95話 ギルバートの男達
家族旅行から帰ったアルは、仕事に戻る。と言っても大した仕事はしていない。今は落ち着いている。
半分ぐらい意識がボーーーーッとしていると、執事がやって来る。ギルバート侯爵家より呼び出しが来ていると言う。アルは呼び出し?珍しいなと思うが、まぁそんな事もあるなと思い。盆地のギルバートに向かう。
そこにはみんなが勢ぞろいしていた。
アル「勢ぞろいですね、何かありましたか。」
ジーク「うむ、あった。」
レビン「何も無いぞ。」
ジーク「いいや、いいか皆、ワシは引退するぞ。」
レビン「ダメです、認めませんよ。」
ジークとレビンが言い合いをしている、他の者たちはウンザリした顔をしていた。
速い話が、ジークはもう年だ引退したい。だがレビンが若くなったんだからまだまだ働けるというのだ。もうすぐ65歳になるジークをまだはたかせようとしている。だが見た目が若い、いまだ30歳代に見えているから話がおかしくなっている様だ。
アル「父上、仕方ないのではないでしょうか。おじい様が引退すると次の侯爵は父上です。父上が一番上になりますよ。そうなれば仕事を部下に振っても誰も文句は言わないでしょう。」
レビン,ピタッと止まる。停止から1秒後、「父上引退を承知しました。今までお疲れ様でした。」
ジーク「・・・・・・・」
みんな「「「「「・・・・・・」」」」」」」
クリスだけが青い顔をしていた。アルは見なかった事にした。
速い話がレビンはジークが引退すると全部自分に仕事がくることが嫌だっただけであった。それを人に振る事が出来るならば何も問題は無くなる。父にも楽をさせないと、などと今さらほざいている。
折角集まった事でカインが又、「ダンジョンいこぜ。」
アル「まさかですけど、80層じゃないですよね。」
カイン「いいねその言葉。」
レビン「ダメだ。これ以上問題を出すな。」
アル「俺も今はそう思う。80層は拙い。もし何か出てきて報告をしなければならない。とんでもない物だったらどうすんの。」
カイン「別にいいだろう。何が出たって80層に行ける奴なんてギルバートの人間だけだろう。」
アル「まぁそうかもしれないけど。」
いまだ60層に行ける者達の殆んどはギルバート関係の人たちであった。
クリス「覗くだけならいいんじゃないか。」
アルは覗くだけってそれで済む訳ないでしょうがと思っていた。
カイン「見てみたいだろう、なっ。」
レビン「なら報告義務がるし俺も行くか。」
ジーク「ワシも行く、まだ引退してないし。」
「「「「「・・・・・・」」」」」」」
こうして5人とあと二人ベントレイとレイモンドを誘った。ケリーの夫のサイダーには拒否された。戦いには向かないタイプなのだ。
ギルバートの男たちはワクワク、女たちは白けた目で見ている。
そしてアルは仕方なく付き合う事になった。
アル「じゃぁ行きましょう。準備はは任せて下さい。」
カイン「アル、張り切っるなー。」
クリス「ストレスが多いんじゃないか。変な噂聞くしなー。」
カイン「そうなのか。」
そして男7人はダンジョンに消えていった。
アル「おりゃおりゃおりゃーーーー。」
カイン「アル一人で倒しているぞ。いいのか。」
クリス「今はそっとしておこう。」
「「「「うんうん」」」」」
61層から70層迄はアルが張り切って倒していった。魔物たちが可愛そうな程であった。
71層からは、みんなで協力しながら倒していった。
流石71層からの魔物が変わった。
71層ではキング種と言われる各魔物種の最上位の者たちが集団でてくる。
71層、ハイオークキング、5体。
72層、ハイオークキング10体。
73層、ハイオーガキング5体
74層、ハイオーガキング10体
75層、ソルジャーアント軍団3000匹とクイーン
76層、ソルジャーアント軍団10000匹とクイーンアントorキング
78層、機人(改)、10対
79層、地竜(20M)飛ばない竜
そして80層
7人は扉を開ける。そこに居た者は・・・・
カイン「あれか」
クリス「嘘でしょう。」
レビン「俺には無理だ」
ジーク「ワシも苦手だ。」
レイモンド「俺も・・・」
ベントレイ「うっ、戦います。」
アル「あれって、天使なの。」
「「「「「「・・・・」」」」」」
そう、今目の前にいる者は、天使だ。頭の上に光るワッカがある。そして背中に小さな羽が生えている。伝説の中や物語で出てくる天使だった。10歳ぐらいの少女、ジークやレビンはやる気をなくしている。
少女を相手にしたくないと言うのが本音だろう。
アル自身も参った。これは卑怯だと思っている。
だが、いざ戦うととんでもない所ではなかった。
アルが最初一人で向かったが、ボコボコにされている所をカインが助ける。カインとクリスが参戦しても押されっぱなしだ。
相手の天使は、飛ぶことが出来る。それに素早い。ハイヒューマンである、アルやカイン、クリスが束になっても敵わない。これを見ていたジーク、レビンも拙いと思ったのか参戦してきた。もちろんレイモンドとベントレイも援護してくれる。7人が必死に攻めても、天使は、涼しい顔をしている。いや無表情だった。
アル「これ倒せるのか。」
カイン「分からん、やるしかない。」
クリス「なにか方法はないにか。」
レビン「そんな事より攻めろ、攻めて攻めて攻めつくせーー。」
ジーク「攻撃していればいずれ当たる。いくぞー。」
アル達7人が天使を攻める、攻撃する。だが全て避けられる。ありえない事だ。もう3時間も攻撃している、1発も当たらない。剣をよけ、拳をかわし、槍も避ける、そして魔法も相殺している。
アルは考える。捕まえるしかない。捕まえれば殺せる。あれだけ動けるのだ。皮膚は柔らかいはずだ人と同じだろう。そして魔法を相殺している。魔法が当たれば自分が傷つくのが分かっているから相殺しているのだ。傷付かなければ、そんな事はしない。
アル「みんな囲むぞ。」
アルの指示に従い6人は天使を囲むように布陣する。そして6方向から攻撃をしていく。段々と囲いが小さくなっていく。半径5Mが、4Mに4Mが、3Mに縮まる。そして2Mになった。その時、アルが動いた。上から飛びかかった。そして捕まえた。天使はアルを殴る、殴る、殴る。だがアルは離さない。
「いまだ殺せーーーー。」
カインが天使の胸に剣を突きさす。
天使は血を流さなかった。静かに倒れただけだった。
アル「か、勝てたー。」