余は悪くない。この王もまた不安で押しつぶされていた。

人の上に立つ者は、常に孤独だ、そして不安の中で生きている。不安を隠し、不安でないように見せている。そしてその不安を払拭する事を考えていく。

王は段々と信頼を失い。家臣から疎まれていった。王は、このままでは王として要られない。人々の事は何とも思わないが、自分の事には敏感になっていた。己の地位を守りたい。今の生活をしていたい。


このままでは拙い。



王は閃いた。



民の前で王は伝えた。昨夜、前王が余の前に来た。人々は救われる。余が人々を救うと告げたと言い切った。

人々は歓喜した。人々は感激している。

王は、笑った。簡単だった。

神が人を導く事にする。これでいい。


王は、神の祈り場を造り、神聖な場とした。


人々は己の為に祈りを捧げる。

人な己の欲望を祈る。

人は己の未来を祈り願う。


人の欲望と願いは尽きる事がない。誰かに願いを伝え、お願をする。

それは神に願いを伝えればいいのだ。

神に願いをした、人々は心が軽くなった。愚痴を吐きだせた事で心が軽くなっていた。救われた気分になっていた。



神に祈れば、救われると思うようになっていた。

もう神は前王ではなかった。人々の思いが偶像を作り上げていた。


人々を救う神、願いを叶えてくれる神、人々にとって都合の良い神が造られていた。



人々の希望、欲望が偶像を形にしていった。


偶像は、最初何もなかった。形も何もなかった。それが今では靄として人型になってきている。まだ人型にも見えない靄の塊は、長い年月を靄として人の思いを静かに聞いていた。今は人の思いを聞くだけ。

靄に期待を込めて人々は祈り願いをしていた。いつの間にか靄に意識が芽生えた。

靄は人の思いをしる。人の願いを知る。人の願いが靄に灌がれていく。

そしていつの間にか、靄は人の形となっていた。

人々の願いが人型の神を造った。人が願う時、人(神)の形を思い願った結果だった



神が生まれた。



思いが形になっていく。靄は己が神として願われていると気づく。

そして人の願いをかなえる事を考えた。どうしたら人の願いを叶えられるのか。


人の形を持った神は、人の願いをかなえようとした。


とある村で、母が病気の子の回復を願っていた。母一人ではなく、村人全員が子供の回復を願った。神はその願いが叶うように神の思いを子供にぶつけた。


その子供は、回復した。


村人達は歓喜した。祈りが通じた。願いがかなった。

この話は広がった。神はいた。神が治してくれた。神を見た。神の声を聴いた。と噂と嘘を交えた話が広がっていく。


一人の子供を救った神は力を使い果たしていた。神は力を使った事で動けなくなっていた。だが人々の祈り願によって神は又動く事が出来るようになっていた。

人を救えば、願いを叶えれば力を取り戻せる。神は理解した。人の願い思いが力であり、そして神が存在できる唯一の方法である事を神が知った。


神は人々の願いを叶える。


人と神の時間は違う。神が少し考えると、もう1年、10年、50年、100年と経っていた。

その間に人は死んでいた。


神は其れからも人の願いを聞き、叶えた。


神が願いを叶えるたびに、人々の思いが神に流れていく。


人々の願いが多くなり、神への期待も大きくなっていた。神は人の願いに沿った神に分離した。豊作を願う人々の為に豊穣の神、病を治る事を願う人々の為に、治療の神、長生きを願う人々の為に、長寿の神と別れていった。人の思いと共に神は分神を造り続けた。


そして人の願いは、さらに大きくなった。神に近づきたい。神に成りたい。


神は願いを叶えるために人の願いを叶える物を造ろうとした。それは長い年月を掛けたもだった。数千年という時間を使い。人の願いを形にしていった。人は強くなりたい。人は良い物が欲しい。人は優秀になりたい。人は神に成りたい。



そして人々が神を忘れた頃、神の道具が完成した。


ダンジョンであった。人の願いを叶える道具。神の道具であった。


神の力は無くなっていた。神の道具を造るために数千年のも時間を使い。人の為に願いを叶える為だけに、神の力を使い続けた。



もうその神を知る者はいなかった。神に願いを(力)灌ぐものはいなくなっていた。



神は、道具の中に入った。いつかまた神に祈る者が来た時の為に、現れた時の為に、人々の願いを叶えるために、今は眠る。

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