89話 楽しい老人たち
ギルバート領(新)
ドーマー「ジーク、今回はすまなかった。」
ジーク「仕方がなかったんだろうな。」
ドーマー「リーフ王国として正式に謝罪し、今後の事を話したい。」
ジーク「・・・・・アルがなー。」
ドーマー「そんなに怒っているのか、普通は怒こるのは分かるが・・」
ジーク「怒っている事もあるが呆れておるな、ワシも呆れておる。」
ドーマー「まぁありえない事が起きた事は分かる。」
ジークとドーマーはその日、夜遅くまで二人で飲んだ。昔を懐かしみながら、楽しそうに笑っていた。
翌日、新領地からアルの領地へ向かう。そこで見たのは、ドラゴンに乗ったアルの姿であった。
ジーク「アルーーーー、説明せいー、」
アルは、あっ拙い。という顔をしてしまった。
アル「あっ、おじい様。これはですね。説明に行こうかなと思っていた所なんです。決して遊んでいたわけではありません。」
ジーク「まぁ、よいわ。で、これは何じゃ、ワシには飛竜のマジックに似ておるように見えるが。」
アル「マジックですよ。進化させたんです。・・・」
アルは各国からの要望で今大変な事になっている。その解決の為に色々と実験をした、結果だとドーマーを見ながら、恩着せがましく説明した。
ジーク「スキルオーブ10個か・・・10個でドラゴン・・10個でドラゴン、ドラゴン・・」
ジークはアルの話を途中から聞いていなかった。(途中からブツブツと呟いていた)
ドーマー「アル、今回は色々と申し訳なかった。」
ドーマーが頭を下げてアルに謝罪をする。
アル「分かりました。今回の事はもういいですよ。」
ドーマー「本当に済まなかった。」
アル「もう良いですから、それよりドーマーさん、今ワイバーンですよね。折角ですからおじい様と同じの飛竜に進化させませんか。」
アルは、アルはドーマーを巻き込みドラゴンの事をうやむやにしようと必死であった。
ジーク「アルよ、行くぞ。」
アル「ですよねー。」
ジーク「ドラゴンは、男の憧れじゃ。伝説に出てくる。ドラゴンじゃ、この凛々しい姿は・・・」
ジークの目が輝いている。60過ぎの老人が目をキラキラさせている。今は見た目も若返りそれ程の違和感は、少しだけだがゴツイ分、可笑しく見えてしまう。
そして3人は、ダンジョンへと向かう。
60層迄駆け巡る。
ドーマーはやっと着いてきている。必死で駆けている、魔物なんか倒している場合じゃない。着いていくのがやっとだ。
そしてジークの異常な戦いの姿を見た。あっこれは、ギルバートにさからっらいけないなと確信した。
そして、めでたくドラゴンに進化させていた。ついでにドーマーのワイバーンも飛竜に、からのー、ドラゴンに変わっていた。老人二人は笑い合い。楽しそうにしていた。そこでジークが気づいた。ドーマーがぜぃぜぃと言っている事に、あっ、体力が落ちているのか・・老いた姿が目に入る・・・・」
ジーク「アル、頼みがある。」
アル「分かっていますよ。おじい様。」
アルはジークの言いたいことは分かっていた。ドーマーをハイヒューマンに進化させたい事を分かっていた。」
アルは、実験を兼ねてドーマーにスキルオーブを渡す。これは場の違うダンジョンで使用しても同じ効果を得られるのかの実験である。
アルにスキルオーブを渡されて最初は戸惑っていたが、ジークとアルに進められて嬉しそうに使用した。
一つでハイヒューマンに進化した。
「うおおおおおおおおおお」
皆同じだ、叫んだ。
「スッ、凄い。これがハイヒューマンなのか。」
ドーマーは、ハイヒューマンに進化し、分かったこれは戦争になる。ジークや陛下が各国に気を使ったこととが、今ハッキリと理解できた。実はドーマーは各国にスキルオーブを渡すことにかなりの不満を持っていた。だが今知能が飛躍的に上がり世の中の流れ、人の思考などが理解できてしまった。そして国を指導する立場の者はハイヒューマンにるべきだとも思った。
そして、楽しそうに3人でギルバート邸(盆地)に戻ると、ギルバートの家族たち、いやレビン、クリスとカインがニコニコした笑顔でお迎えしていた。アルは逃げたくなった。逃げよう、逃げるしかない。ハイヒューマンになって初めて頭をフル回転させている。だが悲しいかな、答えは一つしかなかった。
ジークとドーマーの二人を置いて、アルは4人で再び、ダンジョンへと向かったのだった。
アル・・・トホホ。
ジークとドーマーとイメルダ3人で楽しい夕食を取り、老人であって老人でない3人は、ある問題に突き当たっていた。夫婦の問題だ。夫が若くなってしまった。妻は許せるのか。答えは否だ。
イメルダは、ドーマーの妻もハイヒューマンに進化させないと離婚だと力説する。ジークも同じ考えだ。
ドーマーも分かってはいるが、スキルオーブがないのだ。
ジークは今後この問題が続く事が分かる。絶対に大問題となってくると確信している。
アルが戻り次第。要相談という事で落ち着いた。そして3人は飲み明かしていた。
数日後、アルは戻って来た。そしてまた旅発った。
便利屋アル、アルの頭に浮かんだ言葉であった。
そした又数日後ギルバート邸(盆地)に戻ったアルはドーマーの妻に初めて会った。物凄く品の良いお婆さんだ。ニコニコして品がいい。優しい感じがする。
アルは3つのスキルオーブを渡す。
ドーマーの妻のマリアはアルに、夫が申し訳ないと謝った。アルは問題ないと返す。
そしてマリアがハイヒューマンに進化した。老人が少女になった。いや少女ではないが雰囲気が少女になっていた。見た目は20代半ばに見えるが。ぱっと見、少女であった。ドーマーが唖然としている。アルは笑ってしまった。それにつられてジークとイメルダ、マリアも笑いだす。
元老人4人で楽しそうに笑っていた。
そしてドーマー夫妻は王都へ、ドラゴン’(タンデム)で帰っていった。
王城
ドーマー夫妻は二人で城に登る。
城の者達が唖然としてドーマー夫妻を見ている。
そして陛下に報告している。
陛下「よい結果のようだな。」
ドーマー「はい、ギルバート家の方々に許していただきました。」
陛下「その様だな、ドラゴンにハイヒューマンか。又問題になるな。あらまりに行ってこの格好で戻ってきたら、今度は自分がと皆が騒ぐであろうな。」
ドーマー「皆は、分かっていないのでしょう。」
陛下「そうだな。理解できていないのだ。」
今のドーマーには陛下の考えが分かる。普通人であった時では理解できなかった事が今は分かるのだ。
ドーマー「今後の話をしなければなりません。」
陛下「そうだな。幾人か集めて話をしようぞ。」
ドーマー「はっ。」
陛下「ご婦人、昔に戻ったな。」
マリア「陛下、お戯れを、」
陛下「妃に逢ってやってくれ。」陛下が家臣に案内を申し付ける。
夫人は退席してドーマーと二人で何やら密談をしている。
その日からドーマー夫妻は王都の名物となった。