82話 複数ダンジョン
アルは、島を調べる、調べる調べつくす。
そしてアルは一つの結論に達した。これダンジョンじゃないのか。
ダンジョンは不思議な空間だ。ダンジョンには海もあり山もある。ギルバート領のダンジョンも下層には広い草原もあり、山もあり湖もある、尋常な広さではない。ギルバート領が何個も入るような広さだ。
そう考えると地上ではあるが、変則的なダンジョンと考えると、つじつまが合っているように感じる。
島の内側がダンジョンで島の外層は普通の島なのだろう。浜から奥に10Kぐらい迄はおそらく普通の島で、島の中心地がダンジョンなのだろう。その間の空間は入り混じっているのかもしれない。
アルはこの仮定を元に、再度調査を行なう。平面ダンジョンなのか、下にもダンジョンが存在しているのかを探す。トム達と二手に分かれての調査となる。
アルは、角人に色々と聞き回った。島の中心から外に向かう間の事、中心地と海迄の森部分は魔物の巣窟だ。今は不思議と魔物が出てこないが、いつもはかなりの数がいると言う。
アルは魔物たちの出る森で探す。ダンジョンは魔物が出る魔物のいる場所に何かが有るはずだ。
相変らず魔物の姿は見えない。
その森の中を探していると岩山に洞窟を見つける。その洞窟内に入る。
洞窟はまさしくダンジョンであった。これが普通のダンジョンだ。普通に魔物が出てくる。そして襲ってくる。外で様子を隠れ見ている魔物とは全く違う。
洞窟を進んでいくと、幾つもの道に別れている、アルは適当に進んでいく。一時間ぐらいが経った頃に、洞窟が下っている。坂道になっている。
アルはその坂道を下っていく。5分程降ると空間にでる。この空間には魔物がいた。その魔物は、巨大な狼だった。馬の2倍はありそうな大きさだ。
その大狼はアルを睨みつける。体制を低くすると次の瞬間に飛びかかって来た。
アルは大狼を剣で斬りつけるが、毛にはじかれて傷一つ付けられない。
大狼は執拗にアルに向っていく。まるで狩りを楽しんでいるように、大狼との戦いは、双方ともに傷一つ付いていない。
大狼が勝負と思ったのか、アルに対しフェイントを使い。アルの目前まで迫った。そして大口で噛みつく、(バン)
アルは大狼が大口を掛けた瞬間に魔弾を口の中に撃ち込んだ。口の中から脳に直撃したのだろう。外に脳が散らばっている。大狼は、そのまま絶命していた。
そして大狼の後ろに3本の道があった。
アルはまずは、左の道に入る。そこは普通のダンジョンであったが進んでいくと地上に出てしまった。アルはそこから戻り、今度は真ん中の道を進む。道を進んでいくと草原にたどり着く。広い草原は地平線まで見えている。アルはこりゃ無理だと判断して引き返す。
そして右の道へと進む。右の道は普通のダンジョンだった。魔物がいる、薬草が生えている、下階層に行く階段もある。アルは少し案心している自分に笑いが出てしまった。普通のダンジョンで喜んでいるからだ。
アルは一度みんなのいる拠点へと戻る。今度はみんなでこの場所に来る。草原の調査と右のダンジョン調査だ。
アルとアスカが草原調査、トムとロビンが右のダンジョンの調査になった。
アルとアスカは飛竜に乗って草原を飛んでいる。歩いての調査など初めから考えてもいない。
飛竜で飛んでいても草原は続く。永遠とも思えるように感じてしまう。
飛竜で蛇行しながら飛んでいると大きな木を見つける。アルたちは大きな木に向かって飛ぶ。
大きな木は本当に巨大だった。飛竜が雀に見えてしまう程、巨大な木だった。
幹の直径は約100Mもあり、高さは不明だ。巨大すぎて一つの森のようだ。
巨大な木の周りには貴重な薬草も生えている。周りをよく見てみるとかなり貴重な薬草ばかりであった。薬草だけではなく。果実類も多くある。巨大な木の周りでは果実の木も雑草の様に見えてしまう。
アルは、もしかしたら巨人の階層なのかと警戒したが巨人はいなかった。いや多分いない。
アスカ「アル、この大きな木は、本で読んだ世界樹のようね。この葉っぱで薬が作れるかもね。」
アル「・・・・ありうるな。・世界樹か・・・・」
アルは、(仮)世界樹を調べる。べたべたと幹を触る。何も起こらない。葉っぱを取る、それだけだ。
仮)世果樹は普通の大きな木であった。
動くわけでも、何かが起こる訳でもなかった。普通の動かない木であった。
アルとアスカは世界樹を離れ、飛竜で草原に飛び発つ。そしてグルグルと飛び回ってみる。この木以外にはこの草原しかない。
生物はいるようだが脅威に思えるような物はいない。
アルとアスカは、丸一日飛び回ったが草原だけであった。何もないまま草原を出る。そしてトムとロビンの帰りを待っている。そこへ大狼が出現した。アルとアスカは大狼をサクッと始末して、トム達を待つ。
トム達は、半日後にダンジョンから出て来た。二人とも嬉しそうな顔をしている。
ダンジョンは、地下に続くギルバート領と同じタイプである事が解った。この場所がスタートと考えるとトム達は15層迄行ってきたことになる。
トム「なんか色々なダンジョンが混じっているような場所だよね。」
アル「そうだね。地上のダンジョン このダンジョンとトム達が潜った普通のダンジョン、俺たちが行った草原もダンジョンなのかもしれないな。一つのダンジョンの中に複数のダンジョンが存在しているのか、別々のダンジョンが共生しているかは分からないけど、間違いなく複数のダンジョンだね。」
ロビン「このダンジョンも確実にスキルオーブはあると思う。」
アル「多分あるよ。スキルオーブの種類を知りたいよね。」
トム「知りたいね。明日でも潜る。」
アル「もちろん潜るよ。」
アルたちは一度外へ出る。
拠点まで戻るとアルたちは今日の話で盛り上がる。何もない草原と巨大な木、世界樹ではないかという話でさらに盛り上がる。世果樹であればエクサリーの材料である。伝説の薬、腕を再生させる。死んだ者を生き返らせる。難病が治った。と伝説では何でも効く薬となっている
流石にアルは、死んだ者は生き返る事は無いと思っている。それでもエクサリーの原料であればかなりいい薬である事は間違いない。
そして夜は更けていく。