88話 ゴーレムの派遣
アルは疲れていた。島での6か国協議を成功させたまではよかった。それからが良くない。
先ず、各国に飛竜の飛行場を建設する。そして定期便を運航をする。ただ運航であればまだいい。だが定期便の行き先が問題と成っている。アルはリーフ王国をハブ化しての運行を計画している。それを各国貴族が騒ぎ出したのだ。
この調整が全く上手く行っていない。
もう面倒になって来た。止めると言いたい。言ってみたらどうなるか物凄く興味がある。どうしよう。
悩んだがやめた。どうせ碌ない事は分かっているやるだけ無駄だ。
アルは気を取り直し、考える。飛竜で20人を運べる。もっと人を運べないだろうか。
幾つか方法はある。飛竜を2頭体制で飛ぶ、それか2頭ないし3頭、4頭で大きな箱を造り複数で持ちあげて飛ぶ。
其れか、飛竜を進化させる。もしかしたらドラゴンに進化するかもしれない。
悩んだ末、アルは全部試してみる事にした。まず最初は勿論、マジックの進化だ。アルは考える。ダンジョンの中でやった方がいいよな。絶対にその方がいい。 アルはマジックに乗りギルバート領へと向かう。
アルは一人ダンジョンへと入っていく。そして60層、其処で実験だ。ウキウキしながらアルは実験を開始した。マジックにスキルオーブを使う。何も起こらない。2回目ダメだった。3回目もダメ、4回目又ダメ。勝負の5回目ダメだった。アルはここまで来たら止められない、諦められない。こうなったら意地だ。6回目・7回目・駄目だった。アルは諦めようとしていた。もう進化しないのではと思われたからだ。
だが飛竜のマジックがアルをじっと見ている。
「そうだなまだやれるよな。」
8回目ダメだった。9回目又ダメだ。「次で二桁だよ。」10回目キターーーーーー。
飛竜が体の中から光っている。
そして光が治まると飛竜の姿が変わっていた。そうドラゴンに進化していた。飛竜の1.5倍にぐらいになっていた。体つきも違い、そして何より知的な表情をしている。
マジック、俺の事分かるにか。
「ガゥ」
「マジか、言葉を理解しているのか。」
「ガぅ」頷いている。
「スゲー、でもかなり効率悪いな。」
「ガァゥ」シュンとした。
アルはいったん外へ出る。
飛竜を進化させるにはかなり効率が悪い。それならば飛竜10頭で飛ばしたほうがいい。10頭で200人運べるがドラゴンでは、40人がいい所だろう。
そして今度は40人乗りの箱を造り、飛竜に2頭で飛ばす。いい感じだ。3頭で飛ばす。かなりいい感じだ。2頭よりスピードを出しても安定している。前の1頭が上手くコントロールしている。
主要な王都間を3頭体制で、その他を1頭でとばすか。
アルはケリーと話し合い。王都間を3頭体制で、この他は1頭体制とした。ギルバート領から島は3頭体制にする。
そして島までの航路ではワイバーン1頭乗せて方向の確認をさせる事で大量輸送(人)を可能とした。
アルは思ったワイバーンが一番効率がいいのではと思ってしまった。何故か、それはワイバーンを3頭で20人乗りの箱で飛ばしたのだ。飛竜よりスピードは落ちるが飛ばせることが分かったのだ。
後に効率を考えワイバーンの3頭体制で増便となった。少数でも数を増やしたほうが良いと結論に至った。
アルは島と領地を行き来している。今日は領地の仕事だ。ゴーレムを造り街道整備をさせる。これは領内だけではなく。ギルバート領全体の街道整備となる。元セレン王国のの貴族領内も全て整備する。ゴーレムが居なければ出来なかった事である。
他にもゴーレムは、川を増やしている。水源のない場所へ川を伸ばしているのだ。これで畑を増やすことが出来る。乾燥した荒れ地が水を含み豊な土地に変わっていく。そしてアルは各貴族(ギルバート領内)にゴーレムを貸し出した。これが大好評となった。何しろゴーレムは働く、無休で飯も食べないで24時間働きまくる。大好評にならない訳がない。
そして王都からもゴーレム救援のお願いが頻繁に来る。
狙いはゴーレムのスキルオーブを献上しろと言いたいのだろう。
アルは悩んだ。そしてジークに相談する。
アル「おじい様、又王都からゴーレムの催促です。」
ジーク「ん、なら行ってやればよかろう。」
アル「キリがないです。いつもいつも、いう事を聞くと思われるのも嫌です。」
ジークは焦ったアルがこんなことを言うとは思ってもいなかった。」
ジーク「そうか、だが頼みに来たんじゃろう。」
アル「頼みに来たと言うよりか手紙ですね。ここにゴーレムの派遣をお願いという。」
ジーク「金額は、高いのじゃろう。」
アル「書いてありませんよ。今まで貰ったことないですよ。ギルバート家で貰っているんじゃないですか。」
此処で衝撃の事実が発覚した。今まで頼まれて行なった仕事は全てただ働きであった。ジークはアルに支払われていると思っていた。アルはギルバート家が貰っていると思っていたのだ。
ジークはこれは拙いと思い、王都へ飛んだ。
そして事実の調査を行なった。
ジークが調べたが誰も知らないと言う。ギルバート家に依頼はしたが手紙でお願いをしているだけと思われていた。
現場から人が足りない助けてくれと催促が来ている手前、ギルバートにお願いの手紙を出していただけであった。アルは馬鹿正直にお願いを真に受けて仕事をせっせと片付けていただけであった。
ジークはその事実に愕然とした。何てずさんな管理なのだ。誰も気にもしていない。
ジークはアルに伝え、今後は無視しろと伝えた。
アルは今までのお願いごとに派遣していたゴーレムをすべて引き上げた。リーフ王国各地に派遣していたゴーレムと人員(ゴーレム使い)もだ。
だがこれが、王都で大問題となる。
この事実に気付いた王都の職員が大臣のもとに駆け込んだ。そして話を聞いて愕然とした。何で今迄ほっておいたんだ。
内政大臣 第一王女、直轄地行政大臣ドーマー侯爵、他副大臣たちは陛下に頼みに行く。
陛下「このばかものーーーーーー。」
ドーマー侯爵「陛下申し訳ございません。」
陛下「謝って済む問題ではないぞ。怒っている事は分かっていたのであろう。何故、誤りに誰も行っていないのだ。」
「・・・・・・・・・」
第一王女「私が謝りにまいります。」
陛下「お前はダメだ。クリスとの事がある。結婚するのだ。お前が出ていけば、ご破算にしてしまうぞ。」
そう第一王女とクリスは結婚する事になった。(婚約予定である。)
第一王女「うっ。」
ドーマー「ジークと私は長い付き合いです。私が誤りに参ります。」
陛下「ジークは許すだろうな、だがアルフォードがどうなるか。・・・」
ドーマー「ですな・・・・・」
この日王城内は、荒れていた。