78話 アルの新領地開発
アルは、新領地にいる。アルの家臣たちに領地分けを行なったが、効率を考え領地運営は統一して行う事にした。各家臣には、ここが領地と村や町を指定していった。家臣たちも嬉しそうだったが、自分で領地経営は皆、自身が無いようであった。そこで考えたのが統一して経営をしてしまう事だ。
内政、開発、役所の仕事、税などをマルスが全て雇い行う。各領主は、その承認と領民との交流だ。後は黙っていても税が入ってくるシステムとなっる。多くの家臣を雇わなくて済むと大評判だ。(出る金が少なくなる。)
家臣たちも自分の仕事をするだけで済む。下手な領地経営はしない方がよいのだ。
アルは、領地経営を統一すると、次は港の建設に入った。交易、探検と夢は広がる。
大型船が入港できるように元からある港を作り直していく。元の港は漁村に毛の生えたようなもので、大型船など入港出来る物ではなかった。
港を作り直すのに、海へ潜り、水深を測る。浅い所で3M、深い所が15Mであった。
10mは欲しい所だ。
アルは海の潜り、火球魔法の酸素入り爆弾で海底を爆破していく。岩や固い地盤を爆破し、破壊していく。
海底の砂をポンプで吸いだして、別の場所を埋め立てる。
水深を造るために、どんどん爆破して吸い出していく。
アルは、数日作業を進めている。何とか10mの水深を取る事が出来た、さぁこれからが勝負である。
大きな港にして、交易をする。別の大陸もあるかもしれない。島は絶対あるだろう。
アルは思った。でも船がないね。
アルは気持ちを切り替えて次の作業に入っていく。
多くの人が港で作業をしている。アルの指示の元に、皆一丸となって作業をしている。
その作業の中で、面白い事が起きている。
埋め立てで、その場に取り残されてしまった。海の生き物たち、その生き物たちは皆異様な姿形をしている。普通の魚はよく見るが、海老や貝、ウツボや亀、不思議な形の物を皆が度胸試しで食べている。
偶に腹を壊す者はいるが死んだ者がいなかったことで、盛り上がり、昼時になると皆が集まって食べている。一度美味いものが見つかると皆それを探すようになっていた。
漁師も参加するようになると今まで捨てていた物が美味い事を知る。そうなれば後は売るだけとなる。
港の作業者は大勢いる。各所で色々と創意工夫をしている。発見も多く。海の幸の品数が増えていく。
そして魚は生でも食べれる事を知る。
アル「これ美味いね。」
漁師「そうなんですよアル様、これにオイルを掛けて食べるとまた美味しいんですよ。この生の感じが最高ですよ。」
今アルの領地では生が流行っている。魚を生で食べる。貝を生で食べる。甲殻類を生で食べると言う具合だが子供たちも食べたがり、さすがに親が止める。それでも食べたがるので仕方なくお湯で湯がいて子供たちに食べさせた。又それが大当たりした。特に甲殻類は絶品であった。海の水で湯がいた蟹やエビが美味い。美味いと子供たちより、大人が食べつくしている。
港に海の家(食堂)が出来た。
この海の家は焼き貝、生魚、焼き魚、湯で蟹に湯でエビ、と豊富な食材とアイデアで大繁盛していた。そうなると同じような店を作る者が出てくる。港の一画に食堂街が出来上がった。
海の家だけではなく、普通の食堂も出来、毎日食べても飽きないようになっていった。
食堂が出来れば食材屋も出来るし道具屋も出来る。色々な職種が集まると人も集まる。船の船員もたまに来る。
偶に来る船員たちに農家も作物を売る。野菜、果物に麦、そして自家製のエールだ。
この自家製エールは、売れる家と売れない家と明暗を分けていた。
アルも飲んだが納得してしまった。
「うん、こっがいいね。」と言って去っていった。
アル領は港建設だけをやっている訳だない。
港以外にも畑の開拓や道の整備、この道の整備は、ギルバート領でも行ったコンクリート製の道としている。本来の道の横に溝(深さ50㎝幅8M)を掘りコンクリートを流し込んでいく。
これが領民たちを喜ばせた。今までの道は凸凹で歩きずらく、雨が降るとドロドロとなっていた。それが雨の日も安心して外に出れるようになった。
馬車を引く商人たちも好評あり、アルの町や港による商人が増えていく。
開発が進んで行く。そこに数人の貴族がアルを訪ねて来た。それは元セレン王国の貴族だった。その貴族達は本来ギルバート家の指定する地域に領地移転(移れば倍の領地)であったが先祖からの土地に拘り拒絶した者達である。
その貴族達も新しい領主(親玉)に従うことを条件に領主でいる事を許された。貴族と言っても2,3の村を所有する貴族であった。リーフ王国的には爵位なし領主である。セレン王国的には立派な貴族であり爵位も持っていた。今は無しとなってしまっている。この者達も本音では、爵位をまだ狙っている。
アルの元を訪ねた貴族達は道を自分たちの領地にもコンクリート製にしてくれと頼みに来ていた。
アルもコンクリート製は道は全体に敷く予定であるために快諾する。
貴族達は焦っていた。今まで田舎、辺境と言われた土地である。それが日に日に開拓され賑わってきている。自分の目が信じられない。夢でも見ているようであった。何もなかった場所に翌日建物が建っている。
自分の村ではありえない光景だ。自領で小屋一つ建てるのに一月は係る。それが一日かからない。
貴族達はアルに建物の依頼をする。もちろん有料である。
貴族達の要望は水車であった。水車があれば粉ひきが楽になる。小さな臼でゴロゴロしなくてよくなる。
これだけでも大変な改革なのだ。
アルは貴族達の要望というより、領民の生活向上のために貴族の村を支援する事にした。
貴族達の村は昔のギルバード領であった。何もない村、普通の畑、畑しかない村、昔のギルバート領であった。
アルは畑の区画割と改良、村に集会場と雑貨店、そして各村に罠や狩りのやり方を教えていった。
獣を狩って食べる。毛皮鞣しては売る。作物被害が減る。いい事しかない。
村人たちは弱い。ギルバート領民のようにはいかない。武器を与え、剣の振り方から教えていく。
(アルは勿論。家臣に任せている)
そして罠を仕掛けて大物を仕留める。身ら人達は大喜びだ。鹿やイノシシの肉など何年も食べていない、生まれて初めての者も多くいた。
村人たちは美味い美味いと食べていた。